凜は奔走する
独自の見解があり不快に思う方いらっしゃいましたら
申し訳ございません。
ただ、私は福祉が大好きです
本当にそれだけです
ー 遠山 凛 女性 ※1サービス付き高齢者向け住宅 介護福祉士 28歳 ー
21時30分
身体は冷たくなったいる。
映画やドラマなどではなく目の前にあるのは
ヒトではないそれが横たわっているだけ
それは間違いなく人だった、18時まではだが、 どことなく部屋も匂う
ヒトではないにおい
定期的な居室巡視の時間に凜はその場に居合わせてしまっただけ
これは何と言っていいか言葉にできないが
その扉を開けたときにくる、ツンとして少し甘い匂いは
もう凜を充分に納得させる要因の一つでもあった。
「うわ・・・マジか」
淡白で率直な感想しか出てこないものである
それと同時に、
18時にはそんなご様子はなかったはず
そんな ※2「申し送り」 は合ったのか?
一度居室を退室した後に真っ暗になった廊下で少し考え込む
時間にして1分程だったが物事の精査する順番を組み上げていく
凜は至って冷静であった
住んでいる人は25人、そのうちの一人が亡くなってしまっただけである
職員は凜だけである
暗い廊下のなかで凜は足早に居室をあとにした
※1サービス付き高齢者向け住宅
安否確認や生活相談が行え、60歳以上または60歳未満の要介護者、
要支援者が条件を満たせば入居できる。
比較的介護度(介護必要度)が少ない方が入居でき、
医療ニーズが高まると生活することが難しくなり、退去になることが多い。
ここまでが定義である
経営母体は株式会社、有限会社が7割近く占めていて
利益を計上しないと、いけない= 介護、医療サービス利用 に
強く依存している
本人が望まないケア、サービスの提供が行われている
施設があることが、問題視されている
入居時には施設付属のサービスの契約の強要
(入居することができなくなる)施設もあり
定義の本来のサ高住と逸脱していることが大きな問題である
行政より運営改善、指導が入ることは間違いないが
同時に多くの利用者(高齢者・生活保護受給者)の
うけ皿になっているのも事実であり
必要な福祉施設である
福祉サービス提供における報酬制度の改定だけでなく、
企業の倫理観保持の為の常駐的な監査や
福祉に利益を認めた行政がこの問題を企業の責任だけにせず、
何かしらのフォロー、バックアップ体制を引いたうえで
サ高住自体にメスを入れなければ多くの人が路頭に迷い
行政、家族 負担がさらに甚大になってしまうことが
考えられる。
※2「申し送り」 朝、夕礼時、職員の入れ替わりがある時に
各部署(介護・看護)より生活者のその日の情報を引き継ぎをする。
正確な情報を端的に正確に伝えることで
人員が入れ替わっても同様に接遇できる。