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をぐらのさうし 巻之弐十六  作者: 小椋夏己
2026年  3月

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2000万ドルの価値ある一冊

 SNSでとてもいい話を読みました。


 ある書店での話なんですが、年配のお客さんがこれと同じ本を注文していると、読み込んでボロボロになった本を持ってやってきた。愛読していた本が読むのが困難な状態になってきたので、同じ本を注文されたんでしょうね。


 そしてそのお客さんが新しく買った本がいくらかと店員さんに尋ね、約千円だと答えたら、


「この本には2000万ドルの価値があるよ」


 と笑って言い、颯爽と帰っていかれたのだそうです。


 売価は確かに千円かも知れないけど、その本はそのお客さんにとってのまさにバイブル、人生を共に歩く相棒なんでしょう。それは2000万ドルの価値があって当然。


 私にとってそこまで価値がある本ってあるのかなあ。好きな本はたくさんあるけど、一冊をボロボロになるまでずっとそばに置いて繰り返し繰り返し読むというのは、そこまでのはないかな。それを思うとちょっと負けた気がしました。

 

 もちろん、何回も何回も読み返した本はあるし、どうしても手に入れたかった本もあります。


 小学校の時、一学期ごとに一冊、全員が何か一冊本を持ってきて、それを学級文庫に入れてました。本好きの私はもちろん色んな本を読んだんですが、その中の一冊を繰り返し繰り返し借りて、担任教師に呆れられた本があります。


「星の王子さま」


 白いハードカバーのその本には、挿絵がたくさんあって見ても楽しく、お話も大好きで、本当に何度も何度も借りては読み返してました。幸いなことにその本を持ってきた子は一年間ずっとその本を置いてくれて、他に借りる人がいなかったのか、それこそ飽きるまで読ませてもらえて幸せでした。


 今思えばどうして自分で買おうと思わなかったのか、親に買ってほしいと言わなかったかは分かりません。まだ小学生ですし、そこまで頭が回らなかったのか、もしくはハードカバーの本って結構高いので、それでだったのかなあ。もしくはずっと読めていたのでそれで満足していたのかも。


 学年が上がり、クラスが変わったからか、それからその本を読むことができなくなり、自分の手元にほしいと思って本屋さんに行ったら探したんですが、なかったんです。ハードカバーじゃない白黒のはあって、それを買って持ってました。内容は同じですし、挿絵も同じです。だからお話自体は読むことはできたんですが、自分の中でその本を欲しいという気持ちはずっと残ってたと思います。


 中学になって、何かの時に母にその話をしたら、


「大きい本屋さんで取り寄せてもらえばいい」


 と言われ、すごくびっくりしたんです。まさか取り寄せなんてそんな方法、あるとは知らなかったです。そしておそらく母が注文してくれたんでしょうね、ある時入荷しましたとお知らせがあり、母と一緒にバスに乗ってその本屋さんに取りに行きました。中学の制服を着たまま行ったので、家に帰らずにどこかで合流したんだと思います。


 そしてその本を手に入れました。ものすごくうれしかったです。自分だけの「星の王子さま」が来てくれた。


 それは大事に大事に読んでもちろん今もその本は本棚にあります。今は繰り返し繰り返し読むということはしていませんが、何かあったら引っ張り出してちょこっと読んだりはします。


 誰にも大切な2000万ドルの価値のある本があるんじゃないでしょうか。ボロボロになるほど繰り返して読んではいませんが、私にとってこの「星の王子さま」は今も宝物の一冊です。

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