第48話
「……ここか」
支部、というからにはそれなりの規模になるはずだ。
そう思っていても、想像よりもはるかに大きい建物群を見ると、圧倒されてしまう。
「以前も、ここには来た記憶があるな」
今はサーピの外殻の中で、モニターを通しての観察だったが、それでもそれなりに記憶と照らし合わせることはできる。
「はいここには来たことがあります私の記録と照合するにここには疑似生命体戦争で遭難する1週間前に作戦会議の聴講のために来ましたそのときにはここまで建物群という形にはなっておらずシンプルな司令部が一つと武器庫と工廠があるところでしたが」
サーピが俺の記憶が正しいことを照明してくれる。
一方でこの支部がどこまで発展をしてきたかについては、語らなくても見える。
「周辺を観察せよ。当支部の入口を見つけてほしい。そのうえで侵入を試みる。できるだけ戦闘は避けたい」
「了解しました周辺の探索を開始しますドローン偵察を開始データリンクを確立監視映像展開します」
サーピの言葉と同時に、支部を取り囲む灰色の無機質なコンクリート壁の一部が、ドローン3機からの映像に切り替わる。
すでに飛行しているようで、1機は右方向、1機は左方向、最後の1機は垂直方向に飛んでいるのが、映像から読み取れた。
「壁は高さ3メートル60センチあります壁の上部には有刺鉄線が三重に巻かれ登ることは難しいでしょう横35メートルごとに自動操縦型機銃が据え付けられており水平方向基準にして下60度上90度まで攻撃ができるようになっています」
サーピは淡々と、そして的確に何があるかの報告をしてくる。
「ああ、はっきりと見えるな。あの機銃の射程距離に、俺らはいるのか」
「残念ながらその問いに関してはその通りですと答えざるを得ないでしょう」
と会話をしていると、急にけたたましい音が鳴り響く。
「緊急回避実行せよ」
「了解」
音と同時に、俺はサーピに叫んでいた。
途端、先ほどまでいたところに、何かが撃ち込まれる。
それが何なのかを考える前に、ドローンが2機破壊され、それから男性の合成音声が響いてきた。




