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鋼鉄のフロイライン  作者: 九十九 大和
第四章 新たなる戦場の香り
23/28

追憶の少佐 オルレアンの乙女

諸君、アハトゥンク!

長らくお待たせ致しまして、大変申し訳なく……m(__)m

何卒、平にご容赦を〜

この欧州の歴史は、血によって創られたと言って良いだろう。

実に愚かしくも輝かしく、栄華を極めた時代と言っても過言では無い。

その血で血を洗う様な混迷をきわめた欧州で、長く続く国は幾つもある。

長くあるが故に、入り乱れた血縁関係が多くの悲劇と暴力を垂れ流すのだ。


イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、そしてポルトガル。


この五カ国の大国は特にその影響下に置かれている。

そして今も、欧州を二つに分けて戦争をしている。




★皿★



殺せ!


焼き殺せ!


魔女を処刑しろ!



あぁ、なんと悲しい事でしょう。

人々の悪しき念が渦巻いて居ます。


憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い


そして、その増悪は今、全て私に向けられて居ます。


地面に突き立てられた一本の杭に私は縛り付けられ、一人の司祭が私の罪を読み上げては、民を煽動します。


司祭の眼が私の眼を見たとき、なんと濁った色をしているのでしょう。

国が違えど仕える神は同じ筈。それが何故、人を口汚く罵り呪いの言葉を吐き出すのでしょうか。


イングランドの民達の喧騒が大きくなりました。

そろそろ私の生涯が閉じ、父なる神の下に行く時が来たようです。

油の染みた枝が私の足元に束ね立て掛けられ、松明を持った執行人がゆっくりと近づいて来ます。


あぁ、悔いが有るとすれば、私の生涯で唯一友と呼べた貴女の顔を最後に見れなかった事でしょうか。


さようなら、かくも美しく醜いこの世界。

そして、親友へ………



◼︎皿◼︎




ワァァァァァァァ!!!!


夥しい数の人間同士が一度に激突する。

立てられた穂先に次々と突き刺され、大地を赤く染め上げる程の血が大地を濡らし、雄叫びと断末魔が空気を揺らす。

甲冑を着込んだ重装歩兵が号令で剣を抜き放ち、最早肉の壁と化した最前列の兵の屍を踏み越えて突撃、乱戦へと持ち込んだ。

己の鍛えに鍛えた武技を活かすべく鋳造製の長剣を振るい、お互いの鎧の隙間を虎視眈々と狙いながらぶっ叩く。

血肉が飛び、魂が散るのである。


一人、また一人と天に魅入られヴァルハラへと召されて行く。

きっと神々を見ることが出来たならば、ここには溢れかえる程のヴァルキューレがいるに違いない。


丘から目下で繰り広げられる戦争に、ああではないこうではないと仲間の男衆が議論を交わして居た。

各々とても奇抜な服装をしているが、何処と無く騎兵だと解る程度には甲冑を纏っている。


我々が今現在議論しているのは、この合戦のどちらに着くかである。


現在、フランス王国とイングランド王国はフランス王国の王位継承権を巡って血みどろの戦争をしており、この先の行く末をよく見極めてからでないと、負けた時が恐ろしい。

傭兵に全て責任をなすり付けられるかもしれないからだ。


そう。我々は栄光あるドイツ帝国の傭兵団なのだ。


「おい、フロイライン。で、お前さんはどうするんだ?」

「む…」

「む…ってお前さんな…聞いてなかったのか。だから、イングランドかフランスか、どちらに今回は着くか?だ」

「もちろんフランスだな」

「なんだ、またか。……もしやとは思うが、『オルレアンの嬢ちゃん』が悲しむとか言う理由じゃ無いだろうな」

「そんな事は無い。愚痴を零されるのが嫌なだけだ。大体彼奴は煩いんだ。やれ「神の思し召し…ですか?」そうそう……む、なんだ、居たのかジャンヌ•ダルク」

「居たのか、じゃありません!さっきからずっと居ました!もうっ!!」


金髪の美しい長い髪を一本の三つ編みにした、それこそ触れば儚く散ってしまいそうな程可憐な乙女が、

頬を膨らませながら拗ねた様に私に詰め寄る。


そう、こいつこそ敵味方より『オルレアンの乙女』と呼ばれる、ジャンヌ•ダルクである。

もっとも、私からしてみれば『オルレアンの魔女』と言う呼び名の方が正しい。はっきり言って煩わしい。


「はっはっはっ!まぁ、何時もの通りのフロイライン達だ。今日もきっと生き残れるに違いない。なんせ、我等には使徒であるジャンヌ•ダルクの加護があるしな」


そう言ってグシャグシャと私の頭を撫で回すのはやめて欲しい。

この、顔に大きな斜めの切り傷を持つ男は、この傭兵団の団長だ。


「や、やめてください!神の使徒なんて恐れ多い!……私は、ただ神のお声を聴いただけに過ぎません」

「だがよ、そこで勇気を出して動こうとしたことは凄い事だぜ。誰にだって出来る事じゃあない」


ニヤリと凶悪な顔を更に歪ませて、無理矢理笑おうとして居たが、悪化して終わった。

さてさて、と言って傭兵団に号令を掛けて騎乗を始める。

この傭兵団に歩兵は居ない。

全員が騎兵で、その圧倒的機動力と突撃力で相手に一撃を加え、離脱するのである。

戦場では、ただの一撃であっても戦況を大きく左右するのだ。

簡単に言うと、美味しい所だけを掻っ攫う訳だな。


「おいジャンヌ、お前はどうするんだ?」

「もちろん着いて行きますけど」

「馬は?」

「貴女のがあるじゃ無いですか」

「おい、さも当たり前の様に言うんじゃ無い」

「当たり前じゃないんですか?私と貴女の友情はそんなチンケなものだったのですかッ?!」

「ええい!耳元で叫ぶな喧しい!!Scheiße!…Die Hexe von Orleans!!」


無理矢理ジャンヌが私の馬に乗って来たせいで、ガチャガチャと金属が擦れる音がする。

愛馬が不機嫌そうに鼻を鳴らすが、ジャンヌに頭を撫でられてすぐ機嫌を良くする。なんて奴だ。


続々と騎兵の準備が整い始め、馬の鼻先を横一列に並べて団長の合図を待つだけとなった。

一際目立つ極色彩の格好をした団長が、ドラ声を張り上げて突撃を促す。


「野郎共、死ぬなよ!死んだらヴァルハラで逢おう!!突撃ぃぃぃぃ!!!」


ランスやハルバートの穂先を並べた騎兵達が一斉に飛び出す。

一人一人が死と天に魅入られており、騎兵達はその手から逃げる為に愛馬を駆け、その勢いをもって逃れようとするのだ。

坂道を勢い良く駆け下り、グングンと加速しながら敵の横っ腹に食らいつく。


「フロイラインに続けぇぇぇぇぇ!!!!」


二人乗りで重くなっている私の愛馬が、坂道で加速し過ぎて突出した状態で敵の横っ腹に突っ込んでしまった。


私が左手で手綱を引き、右手でランスを突き立て、ジャンヌは右手で私の体にしがみ付き、左手でハルバートを振り回す。

そして、お互いの獲物には旗が括り付けられており、ジャンヌは下賜された家紋が描かれた旗を、私はこの傭兵団の団旗を括り付けている。


血煙が上がり、砕き貫かれ、私達は死を振り撒く。

一振り毎に複数の魂が昇天し無へと帰す。


愛馬の勢いそのままに直線上に居た三人の弓兵の頭を串刺しにしながら突き進む。


「相変わらず馬鹿げた腕力ですね!」

「お前こそ変態的な膂力してるではないか!」

「私は変態ではありません!」


大の大人でも振り回すことは難しいハルバートを苦もなく振り回しているジャンヌ•ダルクの何処が変態的では無いと言うのか。いや、言わないはずが無い。


目の前に立ち塞がる敵を次々と屠りつつ、向こう側へと突き出た。


そのまま勢いを殺さず、再び反転した所で後続の味方騎兵も追いついて来た。最初の突撃時と殆ど人数が減って居ない。寧ろ、一人も欠けていないように見える。


「おい団長、どうする?」

「いや、もう勝敗は決しただろうよ。見てみろ」


敵集団を見下ろすと、兵力の三分の一程が一気に削られ大混乱になっている所に、暫定味方集団が入り込み乱戦に持ち込んで居た。成る程、乱戦なら人数が多い方が有利だ。

それに、間違えて味方を殺してしまっては後が面倒臭い。


「ならば成功かな?」

「あぁ神よ!祖国を導き給え!」

「煩いぞジャンヌ」

「私は祈っているだけです!」


暫くして、小競り合いはフランス側の勝利に終わった。

当初の予定ではお互いに軽く当たるつもりが我々の登場で大きく変わり、敵の大将を捕らえることに成功したらしい。


まぁ、私にはどうでも良い事だが…



「おぉ、貴公らのご助力感謝いたす。此度の大勝利は貴公らの突撃あってこそですからな」


フランス側の集団に合流した時、我々を出迎えたのは大柄で顔が何処と無くお人好しそうな貴族だった。


「いやぁ、何。我々は『オルレアンの嬢ちゃん』に頼まれただけでさ。所で…………この位でどうですかね」

「ほう!かの有名なジャンヌ•ダルク殿にですか!どうやら私の運も良くなって来たみたいですな!喜んでこの額お支払い致す」


喜びが目に見えて滲み出て居るこの人物の言葉に、団長もホッとして居る様に見える。

連中の中には、誰が見ても劣勢で助けてやっても、やれ頼んで無いだのそのままでも勝てただの言って金払いを渋る奴が時々居るのだ。

そう言う時は、相手にもよるが『お話し合い』で払ってもらって居る。

まぁ、今回は運が良かったと思うのが一番だろう。


「やっぱり私の親友ですわね」

「うるさいぞ。私は私の利益になるように戦場を選んでいるだけだ。イングランドが優勢の時は、そっちに着くように団長にも進言する」

「またまた、そんな事を言っても無駄です。最近の戦闘では、貴女はフランス側にばっかり着いているでは無いですか」

「ぐぬ……それは、だからフランス側が有利だっただけだ」

「ではそう言うことにしておきましょう」


「私は知ってますから」とジャンヌは笑いながら馬を駆けて行った。

確かに、奴の言うとおり私はイングランドではなくフランス側に加勢する様に進言した。例え、フランス側がある程度不利な戦場でもだ。しかし、それはジャンヌの事を考えたのではなく、単に私がイングランド人が嫌いなだけであって、決して、決してジャンヌの為では無い。ジャンヌの為では無いのだ。



しかし、ジャンヌ•ダルクはこの数ヶ月間の間にフランス国内のあらゆる戦闘に参加し、フランス国内に居座るイングランド軍を次々打ち破り、ランスのノートルダム寺院にてシャルル7世の戴冠を見届けた後、コンピエーニュ包囲戦と呼ばれた戦いでブルゴーニュ公国軍の捕虜となってしまった。言伝によると自ら殿を率い

、あの玉の様に白かった肌に矢を受けながらも最後まで戦った様だ。


それからは異例の事態だらけだった。ジャンヌにあれ程助けられたシャルル7世は、ブルゴーニュ公国にジャンヌの身代金を支払わなかった為、ジャンヌの身柄はイングランド軍に渡り、フランス野郎のくせしてイングランドの手下である司祭ピエール•コーシャンが、あまつさえジャンヌを異端審問にかけたのだ。

そのあとはトントンとまるで決まって居たかの様に(大凡決まって居たのだろう)ジャンヌが魔女認定されて火炙りにされる事が決定した。




そして今日、ユリウス暦1431年5月30日ルーアンのヴィエ・マルシェ広場で、その公開処刑が執行される。



「なぁフロイライン。本当にやるのか?そんなこと…バレたら俺達殺されるだけじゃすまねぇぞ」

「どちらにせよ、動いたら必ずバレるじゃないか。団長もジャンヌを見捨てきれないんだろう?」

「当たり前だろ!あんなに良い娘を見殺しなんかしてみろ、こっちが罰当たるってもんよ!」

「落ち着け団長、声が大きい」

「す、すまねぇ…だがよ」

「分かっている。それに、周りの団員も同じ気持ちだろう。だがもう少し待て、完全にジャンヌが縛られるのを待つんだ」


現在、私と団長を含め特に剣術と体術に優れる団員少数と、広場に集まる民衆の中に潜んで居る。

周辺の家屋の屋根上には、弓兵が多数潜伏しており、団員を含めジャンヌを崇めるシンパの傭兵で構成されている。

きっと、上手くやってくれるに違いない。


「それにしても、嫌な天気だ。俺達をあざ笑っているみたいだぜ」


団長がどんよりと曇った空を見上げてポツリと呟いた。

それから少ししてからのこと。


「来たぞ…っ」


複数の死刑執行人に押しやられてやって来たジャンヌは、美しく長かった髪を男の様に短く切り、男装をして居た。頬は少しやつれ元気が無く、打たれたのだろうか、片頬が赤い。



「あんな姿になっちまってよぉ…イングランドの糞野郎共め…っ」


団員の一人が歯軋りをして唸った。


きっと、男装をしなければいけなかったに違いない。


ジャンヌが、高い木製の柱に縛り付けられた。

荒縄が手や体に食い込み、薄っすらと血が滲んで居る。


「嗚呼神よ、何故彼女をお助けになられないのですか…」


団長が涙を流しながらその痛々しい光景を唇を噛み締めながら見て居た。


司祭がジャンヌの罪を読み上げにつれて、民衆が口汚くジャンヌを罵り罵倒し始める。

まるで、それを促すかの様に司祭が演説を始めた。熱が最大まで上がった頃に複数の石がジャンヌに投げられ、火炙りにしろと声が上がった。


自分の作り出した光景に酔いしれ、満足気な表情を浮かべた司祭が執行人に合図を送ると、松明を掲げた三人の執行人が油の染みた枝の束に近づき始める。

全員がその光景に一点集中した瞬間、今だ!と叫んだ。


柱に比較的近い位置に居た我々が前方の民衆を薙ぎ倒し、屋根上に潜んでいた弓兵が執行人に矢弾を撃ち掛ける。

一度に他方向から矢を撃たれた執行人三人は、血を撒き散らしてその場で倒れて動かなくなった。

その時、手に持っていた松明の一つが枝に燃え移り、火が着いてしまった。


「急げ!!」


柱に近づく時、一瞬ジャンヌと目が合った。

なんでそんな目をするんだ!

ジャンヌの目は、全てを諦めて受け入れたような目をしていた。


そんな運命は糞食らえだ!

私は、彼女を見殺しにする様な神はほろぼしてやる!!


「ジャンヌ!!団長やってくれ!」

「おうともさ!」


団長の背中を駆け上がり、民衆の壁を乗り越えて壇上に躍り上がった。


「な、何をする貴様!自分が何をしているのか分かっているのか!?」

「黙れ生臭坊主が!!それ以上近づいてみろ、貴様の生皮を生きたまま剥いで殺してやる」

「ひぃっ!?」


剣を突き出すとびびって壇上から転落していった。

完全に視界から消えるのを見ている暇はないので、急いでジャンヌに駆け寄り荒縄を剣で切り裂く。

鉄板入りの革製長靴で火の着いた枝を民衆の方へ蹴飛ばし、ジャンヌを奪う。


「団長!目的は達した!撤退しよう!!」

「おうよ!テメェら退くぞ!」

『応!!』


追っ手が掛かってない事を良いことに、大通りを真っ直ぐと駆け抜け、一目散に郊外へと逃げ出す。

郊外には脱出用の馬を留めてあるのだ。

途中見掛けた教会に松明をお見舞いして行くのを忘れなかった団長は、やはり肝っ玉が分厚いと改めて感じた。と言うか、その前に信仰はどうした…




「ここまでくれば大丈夫だろうな」

「だと良いのだが…」


一人も脱落する事無く、馬を止めおぶさって居るジャンヌを地面に寝かせる。

ずいぶんとぐったりとしていて、意識が朦朧としている様だ。かなり煙を吸ったからだと思われる。


「ぁ……来て、くれたのですね」

「当たり前だ……私はお前の親友なのだろう?それよりも……ジャンヌ、足が」


ほんの十数秒の事とは言え、火で炙られた両脚は火傷で真っ黒に黒ずんでいる。

見るにも痛々しい。

共に囲んでいる数人が目を逸らした。

皮膚が炭化していることから、かなり重度の火傷を負ってしまっている証拠と言うことだ。


「嗚呼、なんてことだ…おい、しっかり意識を持つんだ」

「おいおい、オルレアンの嬢ちゃん!こんな所で死になさんなよ!!俺達が助けた意味が無くなっちまう!!」


団長が悲痛な叫び声を挙げ、私はジャンヌを揺する。


「私は…大丈夫ですよ。ほら……私には神様が着いてくれて居ますから」

「馬鹿を抜かすな!神なんてモノは居ない!!」


目から涙が溢れ出る。

神なんて居ない。

それは私が物心ついた頃から心に誓って居ることだ。


だが、ジャンヌは私の心を見透かした様に微笑む。

何故、何故お前はそんな顔を出来るんだ。


「……ぅ、上を、見て?」

「上、だと?」


スッとジャンヌが空を指差したので、つられて皆が空を見上げた。

曇って居た空が割れ、黄金の様に輝く光の筋が我々を照らした。


一人、また一人と涙を流しながら光に向かって平伏し、懇願し始める。

どうか、どうか神がいらっしゃるならば、この残酷な運命に翻弄された少女を救い給え、と。

私も、あれ程神は居ないと信じて居たのに、あれ程誓った筈なのに、知らず知らずの内に跪き、ジャンヌの回復を祈らずには居られなかった。


一層光が強くなり、目も開けていられない程輝きを増した後、一瞬で光が消えてしまった。

皆、呆気に取られて呆然としている。

スッとジャンヌを見やると、目を閉じてはいるがあれ程真っ黒に焦げて居た両脚が、元の白い肌に戻って居たのだ。


神の奇跡


皆が光が差し込んで居た方角に再度平伏し、神の栄光を讃え始める。

何かのまやかしか何かでは無いかと、今一度ジャンヌの脚を触るがなんとも無い。


「ね?神様は居るでしょう?」

「……さあな。おかえりジャンヌ」

「えぇ、ただいま。私の親友」







コツンコツンと階段を降る。

格納庫の下には地下室が幾つもあり、地下埋蔵式の燃料を貯めて有る巨大タンクに寄り添う様にして、三つの部屋があるのだ。

一つは営倉替わりの何も無い部屋。

二つ目は程々に広いので食糧貯蔵庫として活用している。

そして、三つ目の部屋には…



Ave Maria! Jungfrau mild,

Erhöre einer Jungfrau Flehen,

Aus diesem Felsen starr und wild.

Soll mein Gebet zu dir hinwehen.

Wir schlafen sicher bis zum Morgen,

Ob Menschen noch so grausam sind.

O Jungfrau,sieh der Jungfrau Sorgen,

O Mutter,hör ein bittend Kind.

Ave Maria.


Ave Maria. Unbefleckt.

Wenn wir auf diesen Fels hinsinken.

Zum Schlaf,und uns dein Schutz bedeckt

Wird weich der harte Fels uns dünken.

Du lächelst,Rosendüfte wehen.

In dieser dumpfen Felsenkluft,

O Mutter,höre Kindes Flehen,

O Jungfrau,eine Jungfrau ruft!

Ave Maria.


Ave Maria. Reine Magd.

Der Erde und der Luft Dämonen,

Von deines Auges Huld verjagt,

Sie können hier nicht bei uns wohnen,

Wi r woll'n uns still dem Schicksal beugen,

Da uns dein heil'ger Trost anweht;

Der Jungfrau wolle hold dich neigen,

Dem Kind,das für den Vater fleht.

Ave Maria.



ドイツ語でシューベルトのアベマリアが聴こえて来る。

そう、最後の一部屋は礼拝堂なのだ。

私は無宗教者…いや、あえて言うなら戦争崇拝者だが、部下の中にはカトリックの連中が多いので、必然的に作らざるおえなかった。


部屋の中央にはわざわざバチカンから取り寄せた聖銀の十字架があり、祭壇もしっかりしたモノを用意してある。

そして、先程の歌を歌っていた本人がこちらを振り向いた。


「あら、珍しいですね。貴女がここに来るなんて…この礼拝堂が出来て以来かしら」

「あぁ、そうだな。たまにはそう言うこともあるさ」


勧められる前にドカッと長椅子に座る。

そして、ここの部隊の従軍司祭をしている人物を眺めた。


「ふむ」


OD色に紫のパイピングがしてある司祭服を着ており、胸元には今の国章であるスワスチカを脚で掴んだアドラー。そして目立つ白いシスター用のヴェールである。


「昔となんら変わらないな」

「そう言う貴女こそ変わりませんね」

「そうだな……」

「そうですね…」


ふぅと、お互いの顔を見合って溜息を吐く。


「そう言えば、どうしてここに?」

「なんでだろうな………嗚呼、ただ昔を思い出しただけだ」

「そうですの……昔は大変でしたからね、色々と」

「そうだな…さてと」


重い腰を上げて長椅子から立ち上がる。


「あら、もう行ってしまうの?」

「あぁ、なんでもハーベゲルンの近くに迷宮とやらが現れたらしくてな…それを見に行かなくてはいかん」

「あらそう…大変ですね」

「まあ、仕方ないだろうな。では失礼する」

「気を付けて下さいね。親友殿」

「分かっている。また来るぞ、ジャンヌ」

「えぇ、貴女に神のご加護があらんことを」


そして、聖女は微笑んだ。

さて、取り敢えず私的にはグッドエンドサイコー信者なので、こう言う結果になりました。後悔は半々です。途中途中で、私の文章力の無さに歯噛みをしました…

少佐に並ぶ化け物の三人目と言うことで、ジャンヌに登場して頂きました。

尚、この話は私の気分次第で改変され、途中が変わる可能がありますので悪しからず…

それでは皆様、次話で会いましょう。

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