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負傷兵  作者: 尚文産商堂


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第37話

「案内図だよここからデータ閲覧室へはエレベーターで上がっていくよ」

といわれて建物の中にある、まるでショッピングセンターにでもあるような、腰ぐらいの高さがある、斜め45度くらいに傾いた板の上に描かれている案内図を見せられる。

但し問題なのは、それが28000年くらい前の英語で書かれているということと、あちこち痛みすぎていて、読める部分がほぼほぼないというところだろうか。

「ここが閉鎖されてから、いったいどれくらいたっているんだろうな……」

「ここはまだ閉鎖されていないよまだ現役だよまだまだデータを集めているんだから」

プーラは閉鎖、という単語に強く反応を示した。

今の内装からみて、人が来なくなって久しいというのは間違いないだろう。

それがどれくらいの長い間かというのはわからないが、それでもプーラは孤独に耐え続けて、ここをメンテナンスを続けていたらしい。

人が動いて、データの格納をして、再びここに誰かが来る時まで。

そして俺らがようやく訪れた。

「とりあえず、エレベーターまで案内をしてほしいな」

「分かったよエレベーターはこっちだよ」

プーラは案内図から視線を外すようにして動きだし、案内図から見て左側へと進みだす。

「……一つ、聞いてもいいか」

「何でも聞いて答えられるものはちゃんと答えるよ」

「ここに保存されている、一番古いデータってのは、どんなのだ」

「データ保管室に保管されている最古のデータは1994年のEUと手野武装警備の間に交わされた一連の協定文書だよ」

「内容を簡単に教えてくれないか」

歩きながら、俺はプーラへと尋ねる。

とはいうものの俺はこの協定を知っている。

手野武装警備に雇用された際に教官が簡単に教えてくれたからだ。

「協定は1994年4月1日付で発行されて今も効力があるよ内容は手野武装警備はEU内をパトロールする義務を負うこと手野武装警備はEU軍と協力することEUの加盟国は手野武装警備に自国の軍と同一の権利を与えることの3つの柱とEUが敵と認めた勢力との交戦規定に関する付属議定書からできているよ」

その通りだ。

もっともかなりはしょった説明というのは間違いないが、大まかな理解は得られる。

つまり、ここはちゃんと今も生きているという理解だ。

「よし、分かった。それで、今の最新のデータはいつの、どんな内容のデータだ」

「最新のデータは西暦31091年3月4日付手野データ日報だよ」

「内容は」

「ここ20000年は変わらないよただ平和が続いているというメッセージだけだよ」

事実と言えば事実だろう。

問題となるべきなのは、それが届いていて今もデータとして蓄積されているという事実だ。

「データは変わらず送り続けられているんだな」

「そうだよ」

プーラは立ち止まって俺へと向き直りながら答えた。

どうやらここがエレベーターの扉らしかった。

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