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しいなここみの交通エッセイ

キープレフトってご存知ですか?

 もうすぐ夏休みが終わりますね。



 私は大型トラックの運転手をやっております。

 夏休み中、道路にはレジャーに出かけるらしい乗用車さんが多くなりました。

 運転に不慣れな方が多くいらっしゃるためか、単に交通量が増えたからなのか、事故も多くなり、一日に四箇所で通行止めや渋滞になっているようなこともありました。


 そんな中で、特に交通量が集中しているような場所で、いつも気になることがあります。


 片側二車線の道路などで、交通量が右側車線に偏るんですよね。


 右側車線はギッチギチ、左側車線はガラガラ……。




 我々いわゆるプロドライバーと素人さんとの一番の違いは『視野の広さ』だと思っています。

 プロは先の先まで、左右や後ろまで、空の上から見下ろすように広くを見ています。


 それに比べて運転に不慣れなひとの視野は明らかに狭いです。直前しか見えていない感じがします。


 視野が狭いから、合流車などに直前になってようやく気づくから、合流車がやってくる左側車線は走りたくないのでしょうか?


 右側から合流車が入ってくるような場所もよくありますよ。



 ちなみに視野が狭いと、意外にも『速度』を感じることが苦手になります。

 今、自分が何km/hぐらいで走っているのかがメーターを見ないとわからず、走行ペースが不安定になりがちです。

 また、他車の速度を見るのも苦手になりますので、自分より速い車に追い越しをかけてしまったりされます。

 前を大型トラックが走っているのを見て『トラックは遅いだろう』と追い越し、前に入るなりトラックよりも遅くなってしまうような乗用車さんもたまによくいらっしゃいます。

『トラックの後ろは前が見えなくなるから嫌だ』とかなら、どうか車間距離をとって後ろを走ってくれないでしょうか。大型トラックは一定ペースで走りたいのです。それこそ不安定ペースで走る乗用車の後ろは、いくら車間距離をとってもぎゅんぎゅん後ろに下がってこられるので嫌なのです。




 ところで『キープレフト』という言葉はご存知でしょうか?


 日本では自動車は『左側通行』が義務となっております。


 これを某掲示板で発言したところ、こんなレスポンスをいただいたことがありました。


『なんで左側を走らないといけないのか理由がわからない』

『この前左側を走ってたら右側車線の車に嫌がらせみたいなブロックされた! もうキープレフトなんてしない!』


 ──これ、なんで左側を走らないといけないのか、その答えをご自分で言っちゃってらっしゃいますよね?

 そうです。右側を延々と走ってたら、キープレフトしてる車にとって、それが嫌がらせみたいなブロック状態になるからです。

 右側を走っていると、きちんとキープレフトしている車が合流車や遅い車を避ける時の邪魔になるから、基本的に自動車はみんなが左側を走っていなければならないんです。

 なぜ、自分が迷惑だと思うようなことを、自分はやるようになってしまうのでしょう?

 自分の『楽』が最優先なのでしょうか?

 それは『自己中』というものではないでしょうか?

 道路はみんなか使うものです。可能な限り、他車の邪魔にならないようにしたいとは思いませんか?


 ちなみに新名神の三車線区間とか、一番左側の車線だけ制限速度の違う場所はこの限りではありません。

 真ん中と追い越し車線は120km/h制限ですが、一番左側だけ80km/h制限ですから。

 キープレフトだからと一番左側を120km/hで走り続けていたら逮捕されてしまいます。

 またちなみに高速道路の大半の路線でトラックは左側車線規制となっておりますが、ど真ん中を延々と走る偽プロドライバーはとても多いということを、ここでトラック運転手を代表して謝罪させていただきます。




 一般道路でも右側車線を延々と走る車はとても多いです。

 これ、じつはとても危険なことだというのはご存知でしょうか?


 対向車が右折待ちをしていたとします。

 対向車線の右側を延々とやってくる直進車と向かい合う形になったとします。

 対向右折車が、『まだ距離あるから行っちゃえ』と曲がりはじめたとします。

 そこに対向直進車の左側から、ぶっ飛ばして車がやって来ていたら、事故になります。


 延々と右側を走る車の左側は、危険の潜むデンジャー・ゾーンなのです。


 自動車の死角は左側に多くあるものです。

 ゆえにキープレフトして左側の死角を塞いでおくのが安全運転の基本です。

 キープライトしているドライバーさんは、わざわざ死角を増やして危険運転をしていると言わざるを得ません。




 以上、簡単ですが、キープレフトの必要性を説いてみました。





 あ、最後に。


 私は基本的に左側しか走らないのですが、そうするとギッチギチになっている右側の車列をササーッと抜く形になってしまうことがあります。

 そこで白い煙をモクモクと吐いている故障車に追いついて、右側に車間距離のだだっ広く空いているところへ車線変更しようとしたら、だだっ広く車間距離を空けてらっしゃる乗用車さんが急加速してきて、クラクションを鳴らされて、会社に「割り込みされた!」と通報してくださったことがありました。


 やめてくださいね。


 キープレフトという言葉をご存知ですか?






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― 新着の感想 ―
実は不思議な事に最近の車に搭載されている各種センサーは、キープレフト状態だと左に寄せすぎだと判断しているのか、警告音を発する場合がありますよ。ラインオーバーもオンラインもしていなくても、ですね。 M○…
[一言] キープレフト知ってます! 教習所で習って、走らなくちゃならないのは分かっているんです。でも、自転車道がきっちりと整備されていないところって意外と多く、今度は自転車を轢きそうになるんです。急に…
[一言] キープレフトって何? へーそんなのあったんだ。 まぁ、免許証返納してるんでもうどうでも良いんだけど。 でも免許証を所持していた時は大手運送会社(此れ大事)の大型トラックにはお世話になっ…
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