遭難
諸君、アハトゥンク!
前回は三人称でしたが、今回は一人称です。
と言うか、基本一人称だと思って頂いて結構ですので、よろしくお願いします。
低いエンジンの子守唄と、車体の心地よい揺れに身を任せていると、足元から呼び掛けられた。
「いやー、隊長。今回もやりましたね」
自分の座席の右に即席椅子を作って座っている、茶髪の少女が話掛けて来た。
クリッとした髪の色と同じ茶色の瞳を持つ眼が特徴の少女だ。
「まぁ、な。これで車体の横のワルキューレの下に、また星が増えるのは確かだな。今回も野営地襲撃で、つまらなかったんじゃないか?ネルケ」
ネルケと言う名前のその少女は、人懐っこい笑みを浮かべて首を横に振る。
「そんな事は無いですよーっと」
そのおどけた声に、車内がドッと沸く。
先程自分達で地獄を作り上げたとは思えない陽気さだ。
「ネ、ネルケちゃん…ちゃんと…た、隊長には、敬語を使わないと…」
自分の左の座席にちょこんと座っている、気の弱そうな乙女が、ネルケに注意する。
別に自分は何とも思っては無いのだが、彼女には気に障るらしい。
「いーじゃんシューリー」
シューリーと呼ばれた乙女は、光の反射次第では少し青く見える黒髪を後ろで三つ編みにしており、気の弱そうな感じに似合っている。
少し罅の入った丸眼鏡の奥の黒い瞳には、何時も相手を窺う様な光を湛えている。
少しだけスッとした鼻の付け根に、ポツポツとそばかすがあるが、目立つ程ではない。
活発そうなネルケとは対照的に、見た目だけならお淑やかなお嬢さんだ。
この娘はこの娘で、中々の美人だ。
街中で、十人中六人の野郎は振り向く程だと思う。
「シュ、シュリヒト少尉…って、何度も言ってる…でしょっ」
白い肌を真っ赤にして、恥ずかしそうに反論する。
「まあまあ、ネルケもシュリヒトも落ち着け。私は何度も言っているが、隊の中では余り階級を気にするな。だがネルケ曹長、シュリヒトは…いやシューリーはお前の先輩だから、少しは尊重してやれ」
「はーい」
ネルケは頭の後ろで手を組んで、ニヤニヤしながら返事をした。
シューリーは、下を向いてモジモジしている。
ここはもう大丈夫だろう。本当の問題は、ネルケの更に奥で、鼻提灯を膨らませながら、スピースピー寝息を漏らしているヤツだ。
「おい、通信士。なーにを暢気に寝ているか」
少しだけずれて、ブーツの先っちょで鼻提灯を割る。
パチンと嘘みたいな音が鳴った。
その前に、鼻提灯なんて初めて見たぞ。
「うひゃあっ!寝てません、寝てませんからっ!」
「いや、お前完全に爆睡していただろう」
ヨダレを滴ながら飛び起きた少女は、挙動不審にキョロキョロと辺りを見回した。
そしてため息を吐いた。
コイツは私に喧嘩を売っているのではないかと、毎回思ってしまう。
彼女の名前はナハト曹長。
名前の通り、真っ黒な艶のある黒髪をストレートに腰まで伸ばしている。
確か、日本のヤマトナデシコとやらに憧れて、伸ばしているんだとか。
まぁ、瞳の色が青いし、東洋人には無い、鷲鼻では無いが高い鼻をしているから、ヤマトナデシコとやらには成れないだろう。
戦闘中は凛とした引き締まった顔をするのに、戦闘が終わった途端にだらしない顔に戻ってしまうのが、玉に傷だ。
「先ずはヨダレを拭いてから寝て無いと言うんだな」
「そ、そんなぁ。うひゃあ、これまた酷いヨダレを…トホホ」
まぁ自業自得だろう。
勝手に寝ている方が悪い。
「大体だなぁ。通信士が寝ていてどうする。他の車両から通信が入ってたりはしないのか?」
「あははは…ええっと」
冷や汗を掻きながら慌て無線機にかじり付き始める。何時もの光景だから、さすがにもう怒るを通り越して呆れてくる。
だからため息が出てしまうのは仕方無い。
「はぁ、まったくコイツと言い、我らが敬愛すべきクソチョビ髭伍長殿と言い…もっとマシなヤツは居ないのかぁ?」
「…イヒヒヒヒッ、※SSのクセに言う事が辛辣だねぇ。いや、むしろSSだからかいねぇ?」
「元、がつくけどな。博士」
※ヒトラー直属のナチス親衛隊の事
運転席の方から、歪な笑い声と共に皮肉が飛んで来た。
ここからは、丸まった猫背と長い金髪を後頭部で纏めてペンで留めている、髪型しか見えないが、博士は掛けている瓶底眼鏡が本当に似合う女性だ。
地味な美人、いや、残念美人とは彼女の事を指す言葉だろう。
我々の中では最年長で、IQ280の大天才だっ!とか豪語しているちょっと変な人だ。まぁ、信頼は出来る。
正式な名前を聞いた事も無く、聞いても『私は私だねぇ、博士とでも呼んでくれたまえよ』としか言って来ない為、早々に諦めた。
おかしな事に、この部隊には変なヤツらしかやって来ない。
特に女性しか来ない。
上官殿の陰謀なのだろうが、思い当たる節が多すぎて、大体のしか分からない。
要するにだ、上官の嫌がらせで訳ありの女共が、挙って集められて出来たのがこの部隊だ。
実にアホ臭い理由だが、私は少しだけ感謝もしているのは確かだ。
今なら、豚国家元帥とキスしたって良い。
あと、一部では『懲罰部隊』とか抜かしている輩がいるらしいが、そんな事は無い。はず。
「イヒヒヒヒッ、連中もずいぶんと嫌われたもんだねぇ」
「当たり前だろう。こないだ発表されたエリート育成計画だったか?女性を孕ませて、その子供に英才教育を施して自分の親衛隊にするやつ。あれはチョビ髭伍長殿が、私と何発もヤりたいから作った様なものだぞ。第一に、豚国家元帥やら親衛隊長に襲われた事すらある」
脳裏には、しっかりとあの光景が焼き付いている。
あんな光景を忘れる事など出来る筈がない。
ただでさえ頭髪が薄い頭に脂汗を一杯掻き、鼻の穴を膨らませてフンフン言わせながら迫って来るのだ。
悪夢以外の何者でも無い。
「…た、隊長は、その…えっと…」
「連中に犯されたって言いたいのか?」
「うぅっ…はぃ…」
シューリーが消え入りそうな声で肯定し、小さく頷く。
「そんなヘマなぞするか。近くにいた連中を数人射殺して、熱々の銃口を顔に押し付けて軽くお願いすれば一発だったよ。豚元帥殿なんて、逆に喜んでいたのを良く覚えている」
「隊長は、やることが過激だねー。そこが好きなんだけど」
イシシシシーと、ネルケが意地悪そうな笑い方をした。
「ふん。所詮野郎など下半身で生きている様なものだからな。実に分かりやすい」
「かく言う少佐は、まだ処女なのかねぇ。実は淫乱だったとかねぇ」
「えぇー、隊長がそんな訳無いでしょうが博士ぇ。あの隊長だよ?」
どいつもこいつも私に本当に喧嘩を売っている様にしかだんだん見えなくなって来るのは、偶然だろうか。一度立場を理解させる必要があるかも知れない。
「さぁて、私はどちらだろうか?吸血鬼に咬まれれば分かるぞ?」
私の冗談に、再び車内が笑いに包まれる。
実に心地よい。
こうして笑ってくれる部下がいる事は、至高の喜びだ。
最初にコイツらに会った時など、皆目が荒んでいたからな。
シューリーなど、一切誰とも話そうとしなかったから、それに比べたら凄い進歩だ。
「さて、そろそろ我が家に到着する頃だろう博士」
「イヒヒヒヒッ、後五分位だねぇ」
コマンダーキューポラを覗くと、向こう側に少しだけ漏れた光が見えた。
本当に後少しで到着するだろう。
早く帰って寝たいものだ。実際、連日の深夜出撃は疲労が溜まる。
皆何も言わないが、絶対に疲れているはずだ。
休暇を得る為に、久しぶりにお願いしに行くのも悪く無いな。
きっと連中、こぞって泡吹いて倒れるぞ。
「よし、『一号車より各車両へ、後少しで我が家だが気を抜くな。あぁ、今度上官殿から休暇をかっぱらって来るから、もう少し我慢してくれ。以上』」
車内は当然、僚機や基地の無線が沸く。
はっきり言ってとてもうるさいが、やはり嬉しいのだろう。
仕方無い、部下の為に一肌脱ぐか。
だんだん基地の光が近付いて来る。
博士にライトを点滅させて、前もって決めてある符丁で光信号を送った後に、整地した道路に入る。
これをしてからでないと、バンパイア暗視装置を装備した歩哨のパンツァーファウストを食らう羽目になる。
味方に殺されるのは御免だからな。
夜だから見えにくいが、簡単な鉄条網の柵で囲んだだけの、余り広くない敷地を我々は基地と呼んでいる。
一応戦車のハンガー位の建物はあるが、ハンガーと言っても打ち捨てられた大型倉庫を使っているだけだ。
実はそれ以外に建物らしい建物は無く、司令部などただの天幕だ。
それにこの部隊の構成人数も、80人と二個小隊と同じ人数しかいない。
もちろん基地の人数も合わせてだ。
前線基地も良いところだが、これには理由がある。
例えば、何故少佐の私が二個小隊しか持って無いか等だ。
まぁ、そんな事はどうでも良い。
これまた鉄条網の柵で出来たゲートを通って、なんちゃってハンガーに侵入し、整備兵の指示に従って、横一列に並べて停車させる。
コンクリート製の大きい倉庫に、こうも並んでいると中々かっこいいものだ。
六両ともⅣ号戦車F1型博士スペシャルだぞ。
実に博士はこう言う面でも優秀だ。
最初は普通のF1型だったのだが、気付いたら長砲身に装甲厚増加にシュルツェン?だったかキャタピラ側面や砲塔側面に、どっかから持って来た鉄板を間隔を開けて付けたり、エンジン出力も増加と来たもんだ。
問い質してみたら、確か48口径だったか?の長砲身は、いずれⅣ号戦車の主武装になる!とか、防御力を甘く見ている伍長殿は、いつか後悔して装甲厚を増加させるから、今やっていても損は無い!とか言って、何時もの薄気味悪い笑い声を、倉庫に木霊させていたのを覚えている。
そのせいで、パッと見Ⅳ号戦車だと分からなくなってる。
それに、勝手に規格外の口径にしてしまったものだから、炸薬や砲弾、薬莢の製造も博士が一人で、倉庫の隅に張った天幕の中で、機械を使って製造している。
一度覗いたら、本気で怒られた。
なんにせよ、やっと帰って来れたと思うと、疲労がドッと押し寄せてくる。
正直寝たい。
ハッチを開けて外に出ると、基地に待機していたヤツらが、歓声を上げながら走り寄って来た。
本当に可愛いヤツらだ。
彼女らに少しだけ構った後に、小走りで自室に向かう。
自室と言っても、やはりただの小さく天幕だが。
ネルケやシューリーに捕まってしまうと、長話に付き合わされてしまうので、追い付かれない様に小走りなのだ。
夜は灯火規制を行っているため、足許が見えずらいのが欠点だが、そんな事に気にしている暇は無いのだ。
途中誰とも会う事なく、倉庫から少し離れた所にある、自分の天幕の前に着いた。
急に小走りをしたせいで、少し息が上がってしまったので、呼吸を調えてから入る。
はっきり言って、私は使えたらそれで良いと思うタイプの人間だ。
よって、生活に余り関係無い物はそこまで必要出はないと思っている。
だから、私の天幕の中はベッドと机と椅子。そして少し大きめのなんの飾り気も無い衣装箪笥。
これしか無い。
前に、ナハトから女の子なのに物が無さすぎると怒られた位だ。
泥が跳ねたブーツを脱ぎ捨て、上着とズボンをハンガーに掛ける。
ネクタイも外す。
Yシャツ一枚でベッドに潜り込む。
せめてにと、ナハトがくれたピンク色の掛け布団を掛け、一瞬のヒヤッとする感覚に身体が震える。
「ちょっと…冷たいな」
暫くすると、だんだん暖まってきた。
それに伴って、睡魔がだんだん強くなっていく。
その睡魔に誘われる様にして、私は眠りについた。
★
真っ白な空間にポツンと私だけ浮いていた。
何も無いので、私がいま浮いているのかも立って居るのかも分からない。
それどころか、どっちが上でどっちが下、右も左も分からない状態でもある。
「ここは何処だ?」
勝手に口から言葉が零れ落ちた。
『ここは、大魔王にして闇の十二使徒を従える私の空間だぉ!』
何処からともなく、ふざけた口調の女の声が聞こえた。
「姿を見せろ!何処にいる!」
自分だけ姿を見せないとは気に食わん。
『まぁ、そん位なら良いぉ』
目の前にポンッと現れたのは、全身に黒い中世のフルメイルを着込んでいる人物だった。
珍しい形状をしていて、ロングスカートなんかも付いている。
生憎、ヘルムで相手の顔が見えないのが残念だ。
「一体何をした。目的はなんだ?場合によっては貴様を殺す」
「いやいやいや、怒らないで怒らないで…ゴホン、えー、君をこの世界に招いたのは他でもありません」
一つ咳払いをした甲冑は、何処からともなくカンニングペーパーを取り出し、読み始めた。
「君は何か願い事がある筈です。それの為にちょっとした凶行に出る気でもありますよね」
確かに、上官の所にカチ込んで休暇をもぎ取る気でいるが、何故分かった?
「そこで、何時か私とムフフな事をすると言う条件で、願いを叶えてあげましょう!…デュフフ…」
なんだか良く分からんが、きっとこれは夢に違いない。
きっと疲れているんだ。
だがまぁ、夢に付き合ってみるのも面白そうだ。
「おい甲冑」
「私は女だけど一応…」
「では甲冑女。貴様とムフフな事をするとはどういう事だ」
「それはもちろん!色々ペロペロしあったりぃ、チュッチュしたりぃ…グヒュヒュ、銀髪美少女とムフフとかっ、私得キター!ふぅっはっはっはっはっはっはっはっはぁっ!!」
コイツ頭大丈夫か?
いや、私の夢なのだから、私の頭がおかしいと言う事か?
それは嫌だなぁ。
「おい待て、まだするとは言っていないぞ」
「いやいやいや、するでしょするしか無いでしょ!…妄想したら濡れて来たぉぉ!!」
うぅむ、性欲に飢えているのか私は……
最近は忙しかったからなぁ、一人でする暇が無かったのは確かだ。
今度シューリーでも誘ってみるか。
「ふん、まぁ良い。貴様の条件を呑もう。所詮夢だろうしな」
「おやぁ?夢だと思っていらっしゃる?…まぁ良いや。それでは契約成立と言う事で!!あなたの願いは聞き届けられた…られた…られた……」
エコーがかかった様に、だんだんと甲冑女の声が遠退いて行った。
それと同時に視界も歪んで行く。
★
気が付くと朝だった。
天幕の入り口から、薄い光が射し込んでいる。
「やけに寒いな…かなり早朝なのか?」
真夜中に着ていた上着が目の前に掛かっていたので、ズボンと一緒に着込み、靴下を履いて、倒れて横になっていたブーツを履く。
ブーツの中が冷たくなっていた。
冷たさが背筋を通って脳天を直撃し、背筋がブルッと震えた。
「つ、冷たい…!!」
少し足踏みして、体を温めたら、天幕の入り口の布を押しやった。
途端に、濃密な霧がムワッと顔面に押し付けらる。
「やけに霧も濃いのか…こんな日は初めてだな」
取り敢えず、手探りで倉庫の方に進む。
途中途中、つっかえて転びそうになっては、両手を振り回す羽目になった。
なんとかコンクリートの壁に触る事が出来た。
そこから、壁に沿って歩いて行く。
倉庫の入り口は全開になっていたみたいで、中も霧もだらけで先が見えない。
「おい!誰かいないか!?博士!」
「…イヒヒヒヒッ、その声は少佐だねぇ?」
「うわっ!?」
後ろから急に声を掛けられて、心臓が口から飛び出すかと思った…
「驚かすんじゃ無い!心臓に悪いだろ!!」
霧の中から、ヌーっと白衣を羽織った博士が出てきた。
まるでレイスだ。
本当に不気味で恐ろしい事をしてくれる。
。
「一体どうなっているんだ?こんな霧は初めてだ」
「ここはどんな所だと思うかねぇ?少佐」
「おかしな事を聞くな。ここは草原だろう」
問いに答えると、博士は冷涼な口許をニヤリと歪ませ、瓶底眼鏡を中指でクイッと押し上げた。
「その様子だと、まだ何が起きたか知らない様だねぇ…ついてきたまえ」
「おい、ちょっと!」
博士に手をガッチリ掴まれ、ズンズン霧の中を進んで行く。
倉庫の壁の横に付けられた、錆びている階段を登り、屋上へと登る。
「バ、バカな…!?何処だここはーーっ!?」
目の前に広がっていたのは、緑の乏しい岩の目立つ山肌と、麓に広がる森、そして森に寄り添うように存在している小さな街。そして広大な草原だった。
「悪夢だ…これも夢に違いない…」
「いや、現実だねぇ」
「あぁ………鬱だ…」
一体どう言う事だ…まさか、あの甲冑女のせいなのか?
いずれにせよ、遭難したのは確かだぞ。
もし、あれがポリシェビキ達の管轄の街だったらエライ目にあってしまう…
「ま、まずはラッパを吹かずに全員を起こそう…それから現状を整理するんだ。博士、頼んだ…私は少し休む…」
「イヒヒヒヒッ、人使いが荒いねぇ。了解した、連鎖を起こせば造作もない」
博士がスウッと霧に溶け込んだ。
薄気味悪い笑い声と共に、カツンカツンと鉄製の階段を降りていく音がして、暫くすると、ツン裂くような悲鳴が聞こえて来て、それがどんどん増えて行った。彼女に任せたのは間違いだっただろうか…
頭が痛い…
と言うか、彼女は一体どうやって自分の位置を把握しているのだろうか…
暫くして、ハンガーの戦車の前に、部隊の全員が集合した。
未だに数人泣いている。
特にシューリーとかナハトとかだ。
一体博士はどうやって起こしたのだろうか。
「諸君、アハトゥンク!…まずは落ち着いて聞いて欲しい。我々は遭難した」
「「「「へっ?」」」」
まぁ、予想していた反応だ。
みんなポカンとしている。まぁ、無理は無い。
私だって何が起きているのか分からない。
誰か…いや、あの甲冑女に説明して欲しい位だ。
「もう一度言う、我々は遭難した。先程、博士に見せて貰ったのだが、何処かの山の中腹に基地ごと移動してしまったらしい。嘘だと思うなら屋根に登って自分の眼で確めてくれ。…そして、今後の方針なのだが…おいネルケ!まだ話しは終わっていない!」
そっと、倉庫から出ていこうとしているネルケに注意する。
まったく、好奇心旺盛なヤツだ。
シューリーに引き摺られて戻って来た。
「まず、この山の麓に街があるのを見付けた。だから強行偵察を行いたいと思う。何か意見は?」
ちらほらと手が上がる。
「はい、そこ」
「戦車で行くんですか?」
「もちろん、それしかあるまい。三両だけ出す。次」
「もし攻撃を受けたら?」
「可能であれば少しだけ攻撃し、戦力を測る」
「敵に戦車が出てきたら?」
「全力で逃げる。真っ直ぐに帰ると基地がバレるのど、迂回しながらだな。次」
「もし味方の街だったら?」
「物資を融通してもらい、無線機で総司令本部に連絡する。次」
「私達はどうなってしまうんですか?」
「…それは…私には分からないが、可能な限り諸君らを守る。他に質問は?……無いな、それでは強行偵察の人員の割り当てだが――――…」
Ⅳ号戦車F1型博士スペシャルについての補足、大体の形状はH型とほぼ同じ。ただし、主砲塔後部の雑用品箱の大型化とエンジン冷却排気口の形状変化、足回りの強化が施されている。
作品中の単語や、ここがよく分からない等の疑問が御座いましたら、感想にお書き下さい、感想の方でご返答致します。
『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ
このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!
正解しても何も無いけどね。
それでは行きます!
『急瀬』
これはなんと読むのでしょうか!
出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。
そして、前回の答えの発表です!
『戴勝』と書いて、『やつがしら』と読みます。
戴勝とは、ヤツガシラ科の鳥で、扇状に広がる冠羽を頭に見立てた事が名前の由来だそうです。
八頭とも書くそうです』




