第21話
時折松明のようなものを照明としている廊下の中を、ただただ歩き続ける。
意外と中は大きい印象があった。
そしていくつかの階段を上ったり下りたりしていると。
「おいっ」
誰かが俺らに声をかけてくる。
振り向くと、それは両翼の翼全体が真っ赤になり、明確に威嚇をしていることを認識させてくれる。
「貴様らは誰だ。機械種と人間種か。どうしてここにいる。それにお前、なんで持ち場を離れた。壁の修理は終わったのか、終わったとしても、あそこから離れるなということは知っているだろう」
「セナードスで合ってますよね」
サーピはゆっくりと理解がしやすいように尋ねた。
それを聞いただけで、彼は何か機械種とは違う違和感を覚えたようだ。
「雰囲気が機械種ではないな、ただ中に人間が入っているという雰囲気もない」
「こちらの方はエイアイ様です。それも御三家筆頭の手野家から来られました。この後ろの人間種は、エイアイ様の従者です」
「これはこれは、このようなところまでご足労いただき、恐悦至極にてございます」
威嚇をしていた赤色の羽は、ゆっくりとオレンジ色、それから青色、紫色と変化して、最後は黒色になった。
どうやら敵対の意思はないということを示したいようだ。
さしがに土下座のようなことはなかったが、深々と頭を下げて、恭順を現している。
「ここの通信端末を借りたいのです、この者に案内をさせているところです」
「いえ、私は貴方様の行動を止める権限は有しておりません。しかし、城の維持管理のためのエイアイ様へとあらかじめお話いただいておりましたら、お出迎えさせていただきましたものを」
「ことは急を要するのです貴方もよく知っていましょうが世界は常に変わらずしかし変わるのです」
案内を、とサーピがレーニスへと告げると、はい、と言って一番近くにある情報端末の部屋へと案内を続ける。
「ついて行きましょうか」
一方で無視された形となったセナードスは、サーピにその場で止められる。
「今用があるのはレーニスのみです貴方は必要ならば呼びましょう」
なんとなく、レーニスがドヤッとしてセナードスに顔を向けたような気がした。
「わかりました。では何かありましたらご随意に」
セナードスは頭を再び深々と下げて、それからどこかへと飛んで行った。
「あいつは君の上司なのかい」
俺はいなくなってから再び歩き出すレーニスのすぐ横まで軽く駆け、それからして尋ねた。
「上司、というのがどういう者なのかは知らないですけど、でも、自分へ指示を出している唯一の人ですね」
先ほどと同じように、なんとなく浮かびながら、レーニスは答えてくれた。
それが上司というものなのだが、この時代になればそういう単語がないのかもしれない。
「あ、ここです。こちらの中に、情報端末があります」
しばらく歩き続けてから、ようやくレーニスはある部屋の前で止まる。
俺の目には何も書いているようには見えない看板を指している。
「サーピ、何が書いているんだ」
「ここには報知部屋と書かれていますね今は中には誰もいないようなのでこのまま入りましょう」
途中からアクーリクは疲れてしまったようで、サーピの中で眠っている。
そしてそのまま、報知部屋へと俺らは入った。




