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負傷兵  作者: 尚文産商堂


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第26話

「情報アップデート完了しました」

「終わったか」

考え事は後回しだ。

ともかくアップデートが終わったサーピへと話を聞くことにした。

「それで、どうなんだ。28000年間の技術進化の成果は」

「はっきりと言っていいのであれば何かあるかといえば全くといっていいものはありませんでしたしかしながら周辺の状況と現在の地球の状況についてははっきりと理解することができましたこの城においては現在のところ必要なものはありません」

「なんと、何もないというのか」

電気はこのサーバールーム用のものしかなく、ほかのところは松明のようなものか明かり窓しかない。

ただ、シビイラからの情報は、この分断された知識しかない世界でようやく得られた体系的なものになる。

とても貴重なものなのは間違いない。

「はいこの城は単なる中継地点ですまず人間種から得られた小麦類は税金としてごく少量以外は全て機械種がここへと運び入れていきます機械種はそれを有翼種へと渡し有翼種が小麦類を別の場所へと輸送を行っているようですそのための飛行ルートも設定されていることが判明しましたがこの数十年はその指示が出てきていないようですどうやら更なる上位主からの命令が出ていないようなのです」

「上位主ていうことは、つまり上位AIがいるってことだな」

「その通りですなのでシビイラは単にこの周辺の管理を任されているだけということになります」

さきほど俺が知った情報と、大差はないようだ。

だが、それだけではない。

少なくとも、ここから別の場所へとのルートも以前はあったということが間違いなくなったわけだ。

「ん、じゃあ今は小麦類はどうしてるんだ。ここのやつらだけで食べるにしても限界があるだろうさ」

「破棄されています一部は翌年以降用に貯蔵されていますが貯蔵量を超えた分に関しては全て加工あるいは破棄という形をとっているようです少なくとも現状10年は全てが破棄に回されています」

「もったいないなぁ。だが仕方ないのか。輸出する手立てがないんだからな」

シビイラが今まですべてをまわしていたのだろうと思うと、何やら哀れにも思えてくる。

永遠に来ることのない命令を待ち続け、その命令が来た一瞬のためだけに万全の準備を備え続けている。

「シビイラさえよければ、連れていきたいところではあるんだよな。これからここにいたとしても、永遠に同じことの繰り返しだ」

「AIなのでそれについては苦痛は感じませんしむしろそれを喜びになるように作られていますので」

サーピがそれをいう。

シビイラは今は黙ってしまっていて何かを考えているようだ。

「もしよろしければ彼を頼みたいのですが」

シビイラは何かを頼もうとしているようだ。

ようやく画面が変わり、先ほどのような城内部全体の図から、大量の職員名簿へと移り、それからある一人の有翼種の名前を強調表示させる。

「レーニスくん、君は俺らと一緒に来るか?」

「えっ」

相変わらず部屋の外にいたレーニスに、俺は唐突にも話しかける形となった。

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