ラシャメンについて・その一
毎朝「ばけばけ」を楽しみに見ているんですが、今週は結構きびしかった。
心が通じ合ってヘブン先生と結ばれたおトキ、幸せをつかみ、ついでに返済に200年かかると言われた借金まで払ってもらえました。これで万々歳と思ったら、そのことを新聞の記事に書かれたことで、
「借金のかたに異人に売られた洋妾」
と思われ、いわれのない非難を受けることになります。
それまでの「シンデレラ」的扱いから文字通り石もて追われてケガまでさせられ、ヘブン先生も逆上。まさに天国から地獄に突き落とされたかのよう。
なんやかんやあって今日の木曜日でやっと一段落しましたが、今週はもう一日、最終日の金曜日が残っているだけに、これだけで収まらないんじゃないかと心がざわざわです。
そして疑問が湧いてきました。
「異人さんと結婚したということで玉の輿、憧れの人、スター扱いだったのに、正式に結婚してないということでラシャメンと言われてあれほど手のひら返しを受けるものなのか」
そもそも最初にそういう誤解はありました。単に女中を探しているヘブン先生に周囲が気を利かせ、「夜のお世話」もできる人がよかろうと、女郎のなみさんに話を持っていきます。
なみさんは家のために身を売った女郎さん、いつかいい人に身請けされてここから出るんだとの夢を持っているので、ヘブン先生が来た時には、
「あの人のラシャメンになる」
と決めて英語の勉強をするほどの努力家です。
その時にまだヘブン先生とは関わりがないおトキやその親友のおサワと、
「ラシャメンはみんなに嫌われる、石とか投げんでよ」
「投げん投げん」
という会話がありました。結果としてその石を受けたのはおトキでしたが、それだけのことをされても構わないという覚悟を決めていたほどのおなみさんはすごい人です。
そこでさっきの「異人との結婚ならいいが妾はだめ」に対する疑問と同時に、
「当時は今とは貞操観念が違うから、相手が日本人の妾だったら借金のために身を売るのは親孝行とすら言われていたはずなのに」
との疑問も湧きました。
相手がヘブン先生ではなく、他の大金持ちとかなら、やっぱりその時もおトキは、
「◯◯さんに囲ってもらって親の借金まで全部返した親孝行」
ってなりそうな気もするんですよね。
あくまでドラマの中だけの話、実際にそうだったかどうかは分かりませんが、何がそんなに大衆の気に触ったのかがもう一つよく分からない。今だったら「本当は妾だったって」「えー」ってのもありそうなんですが。
それに「妻」と「妾」の差ですが、もしも入籍してるかどうかなら、当時はまだ二人は「事実婚」状態です。異人さんはそう簡単に公式に入籍できない。だからその意味ではあながち妾扱いも間違いではないのかも知れない。
実際に錦織さんのモデルとなった方はおトキのモデルになったせつさんのことを「ハーンの妾」と書いて残している。そのことでせつさんがラシャメンであったかどうかというのが今も議論になることもあるようです。
ハーン自身は息子に「お母さんは妾じゃなかった、自分はそういうことをする人間ではない」と言ってるようで、息子もお父さんはそういう人じゃなかったと言ってることと、せつさんが女中奉公に行ってから数カ月後に結婚したことから、ラシャメンとして行ったんじゃない気が私はします。元々が妾奉公のつもりで入ってるのなら、すぐにそういう仲になってたでしょうから。
もちろん時代のこと環境のこと、その地域のことその他もろもろでそういうのは今勝手に考えているだけのことですから、本当のことは分かりません。ですが、あくまでドラマのことだけで考えるなら、あの手のひら返しは大衆の「やっかみ」があったんじゃないかなと思いました。
国籍を超えたラブストーリーですが、どこかにやっぱりアラ探しする人は出てくるもんです。自分があの人の立場だったらいいのに、あんな大きなお屋敷に住めればいいのに、長屋の貧しい暮らしからあんな優雅な生活ができるなんて。その気持ちがあったところにうまいこと引きずり下ろすネタが投下されたから結果があれなのかもと思いました。
本当に勝手に持ち上げられてきゃあきゃあ言われて街もおちおち歩けない状態から、今度は「あんたらに売るタンメン、じゃなくてしじみはねえ!」とまで言われるようになるなんて、気の毒としか思えません。中身はいつもの愉快な松野家なのにね。
この後、あれほど「マツエ、スバラシ」から熊本へ引っ越すんですが、てっきりこの騒ぎが収まらなくて逃げ出すように行くのかと思っていただけに、一段落してホッとはしています。
でもなあ、なーんかヘブンさんの様子がおかしいんだよなあ。それから錦織さんの弟も。
残り二ヶ月弱となって、まだまだ波乱のばけばけでありました。




