術者
登場人物
・小笠原 卓也:本編主人公、炎術を少し使う
・桔梗:巫女
「あいつら悪者なんだよね?」
卓也は巫女姿の女の子に聞いた。
女の子はこくんとうなづく。
「任せて」
卓也は毎日母親にしごかれてる修行の成果を見せる時だと思った。
卓也は女の子の前に立ちボソボソと呪文を唱えると両手の平に火球が出現した。
怯んだ男達の足元に火球の投げると火柱となり男達の行く手を阻む。
だが、一人だけ炎の中を平然と歩いてくる男が居た。
「まさか、こんな所に術者が居るとは。
でも私にそんなチャチな炎は通用しませんよ」
卓也はその男の足元にもう一度火球を投げる。
だが男は止まらない。
じりじりと間合いが詰まる。
「あなたは炎で人を殺す事も出来ない半人前のようだ。
だが、それではその女は救えない」
男が拳を振るうと卓也は数メートル吹き飛ばされた。
激痛が身体を走る。
(あの男、何者なんだ。身体はおろか服も全く炎で焦げていない)
女の子は卓也に駆け寄る。
「この人は私とは無関係です。
あなた達の言う通りにしますからこの人には危害は加えないで」
「残念ですがその申し出は聞けませんね。
その男は我々を邪魔した。それに目撃者です。
目撃者に生きていられては困るので」
男は怪しく笑う。
「ごめんなさい」
女の子はふいに覆い被さり卓也のくちびるを奪う。
(なんでこの子、俺にキスしてんの?)
次の瞬間女の子は黒い風に包まれたかと思うと、
女の子の肌は褐色に変わっていた。