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第3話 ノア

しばらく静けさが流れた。 エドリックは少年の指先をちらりと見て,眉をひそめた。 ルイは少し首をかしげた。 その短い沈黙の中で、二人は無言の意味を共有した。 ペルシャが顔を上げると、ルイは慎重に手を差し出しながら視線を渡した。


「行こう」


少年は部屋の片隅の小さな板を持ち上げて、狭い地下通路につながったドアを見せた。 通路は外側に向いていた。 そこは光がなかった。 そして通路の端に近づくと、光が微細に流れ始めた。 沈黙の村を離れると、3人はしばらく足を止めた。 冷たい空気の代わりに風が感じられ、ようやく息が切れた。 ルイは息を切らしながら言った。


「わあ··· とても窮屈だった。」


ペルシャは少年からもらった笛を注意深く見た。 笛には小さく何か書いてあった。 エドリックは笛に刻まれた文章を見ながら言った。


「字だね」


ペルシャは首をかしげて,笛をあちこち回して言った。


「字って、わからないな?」


エドリックは言った。


「私たちが使う言葉ではなく、これは雲の村の言葉だ。」


一瞬ペルシャの目が輝き、文字を見つめた。


「雲の村? じゃあ、これは名前なの?」


エドリックはうなずいた。


「私は雲の村の言葉がよく分からなくて··· たぶん、あなたにこれをあげた子の名前だと思う。」


雲の村、まだ行ったことのない神秘的な土地だ。 雲の村は空の上、雲の間に浮かんでいる神秘的な場所だった。 そこに行くには、地面から離れて空中に上がる道を選ばなければならなかった。 ルイは文書を見ながら言った。


「次は、雲の町に行くつもりだよね? 列車が··· 思ったより早く到着するんだって、急がないといけないみたいだけど?!」


3人は急いで列車が到着するところに車を引いた。 公共列車が到着するという標識を持った駅員が見えた。 遠くから重たい金属性の響きとともに列車が近づいてきた。 駅員は列車が近づくと、乗り込もうとする人々に言った。


「重量制限があるので、ちょっと検査をします。」


ルイは当惑して書類を探した。


「重量制限? あ、私が見なかったのか」


慌てて荷物を整理し直した。 不要な物は車に入れておいたまま、カバンを軽く作った後になってようやく搭乗することができた。 列車の内部は古典的でありながらも洗練されたデザインが調和を成しており、暖かい照明、窓の外に果てしなく広がる雲が見えた。 座席は4人用で構成されていた。 その時、4番目の席に静かに近づいてきた昼は自身を「ルーエン」と紹介して座った。 ルーエンは落ち着いた雰囲気を漂わせ、礼儀正しい態度だった。


「失礼でなければ、この席に一緒に座ってもよろしいですか?」


ルーエンが慎重に声をかけ、ペルシャは喜んで自分の隣の席を譲った。 ルーエンは席に座ってしばらくして、向かい合って座った人々に向かって落ち着いて口を開いた。


「お名前を教えていただけますか?」


ルーエンの言葉は礼儀正しさに満ちていた。 エドリックは微笑んで言った。


「エドリックと申します。 お会いできて嬉しいです。」


ルーエンはエドリックの手を取り合った。


「ルイ、私のことを説明したいんだけど、説明することがないね」


ルイが恥ずかしがると、ルーエンは自分になぞらえて共感した。 ルーエンは視線をそらし、ペルシャを見つめた。 ペルシャはそんなルーエンの目を見て言った。


「えっと··· ペルシャ」


ルーエンは微笑んで頭を下げた。


「よろしくお願いします!」


列車はスムーズに動き始め、お互いに語り合った。 ルーエンは雲村の人だと言った。 ちょっと用事があって、他の村に寄ってから帰るところだという言葉を付け加えながら、自分を紹介した。 まもなく、みんな休息のために各自の考えにふけった。 窓の外に広がる雲とかすかに窓から差し込む日差しは、ペルシャにセレムと恐怖をもたらした。 新しい未知の村が彼女を待っていることに私は震えた。


雲の町に着くと、列車はゆっくりと雲の上に止まった。 列車から降りると、足元には柔らかくて暖かい雲が果てしなく広がっていた。 まるで地面ではなく空の上に立っているような錯覚を起こした。 列車から降りたペルシャと一行はゆっくりと足を運んだ。 雲の上に建てられた村は大小の白い建物で構成されており、屋根は青色を帯びたタイルで覆われていた。 道端には色とりどりの花が咲いていた。 空中にかかった橋はまるで糸で編んだように軽く、その下にははるかな雲と空が広がっていた。


人々は皆、丁寧な表情でお互いに挨拶を交わし、どれ一つ緩みなく節制された礼儀が流れていた。 彼らの服装はきれいで端正なローブと装飾が目立ち、あちこちには雲の村の象徴である小さな翼の形が刻まれていた。 ペルシャと一行は村の広場に足を運んだ。


広場の真ん中には巨大な風車が立っていて、その周辺には古い石板が置かれていた。 周辺の商店は雲村特有の澄んだ軽い材料で作られた装身具、そして多様な発明品を陳列しておいた。 ルーエンは静かに言った。


「この村の人々は心を雲のように静かで、清らかに保つことを法と思っています。 他の村と違って、ここの規律はかなり厳しいので、気をつけなければならない点があります。」


ペルシャはうなずいた。 ペルシャと一行はルーエンの案内に従い、薄い霧が漂う静かな道を歩いた。 白い大理石で作られた塔はまるで空に触れているような威容を誇り、その表面には雲を象徴する古代文様が色あせた銀色で刻まれていた。


「この塔は『白石塔』と呼ばれています!」


ペルシャと一行は、その名前が単なる建築物ではなく、信仰と歴史が含まれていることをぼんやりと感じることができた。 塔の扉は自然に開いた。 その瞬間、内部から流れ出た空気はさわやかでぞっとした。 それはまるで長い時間の香りのようだった。


塔の中には大小の球体が空中に浮かんでいて、その中にはこの村の過去が封印されていた。 ルーエンが手を伸ばすと、球体の一つがゆっくりと回転して明るく輝いた。 その中には数百年前の光景が現れた。 大地をさまよっていた人々、崩れゆく土地、絶えず打ち下ろす暴風と稲妻。


「遠い昔、この地は墜落する星の破片によって荒廃しました、空と大地は割れ、村は空に浮かびました。」


エドリックは低い声で言った。


「村が空に昇ったって? 一体どうやって?」


ルーエンの目が球体の中の場面に固定された。


「普通の能力よりはるかに大きい能力をお持ちの方がいらっしゃいました、とても長い間住んでいたように見えましたね、その方は大地から離れて空の上に新しい基盤を作ることを決心し、自分の能力を利用して、この村を空の上に上げました。」


ペルシャは考えた。 とても長い間生きてきたように見えたという言葉を。 まさか私と同じ永生なのだろうか?


「それではその方はどうなりましたか?」


ルーエンは彼について語り続けた。


「それは誰も知りません、村を空に上げた後、なくなりました。」


ペルシャは目を細め,壁に刻まれた古代文字を見た。 その文字は動くようにかすかに輝き、まるで彼女に気付くかのような気分にさせた。 ペルシャは古代文字の文章を本で見たかのように言った。


「これは··· 魔法陣かな? 空を維持するための、巨大な結界装置のように」


ルーエンはうなずいた。


「そうです。この塔全体が村を支える魔法構造の核といえます。 だからこそ、ここは雲の村で最も神聖な場所であるのです。」


ペルシャは顔をそむけて,真黒な球体を見た。


これも過去が見えるのかな?


その瞬間、ある球体が突然振動を起こした。 光がきらめいて霧が漂い、一場面がはっきりと浮び上がった。 空が崩れ、島が揺れ、一人の女性が塔の前にひざまずいて祈る姿。 ペルシャはそれを見ながら言った。


「おぉ··· 過去に起こったことなのか?」


ペルシャが球体を見ながらつぶやくと、ルーエンは目を大きく開けた。


「そんなはずが··· あの場面は雲村のどこにも記録されたことがありません!」


ルーエンの言葉では、ペルシャが眺めた球体は一度も場面が見えなかった、まるで故障したように止まっていた球体だった。 ルーエンはやっと気づいたと、塔について語った。


塔はただ過去を保管する場所ではない。 過去と現在、そして訪れることさえ反映する、時間と魔法の重なる記憶の空間だったということだ。 ペルシャは感じた。 ここに長く滞在すればするほど、「永生」というものに隠された秘密に近づくことができるということを。


ペルシャは2階を眺めた。 そして視線が一つの球体で止まった。 2階の中央、透明だがまるで雲を集めて作ったような緑色の球体だった。 球体はかすかな光を抱いていて,驚いたことにペルシャの髪と同じ色だった。 ペルシャは慎重に階段を2階に上った。 球体の前に立ち、瞬間球体の表面が浮き上がり、内側に明るい映像が浮かんだ。


ペルシャは見てすぐに分かった。 ルイから時々他の村のことを聞いたので、知ることができた。 映像の場所は海の町だ。 少年たちが組手をしていて、人々は円を成して彼らを囲んで見物していた。 そして、その人たちの間に一人で座っている一人の少女が見えた。 ペルシャ自身だった。 続いてペルシャの後ろを通り過ぎる一人の少年、どこか見慣れたシルエット。 木の村、木の工房で出会ったその少年だった。 ペルシャは息をのんだ。


「…これ、私の未来なの?」


ペルシャは独り言を言い,すぐに向きを変えた。 ペルシャの視線は少年から離れなかった。 誰だ··· あの人··· 一体誰だからこんなに心が引かれるんだろう? 球体を通り過ぎ、階段を下りて1階に向かった。 心はすでに海の町に向かっていた。 そしてペルシャが塔を出ようとした瞬間、ルイが素早く足を運んでペルシャを捕まえた。


「ペルシャ、ちょっと待って。 どこ行くの?!」


ルイは突然塔を出ようとするペルシャを見て当惑した。


「海の村··· 行かなければならない」

「あの笛のネックレスをくれた子、名前を聞き出さずに行くつもりなの?」


その言葉にペルシャは立ち止まった。 指先でネックレスをいじりながら、しばらく目を閉じた。 そうだ、そうだったね…··· ペルシャはルイの手をぎゅっと握ったまま、ルーエンに向かった。


「ルーエン、このネックレスに刻まれた名前を読んでもらえるかな?」


ルーエンは慎重に頭をもたげ、ネックレスを見た。


「ノア」と書かれています。 平和と慰労、安息という意味を持っています」

「ノア···」

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