第38話
「ここがエレベータールームだよ」
案内されたのはいいのだが、エレベーターの扉は右半分が取れてなくなっている。
左半分もかなりガタが来ているようで、そもそも動くのかが不安なレベルだった。
「久しく、これは使われていないようだな」
「そうだねこのエレベーターを使うのはざっと1万年ブリくらいになるね」
プーラが言ってくれるが、それ以上にちゃんと動くのかが不安になってくる。
「あちゃんとハコは動くから大丈夫だよ心配しないでね」
言われても、心配なものは心配なのだが。
いいながらも、プーラはその腕を伸ばして壁の一部分へとかざした。
きゅんと甲高い、まるで弓矢が耳の横を通って行ったかのような音が鳴ると、ガタガタと音を鳴らしながら、エレベーターが降りてくる。
「これで目的のところまで行くよ」
ガチャンと一際派手な音が聞こえると、エレベーターは目の前で止まった。
なお左側の扉が開くことはなかった。
「とりあえず乗ろう、いかないと難しそうだからな」
俺がいうとまずはプーラが、それから俺とアクーリクが乗り込んだ。
最後にサーピと中にいるレーニスがエレベーターへと乗り込んだ。
中は思った以上に広くて、俺らがもうひと組いてもまだ空間は余りそうだった。
「目的地はデータ閲覧室でよかったよね」
「ああ、頼んだ」
伝えると、地震かパイルバンカーをま隣で使われているかのような、ものすごい振動を感じる。
お世辞にも乗り心地はいい、ということはできないだろうし、レーニスはいいが、アクーリクが心配になるほどの揺れだ。
「大丈夫か」
足にしがみついているアクーリクは、返事ができないような状態になっていた。
「もうちょっとだからな、頑張ってくれ」
俺がいうが伝わっているとは思わない。
できるだけ大声を出したつもりだが、どうやらそれ以上に周りがやかましくて話が聞こえていないようだった。




