第12話
準備が整うと、まずは城ではなく、最初の洞窟へと戻る。
「城はあちらですが」
アクーリクがゆっくりと指さしながらも、俺に向かって尋ねる。
どうだろうか、確かに疑問に思うかもしれない。
「いや、まずは最初に現れた洞窟の調査をしたい。こうなれば、どうして28000年もの超長期間にわたって、俺らが保持でき続けれたのかが知りたいところだ」
アクーリクは今はサーピの中の拡張エリアと呼ばれるところで座っている。
要は補助席だ。
それによって、安全にかつ高速で移動することが可能となっている。
俺が座っているコックピット席から見て右やや下、足が触れるかどうかというところの席だが、実際のところ内部にはクッションのようなものがあって、当たっても痛い思いをする心配はない。
ただし、戦闘中には内殻を形成して、この補助席ごと包み込んで保護することになるため、その時にはかなり窮屈な思いはするだろう。
「あの機械化兵の話だと、あの洞窟は封印処理をされたのはほんの数百年ほどまえで、それ以前は自由に出入りができるようになっていたということだ。だが、俺らはその間にもあそこにはいた。そうでなければ、俺らがここにいることはないだろうし、もっと早く目が覚めていたことだろう。となれば、やはりそこに何かしらのカギがあるのだろう。で、まずは見に行くことになったわけだ」
そしてサーピが話している俺らを遮るかのように、反応を返してくれた。
「カニス最初にいた洞窟へと到着しましたどうしますか」
「ああ、まずは俺らを降ろしてくれ」
「了解です」
そう言って、内側から外へと外殻が開いている。
それをキラキラした目で見ているのが、アクーリクだった。
「よし、じゃあ周辺の危険を確認して。アクーリク下ろしてから、俺も降りるよ」
「了解です周辺は現状敵対組織等の把握できず洞窟内部も異常はありませんいえちょっと待ってください装置があります洞窟の中にあるので外では問題はないと判断します」
「そうか、ではいったん降りることにして、それから洞窟の中の装置を確認してくれないか」
「了解です」
言いつつアクーリクがまずサーピによってゆっくりと椅子ごと降ろされていく。
ふわぁとか感嘆の声をあげているが、それをゆっくりと俺は見守ることにした。
とりあえずは周辺のことも大丈夫そうだし、それ以上に問題となるのは、この洞窟の中ということになるだろう。
「よし、俺も降りるぞ」
俺はサーピの手助けなしに、ひょいと降りる。
周辺が一面の畑になっているのに、ここだけ小高い丘のようになっていた。
そして洞窟は、その根元に少し下りになるようにして掘られていた。
一応の申し訳なさ程度の柵と、とりあえず急場拵えぽい何か壁のようなものがあったが、これらは俺らがここを出ていくときに壊したようだ。




