第17話
「……誰かいるな」
俺がぼそりとつぶやく。
「把握済みです」
すでにサーピはそれを見つけていたようだ。
だが、アクーリクはというと、どこかわからないようで、映像の中でどこに視線を合わせればいいのかわからずに、だたきょろきょろとするばかりだ。
「サーピ、相手のことをよく見えるように、色相を補正してくれないか。できればアクーリクにもわかるように」
「了解しました」
とたん、何か緑色をしていたドローンからの映像は、補正を受けた、いわゆる普通の三原色の世界へとなる。
そこは暗くはあるものの、はっきりと理解できるのは物置のような空間であるということだ。
「あのドアの向こうは」
「不明ですしかしながら熱源が近づいているのとドローン近傍に動く影を視認しました現状ドローンは発見された形跡はありませんが念ためモノの上へと移動し大人しくしておきます」
木箱が複数置かれていて、そこの上へとドローンは着地した。
できるだけ全体が見えるようにきたおかげで、部屋の全景がようやく把握できるようなる。
今はどうやら荷物の出し入れはしていないらしく、ピラミッドのように置かれた12個の木箱だけが壁際に積み上げられているだけだ。
ドローンはその木箱の山の一番上にそっと乗っている。
その部屋のはし、壁際に何か動いている影がはっきりと見えるようになった。
「有翼種様です」
「有翼種、翼がある人間ってことか」
たしかに、子供と呼ぶよりかは大きいが、大人というにしては小さい。
背中の肩甲骨のあたりから左右に、身長ほどの長さがある翅をゆらゆらとさせながら壁で作業をしているようだった。
「いえ、人間ではなく、有翼種という種族です。彼らは僕たちがしっかりと作業ができるように、周りを見張っていてくれて、何かあればすぐに来てくれる存在です。彼らも、また、エイアイ様からのご指示によって作業をしています」
「どうして彼らが生まれたかは知ってるか?」
「愛書によれば、有翼種は、その翼と目をもって、エイアイ様の手足となり、この地の隅々までを見張ることを目的としているとされています。そのため、エイアイ様は有翼種を機械種と人間の間とし、有翼種をもって各地への伝令や、禁じられた場所の見張りなどの兵士として使っています。有翼種によっては、騎士として重用され、機械種へと仕える者もいるそうです」
「じゃあ、ここで何かしらの作業をしている有翼種はどういうことだ。これも、機械種からの指示ってことか」
「僕にはわかりかねます。ただ、愛書にはそう書かれているということだけです」
全ては愛書に書かれた通りに、ということのようだ。
エイアイというのは、きっとAIで、管理プログラムでもあるのだろう。
そして、今わかっているだけで3つの種族、人間種、有翼種、機械種がある。
AIはこの3種を用いて、うまいことしているようだ。




