襲撃
登場人物
・桔梗:巫女
・楓:桔梗の世話をしていた少女
パン、パーン。
複数の銃声がする。
「探せ!必ず屋敷の中に居るはずだ」
侵入した賊達は何かを探している。
警備に当たっていた男が屋敷の主人に報告に来た。
「申し上げます。賊の数は数十人。ここに侵入されるのも時間の問題です」
「式神達でも防ぎきれぬのか」
「賊の中に相当の手練がおりまして、その者に式神達が次々に倒されています」
「賊は何処の手の者か?」
「賊の中に知った顔はおりません」
「まさか東院の手の者ではあるまいな」
屋敷の主人が、ひとりの女を呼び寄せ言った。
「楓、お前に頼みがある。ここはもう終わりだ。頼む、桔梗を連れて逃げてくれ」
「当主様、私も残って戦います」
「ダメだ。お前には、桔梗様を行く末を見届ける定めがある」
「鷹峯の東洲の所に行きなさい。帰蝶なら必ずお前達を守ってくれるはずだ」
そう言って男は、女を地下への通路に押しこめドアを閉めた。
「当主様!」
ドアは既に外側から鍵がかけられていた。
女は決心し急いで階段を下りる。
薄暗い地下にの一番奥には座敷牢がある。
部屋の奥には肌の白い巫女姿の若い女が座っていた。
「桔梗様、一大事です」
「楓、どうしたの?」
「説明は後です。どうか私と来てください」
女はそう言って座敷牢の鍵を開け、桔梗という女を連れ出すと、
二人で外へと続く抜け穴に向かって消えた。