第4話
内部スクリーンの一部の映像が変化する。
送り込んだドローンから入手した映像だ。
「音声を起動してくれ」
「了解しました」
サーピに声をかけると、内部スクリーンに合わせて声が聞こえてくる。
ただ、最初はただのなぞ言語だ。
「聞いたことがない言語だな。このあたりはスラブ語が幅を利かせているはずだったんだが」
「英語に近いニュアンスを感じますしかしながら現在の英語ともまた違う単語が聞こえてきますより平易にした英語といったところでしょうか」
サーピの分析は大体当たっている。
パッと聞いた時には、俺も英語の一方言に聞こえていた。
だが、それでも明らかに知らない単語が続々と出てくるところからいっても、俺が知っている英語ではないことは間違いない。
「翻訳できそうか」
「翻訳機能起動中現状7割9割100パーセント可能翻訳開始します」
翻訳についても、サーピのデータベースと照合しつつ、発せられている音素などから単語の意味を推定することができる。
ただしこれも、いくらかの連続した文章などが土台に会って、それぞれの単語を確認していく必要があるため、しばらく会話を聞いておく必要があるという欠点もあるが。
映像に映されているのは30代であろう男性1人、10代前半の男子1人、強化外骨格機械に身を包んだ者が2名だ。
話しているのは30代と機械のうちの1人だけらしい。
男性も男子も、服は麻のような質素な半袖の上に、少し軟らかくほぐした麻の半ズボンを履いている。
一方の機械側は、どう見てもマシンガンのような武器を今は屋根側に向けて、男性らにたいして威嚇するかのようなそぶりを見せつつ圧迫していた。
「ですから、今はまだ支払える状況にありません」
「だが税の取り立ては今日だということは知っているだろ。どうするのだ」
息を吸うタイミングがあるから、どうやら両者とも、純粋なAIではないらしい。
「お前らはそれを知っていながら、それを怠った。十分に罰するに値する」
ガシャンと音を立てて、2人の銃口が十分な殺意をもって向けられた。
「ああいかんな」
俺がつぶやくと、一瞬でサーピも同じ反応を示してくれた。
「戦闘モード起動要保護者を選定指定を完了武装者を選定完了速やかに脅威をランク付けこれより排除を実行します」
「ああ、久しぶりの戦闘だ」
銃器はあらかじめ調べていた。
ちゃんと動くことを信じて、俺らは金色の小麦畑を蹴り上げていき、そして家へと突貫した。