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第2話 ルイ

ペルシャはルイをちらりと見た。 本気なのか、冗談なのか分からない顔。 ルイはあごに手のひらを当てて軽く言った。


「私と一緒に冒険しよう、終わったら君の願いを聞いてあげるよ。“


車は風を切りながら、木の村に少しずつ近づいた。 ペルシャはルイの目を見逃すことなくまっすぐ見た。


「…うん。」


ルイはひそかに息をした。 どこか安堵の色が混じった、用心深い息だった。


車はいつのまにか木の村の入り口にたどり着いた。 巨大な木の根が絡み合ったまま、門のようにそびえ立った木の村の入口があった。


ペルシャは慎重に言った。


「ここが··· 木の村?」


彼らは入り口を通り,通りを歩いた。 樹齢数百年のトネリコが屋根になり、木の幹が柱になった家々がいっぱいだった。 職人たちが彫刻した木像が道端に置かれていて、空気はトネリコの皮から出てきたほのかな香りが感じられた。


ペルシャはあたりを見回した。 村全体が生きている森のように感じられ、すぐに自分に傾くいくつかの視線が感じられた。 古いローブとほこりっぽい服装が特に目立った。 彼女は肩を軽くすくめた。


その時,ルイは彼女に気づいて言った。 ルイはペルシャを町の奥の小さな店に導いた。


「ここで着られる服を一つ買おう。 その…··· 全部古い服ばかり着ているのではないだろう?


老婦人が経営するそこは、服一つ一つがきれいに置かれていた。 ペルシャは濃い紺色のローブ一つが目に入った。


「これ··· どう?」


表は暗い色、裏は青い絹。 腕と裾には古代文字のような刺繍が施されていた。 ペルシャがためらいながら着てみると、ロブはまるでペルシャの気運を記憶していた服であるかのように体を柔らかく包んだ。 ルイとエドリックはペルシャを見ながらつぶやくように言った。


「ぴったりだね」


「よく似合ってるよ。」


それを聞いたペルシャはしばらく口角を上げてうなずいた。


まもなく,エドリックはペルシャに木の町の奥深くにある木製の工房に行くことを申し出た。


「来たついでにお土産も一つ買うのはどう?」


ルイはエドリックによく提案したという目でペルシャを案内した。


そこには年配の職人が長い間彫刻しておいた小さな作品が壁に沿って並んでいた。 老いた猟犬が座っている姿の彫刻像、崩れた塔、獣の形…···


その中の一つ、片方の翼が折れている「海を失った鳥」の彫刻像の前にペルシャの足が止まった。 静かに彫像を見つめていた少年は, ペルシャをちらりと見た


「それは、海を失った鳥だ。 飛ぶことはできるが、海を失い、これ以上飛ぶ場所がない鳥。 他の鳥たちと交わることができないまま、止まってしまった鳥···」


ペルシャはなぜか目立つあの彫刻像が自分に似ているという感じがした。 少年に彫像についてもっと聞くために首をかしげたが、少年はすでにいなかった。


ペルシャは結局「海を失った鳥」の彫像を買わなかった。 ルイはペルシャに木の人形を渡した。



"このぬいぐるみ、なんかあなたに似てる"。


ペルシャはルイがくれた人形を嬉しく思って、贈り物を受け入れた。 ペルシャは木の工房を出て,考えた。


「でも··· 私の服と記念品を買うためにこの村に来たのではないじゃないか、あなたたちは何しに来たの?」




ペルシャが質問すると、ルイは待っていたかのように言った。


「実は木の村には行くつもりがなかったんだけど」


ペルシャは当惑した表情で見た。 ペルシャの表情を見ると、ため息をつきながらエドリックを言った。


”…あの子はただあなたと冒険したくてついてきたんだよ。“

「ちょうど次に行く町を決めてないからよかった!」


エドリックは呆れた表情でルイを見た。


「これからは私と相談して決めよう···」

「いや、わかった。」


ペルシャは当惑した表情で質問した。


「そう··· じゃあ、やることも全部やったし、すぐ次の村に行こうか?」


その瞬間、持っていた本が揺れながら床に落ち、自ら広がった。 何もないページが開き、金色のインクがするするすると流れるようににじむことなく湧き上がった。 文字はまるで生きているかのように並び、その文章は魔法のように書かれた。


「言葉が消えたところへ行け。」


馬が消えたところ、エドリックは見るやいなや悟った。


「沈黙の町のこと?」


沈黙の町、地図には存在しない、ルイは眉をひそめた。


「ああ、その村のうわさは知っている··· その町に行くには、戻れない道一つを通らなければならないと…···」


ペルシャは答えなかった。 本の文章をじっと見つめると、すぐに頷きながら本を拾った。


「すべての村を行かなければならないなら、沈黙の村、あそこから行こう。」


その時、初めてペルシャとルイの意見が食い違った。


「ペルシャ、存在すらはっきりしない上に、中に入って出て来られなかった者たちがどうなったのか、誰も知らない!」


エドリックは黙って2人を見た。 すぐにペルシャは視線を上げた。


「…約束したじゃん。 そこで死ぬならそれが私が望んだことだ!“


ルイはため息をついた。 口では反対したが、すでにペルシャのもとを離れるつもりはなかった。 彼は独り言をつぶやくように言った。


「…あなたが行きたければ、そうだ。 少なくとも私がそばにいれば帰ってくる確率はそれなりに高くなるだろう」


続いて彼はペルシャの後ろ姿を見ながら繰り返した。 君をまだ死なせたくはないから···


村を出る車はどこか不都合な沈黙の中で揺れた。 ペルシャはカバンを開け、地図を探した。 そうするうちにカバンの中で発見した物に目が大きくなって慌てた。


「海を失った鳥」、この彫刻像は確かに木工房にあるべきだった。 どうしてだろう···? なんで僕のかばんに···


ペルシャは推測した。 木の工房で出会った一人の少年、その少年を疑った。 そんなところもつかの間、鳥肌が立つようなひんやりとした感じで前を眺めた。 沈黙の町に行くためには,彼らは「ペイロン通り」という道を通らなければならなかった。 「ペイロン街角」、ドアが閉まると再び開くことができず、霧はすべての感覚を曇らせる。 その中では真実ではない言葉が耳元をうろつきながら心を試す。


エドリックを街角にたどり着くと、説明した。


「お互いを信じなければこの道を通れない。」


その言葉のように、ペイロン通りは信頼と信頼だけで通過できる場所だった。 街角の扉を開けると、霧が濃く立ち込めていた。


ドアが重く閉まる音とともに、霧が腰を包むように押し寄せてきた。 ペルシャは振り返った。 ルイもエドリックも見えなかった。


「エドリック···?」


答えがなかった。


「…ルイ?」


冷たい空気だけが唇の間に入り込んだ。 心臓は速く鼓動した。 その時だった。


「ここにいるよ。」


低い声だった。 ルイの声。 ペルシャは息をのんで霧の中に足を運んだ。 その音が聞こえてきた方へ、気をつけて。


また別の声が響いた。 まったく同じ声だった。 ルイの声、まったく同じ話し方、しかし正反対の言葉。


「それは私の声じゃない! ペルシャ、そこに行ったらダメだよ!」


足を止めたペルシャは、息を整えて座り込んだ。 霧の向こうからルイの声が聞こえてきた。


「ここだ!ペルシャ!」


「帰れ!」


「あの人たちの言うことを全部聞くな! 私が本当だよ!」


声がだんだんと絡み合い、一つの騒音のように響き渡った。 ペルシャは耳をふさいで目をぎゅっと閉じた。 だが、その瞬間ただ一つの声が、明確に霧を破って鳴り響いてきた。


「ペルシャ!ごめんね…···!」


その声は確かにルイがずっと聞いていたものだった。 しかし、感情が込められていた。 揺れ、荒いが真心のこもった声。


「あなたが心配で…! 約束したじゃん、私が殺してあげるって! でも、こんな危険なところに行くと言ったら…··· 約束がこわれそうで! 嫌だと言うしかないじゃないか···!」


ペルシャは耳から手を離し,じっと耳を傾けた。


「私のミスだ! もっと早くこう言うべきだったのに··· 信じて!ペルシャ」


ようやくペルシャは目を覚ました。 唇をぎゅっと閉じて、息を切らし、真心に従ってルイの声が聞こえる所に進んだ。 足取りがだんだん速くなった。 偽りの騒音は収まり、本物の声だけが彼女を導いた。


霧が薄くなると。 その最後にはルイとエドリックの姿がぼんやりと見えた。 彼らの後ろには低く大きな門がそびえ立っていた。 ペルシャはルイに抱かれた。 そうして、言い残したことを口にした。


「…私がごめんね。 そこまで考えられなかった···」


ルイはペルシャに抱かれて、ペルシャの言葉に対する答えを考えていた。


「それから··· 言ってくれてありがとう。」


ありがとうと言うのが恥ずかしいように耳が赤くなるペルシャに、ルイは少し微笑んだ。 彼は感情を大きく表さなかったが、言葉の最後に少し震える声が混ざっていた。 ルイはわざと平気なふりをして顔をそむけた。 彼の気持ちは明らかだったが、それを隠すのは下手そうだった。


すぐにルイの後ろにあったドアを開けた。 その向こうに沈黙の村があった。 罪を犯した者たちが自ら言葉を捨てたまま、生きるところ。 そこが沈黙の村だ。 目と手の動き、そして文章。 それらがこの村の言語だ。


3人は用心深く村を歩いた。 村は灰色に染まった建物が整然と並んでいて、屋根の上には苔と古いつるが絡まっていて、まるで時間が止まったような感じを与えた。 窓はほとんど閉まっていて、開いた窓の中にかすかな影がかすかに動いた。 人々は低い塀の後ろ,目の前で彼らを見た。 黙ったまま、沈黙で。


三人は無言の約束のように、用心深くその店の中に入った。 ワインの瓶が並べられた古い棚、ほこりに覆われたグラス、そして隅で小さな笛を弄ぶ少年。 少年は顔を上げたが、何も言わなかった。 ただ笛をそっと持ち上げたり下げたりを繰り返した。


「…こんにちは!」


ペルシャが思わず言い出した瞬間、店の空気が変わった。 遠くない所でコップが割れる音。 気づいたルイは腕で彼女の口をふさぎながらささやいた。


「ここでは言っちゃいけない…···」


静かに眺めていた店主は首を横に振り、手で「静かに」しろという動作を見せた。 まもなく周辺の人々の視線が鋭く差し込まれ、彼らはゆっくりと視線で3人をにらんだ。


やっとエドリックが壁に貼られた古い紙一枚を指した。 そこには手で書いたような文章が一つあった。


「言葉は罪の影だ。 無言の者だけが許される。」


その言葉の前で、3人は沈黙した。 沈黙はこの村の言葉であり、罰であり、許しだったのだ。 笛を持っていた少年はペルシャを静かに見つめながら、笛を再び聞いた。


周りの人たちの顔が一斉にこわばった。 ある人は首を横に振り、ある人は振り向いて窓を閉めた。 しかし、少年は止まらなかった。 小さな手が震えたが、唇はしっかりと笛の先を噛んでいた。


そして一音が流れた。 無言で叫ぶように、恐怖を突き抜けて響く音。 少年の瞳が一瞬輝いた。 小さな体が縮こまり、何が起こるか知っている表情だった。 店内の沈黙は固い壁のように沈んだ。 店主は無表情な顔で近づき、赤ワインを1本傾けた。 荒い指先から落ちた液体が少年の肩と笛にそのままこぼれた。 ワインは少年の笛の間を流れ、人々は目を背けたまま何も言わなかった。 ただ出て行けという手振り一つ。

少年はうつむいたまま、ゆっくりとドアを出た。 体は震えたが、表情はしっかりしていた。 少年が通り過ぎた場所に沈黙とワインの跡だけが残った。


しばらくして、暗くて狭い路地。 濡れた笛を胸に抱いたまま、少年は静かに壁に背中をもたせて座った。 ペルシャは静かにその前に立った。 風になびく髪越しに、少年と目が合った。


ペルシャは何も言わずに少年のそばにゆっくりとひざまずいた。 しばらくして、ペルシャの手にはハンカチがあり、濡れた笛のそばに触れた。 言葉はなかったが、温もりが伝わった。 ペルシャの後ろではハンカチの持ち主であるルイとエドリックが人々の冷たい視線を背にして、2人を静かに見守っていた。 ペルシャは少年を慰めるために手をかき回した。 ルイはそんなペルシャに気づき、手振りを教えてくれた。 少年は静かに体を起こした。 1本の指がゆっくりとペルシャに向かった。


「ついてきて」


少年は迷わず、路地の突き当たりに歩いて行った。 古い箱の後、少年は注意深く身をかがめた。 両手でボックスを押すと、壁の下に隠されたドアが一つ現れた。 低めの木戸。 少年は慣れ親しんで開いた。


内側は想像と全く違う空間だった。 小さな部屋の中には自分で削った木の楽器がきちんと置かれていた。 笛、鐘、いろんな木の楽器。 そして半分完成した奇妙な構造物。 少年は笛を1本持った。 息を整えると、口をつけて吹き出した。 その音はどこにもなかった言葉だった。 どんな言語にも翻訳できない真心であり、無言の叫びだった。


一音一音、少年はまるでこれまで言えなかったことを代わりに解きほぐすように演奏した。 小さな空間いっぱいに響き渡る音たち。 その中に少年の恐怖、希望、意志が込められていた。 演奏が終わり、少年は注意深くネックレスの一つを取り出した。 木彫りの、ごく小さな笛。


少年はそれをペルシャの手のひらに乗せた。 ペルシャは黙ってそれを見て,顔を上げて微笑んだ。 静かで、きらめく目つきで、感謝の言葉に代わった。 その瞬間、少年はそっと顔をそむけて、ルイとエドリックを見た。 ペルシャがネックレスをいじっていた時だった。 少年の口がとても小さく、ペルシャに聞こえないように動いた。


「この村で長くいると··· 言葉を失うことになるよ。」


少年はすぐにまた笛をいじりながら、何事もなかったように行動した。 しかし、彼の目ははっきりと語っていた。


「出ないと。」

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