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救出

桔梗を奥の座敷に案内した後、帰蝶は庭に出た。

「秋月、詳細を報告せよ」

帰蝶がそういうと、傍らに若い男が現れた。

「秋月、お前が付いて居ながら、サーガ様を顕現させ、

 力の行使までさせてしまうとは何たる失態」

「申し訳有りません。

 私の他にも傍観者が数名居て不用意に手出しが出来ませんでした」

「以前は最強の退魔師とまで呼ばれたお前が落ちたものだな。

 それで、襲撃者の素性は?」

「香港の富豪、王老人の手の者と思われます」

「あの王のじじいか」

「王国舅を知ってるのですか?」

「昔私を、金の力で何とかしようとした男だ。

 あのじじいが何故、今回の件を知ったのか?」

「東院の内部から情報が漏れたことも考えられます」

「あのじじいの事だ。恐らく今は不老不死にでも入れ込んでいるのだろう。

 まあいい、お前はこれから影より桔梗様の護衛を勤めろ。

 息子達だけでは心もとないからな」

「えっ?帰蝶様、楓様はお助けしないのですか?」

「あの老獪な王のじじいの事だ。どんな罠を仕掛けて待ってるか解らない。

 残念だが楓の事は忘れろ」

「解りました」

秋月は闇へと姿を隠す。


自分の部屋で寝ていた卓也は自分の上に何かが乗っているのを感じて目を覚ました。

「沙織か、また寝ぼけて」

卓也が目を開けると、そこに居たのは金髪の見た事も無い女だった。

「誰だ、お前は!」

女の重みで卓也は動けない。

「お前が帰蝶の息子か。イマイチ頼りない男だのう」

女は卓也に顔を近づけ、ふふふと笑い、

「我はフレイヤ、アースガルドの戦いの女神だ」

(あれ?サーガ様と同じ事言ってる)

「あ、お前、今私とサーガを比べただろう?

 私はあいつの事は大嫌いだ」

フレイヤは卓也の頬をぺしぺしと叩く。

「これから、楓を助けに行く。共をせい」

すっくと立った女神を卓也は不思議そうに見ている。

「その足りぬ頭では、状況が飲み込めぬのも無理はなかろう。

 私とサーガは、桔梗の中に内封されて居る女神なのじゃ」

「ひとりの身体を3つの人格が共有してるという訳じゃ。

 と言っても、この身体は、元々桔梗のものなんじゃが」

卓也はフレイヤに引きずられるようにして外に出た。


外に出ると暗闇から男が現れた。

「フレイヤ様、外出は控えて頂きます」

「秋月か、久しいの。お前はまだ帰蝶の下僕をやっておるのか?」

フレイヤは卓也の方を向いて、

「こいつはな。最強の退魔師の名を賭けて帰蝶に挑んだのじゃ。

 結果はコテンパンにやられて、帰蝶の下僕になる約束をさせられた。

 あの時の情けない顔は見物だったの」

フレイヤはケラケラ笑う。

「秋月さん、そんな事があったとは知りませんでした。

 お袋、勝負事になると容赦ありませんから。

 息子の僕も、修行でよく焼き殺されそうになります」

卓也は同情の言葉をかける。


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