表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

第4話「毒と策略で挑む初対決」

侯爵家の書斎。月光が大理石の床に差し込み、リリアーナの影を長く伸ばしていた。手にした手紙が、犯人の存在を示している。


「……ここまでくれば、逃げられない」


前世なら、ここで恐怖に負けていた。しかし、今のリリアーナには知識と覚悟がある。毒草の成分、微量の薬剤、そして宮廷内の微妙な心理。すべてが彼女の武器だ。


その時、扉が音もなく開いた。背の高い男が、書斎に忍び入る。


「――侯爵令嬢、何をしている」

低く冷たい声。リリアーナの心臓がわずかに高鳴る。


「……あなたが、宮廷の陰で動いていた犯人ですね」

リリアーナは手紙を指し示す。


男は一瞬たじろぐが、すぐに笑みを浮かべた。

「よくぞここまで……しかし、甘いな」


リリアーナは微笑を崩さず、手にした小瓶を静かに掲げる。

「これは微量の幻覚作用を持つ薬です。あなたの動きを鈍らせることができます」


男の目が一瞬で恐怖に揺れる。

「まさか……」


「私はただ、前世の失敗を繰り返さないだけ。宮廷を守るために動いている」

リリアーナは冷静に、しかし一歩も引かずに男に向き合う。


男は手を振り、手元の小型の毒瓶を投げる。しかし、リリアーナは予め準備していた香薬で防ぎ、瓶は床に当たると音を立てて砕けた。


「――ふっ、なるほど。やるな」

男は悔しそうに息をつく。


「これで終わりではありません。あなたの陰謀は、ここで阻止されます」

リリアーナは再び小瓶を掲げ、男の視界に薬の煙を漂わせる。瞬く間に男は動きが鈍り、書斎の床に膝をついた。


その時、扉が開き、皇帝が入ってきた。

「……リリアーナ、やはりお前の判断は正しかったか」


リリアーナは笑みを浮かべる。

「はい、陛下。これで宮廷の陰謀は一つ、防げました」


皇帝は男を取り押さえ、冷たい目で睨む。

「貴様、皇帝に逆らうとは愚かな」


男は何も言えず、ただ膝を屈した。


リリアーナは皇帝の方を向き、心の中で誓った。

「前世の私なら、この瞬間を迎えることすらできなかった。でも今は違う。知識と勇気で、運命を切り開く――」


皇帝は静かに頷き、リリアーナの肩に軽く手を置く。

「……面白い、リリアーナ。お前には期待できそうだ」


その言葉に、リリアーナの胸に小さな誇りと自信が芽生えた。

毒と策略、知恵と勇気――転生令嬢の宮廷戦いは、ここから本格的に始まるのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ