第16話
ドローン偵察は、とてつもなく静かで、なおかつ小さいほうがいい。
発見される確率を、できるだけ下げるために必要なことだ。
「準備できしだい、発進してくれ」
「了解です」
サーピに言うとすぐにガチャンと蓋が空く音がして、ブーンと飛んでいくのが、モニター越しに見える。
正面モニターに3つ、新しいウィンドウが開いて、そこにそれぞれのドローン偵察機が送ってくる映像が見える。
どの方向にもずっと続いているかのような焼き煉瓦のようなオレンジ色をしている。
だが、それが百メートルも歩かないかくらいのところで窓が開いていて、そこから出入りができるようだ。
「今日は、どこにもいないようだな」
「入りますかどうしますか」
サーピが俺の独り言を聞いていたのか、提案をしてきた。
「よし、ナンバー2の機体を少し入れてみてくれ。誰かいたらすぐに引き返す、引き返すことができなければその場で自爆か使用不能な状態に」
「了解しました内部へと侵入させます」
サーピが答えると、ナンバー1とナンバー3はそのまま城の周りをまわり続け、ナンバー2の映像は急に窓が大きくなってきた。
誰もいないことを期待しながらも、ただ誰かがいてくれなければここで話が終わってしまう。
中に入るのはできるれば中を知ってからにしたい。
だからこそのドローン偵察なわけだ。
「入ります」
考えは、サーピの一言で中断された。
大きくなっていた窓枠は、すでにウィンドウに入りきらないくらいになっている。
一瞬真っ暗になり、それから暗闇用の暗視モードへと入った。
赤外線と紫外線の自動撮影によって、物体をはっきりと認識することができる、と昔説明を受けた。
それが28000年も経ってからも動けるのは、とんでもない技術だ。
「誰かいるか」
「判明しません現状のところこの窓周辺には生命兆候は存在しないと言えるでしょう」
「もっと奥に入ることはできるか。映像の信号受信ができる範囲で」
「ではさらに奥へと入っていきましょう」
俺が伝えると、すぐにサーピはドローンを動かしてくれた。




