表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理不尽に女体転生させられた元ハンター、復讐フラグをへし折って生き延びます  作者: わんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/22

漏らしてしまう

 暗殺カメレオンを倒してからも森の中を進む。


 野営に適した場所は見つかっていない。アルゴスを連れて歩いていると、次第に周囲は暗くなってきた。


 あと30分もすれば夜になる。


 時間が無い。


 内心で焦りながら、イチカは周囲をキョロキョロと見渡していると、大きな木の洞を見つけた。中には熊がいる。手足や頭、背中には金属が付いていて防御力は非常に高い。また魔力を流せば攻撃にも使えるため、駆け出しのハンターなら逃げ出す相手だ。


 幸いなことに熊はイチカたちの存在に気づいていない。体を丸めて眠っている。


「アイアンベアよ。弱点は防具が着いていない腹の部分だけ。どうする?」


 体が丸まっているため弱点は隠れている。奇襲は難しそうだ。


「他の場所を探す……のは時間的にも難しいですよね」

「そうね。付け加えるなら、近くにアイアンベアがいたら危険よ。排除をオススメするわ」

「わかりました」


 覚悟を決めたイチカはAM-15をアルゴスに渡して、RM-1Kを受け取った。


 スナイパーライフル型で遠距離の攻撃に向いている。拡大スコープを覗いてアイアンベアを見ると、頭と体の間に隙間があると気づく。


 肉体部分にあたれば致命傷になる。


 イチカはしゃがんで左膝を立てると、右腕を乗せてRM-1Kを構える。銃身は安定している。呼吸を止めると、スコープを除きながら隙間を狙ってトリガーを引いた。


 音もなく魔力弾が放たれ、やや右にそれて体を覆っている鉄にめり込む。AM-15よりも威力はあるのだが、貫通までには至らなかった。


 奇襲されたアイアンベアは鳴き声を上げ、撃たれた方を見る。スコープから覗いているイチカと目が合った。


「敵は動き出してないわ! 次弾!」

「は、はい」


 また魔力を流し込む。AM-15と違って速射はできないため、魔力弾の生成に時間がかかっている。


 攻撃準備中にアイアンベアは全力で走ってきた。整地されていない地面なのに、速度は馬と同等だ。そのまま突進されてしまえば防御シールドを使っても危険である。


 あまりの迫力に股下が少し湿ってしまう。


 一瞬、イチカは逃げるかと考えたが、すぐに雑念を振り払う。


 慌ててしまえば狙いが甘くなる。既に経験済みだ。


 敵の移動スピードは想像より速いが、もう一発撃てるぐらいの距離はある。


 弾道の曲がり具合を考慮して狙い、トリガーを引く。


 生成されたばかりの魔力弾はアイアンベアの右目に当たり、頭蓋骨を通り過ぎて脳まで破壊した。


 手足が止まったが、勢いまでは殺せない。ゴロゴロと転がりながらイチカの右側を通り過ぎていった。


「目は狙ったの?」

「口の中を狙って偶然当たりました」


 偶然ではあったが運を味方にして勝ったとわかり、アルゴスは技術はまだまだとの判断をくだす。


「今度は狙って当てられるように」

「もちろんです。死にたくありませんからね」


 アイアンベアが迫ってきたときは、イチカは少し漏らしてしまった。それほどの恐怖を覚えたこともあって、次は一撃で仕留めると心に誓う。


 そのためにも訓練は重要だ。

 日々の積み重ねが技術の向上につながる。


 魔力さえあれば魔術弾は生成できるため、時間さえあれば技術を磨く機会は多いだろう。


「アイアンベアの死体を遠くにおいて寝床を確保しましょうか」


 死体が近くにあれば他の魔物が近寄ってくる。


 木の洞で寝るとしても、死体は離しておきたかった。


 足を持つとイチカはアイアンベアを引きずり、近くに流れている川に捨て、パンツを洗って脱水までした。その際、一部の肉を切り取っており、火をたいて焼いて食べた。


 塩すらないので、素材そのままの味だ。

 それでも数日ぶりに食べる肉は、格別に美味しかった。


 独りの食事を手早く終わらせると、リュックから布を出して木の洞で眠る。パンツははいていないが魔力起動式スーツのおかげで、股の守りは完璧である。


 警戒はアルゴスが担当だ。


 高性能のカメラで周囲を警戒している。


 夜も深まりイチカが完全に寝入っていると、アイアンベアの血の臭いに誘われてグリーンウルフが数匹やってきた。突風の魔術を使うことで有名な魔物だ。


 鼻を地面に着けて臭いを嗅ぐと、アルゴスの方を見る。


 寝ているイチカの存在には気づいているが、アルゴスが電撃を放って威嚇すると、すぐに逃げ出してしまった。


 各種センサーから近くに魔物がいないと分かっている。


 アルゴスはイチカのように、冤罪人として転生させられた人たちの様子を確認していく。彼らには同じようにサポート機械を派遣していて、生存への協力を惜しみなくしているが、全員が生き残れるわけじゃない。


 順調に力を蓄えている者は一部だけ。多くはエンの手によって地獄のような苦しみを味わっているか、死んでいる。


 エンを倒す協力者の育成に時間はかかりそうだが、計画はバレず進んでいる。


 そう考えれば今の状況は悪くない。


 アルゴスは今後の明るい未来を夢見て、計画を進めていくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ