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山田のスキルガチャ

 山田がゲームにログインすると、最初に選択した自宅に着いた。フルダイブ型なので五感が効いていて、ほとんど現実世界のような感覚だ。


 なお、CFUのプレイヤーは、エルフやドワーフのような種族は選択できない。一律にゲーム内の人類となる。

 プレイヤー名は後から変更可能で、初期設定はカタカナ苗字。アバターの初期設定は自分に似た顔と体型で、服装は村人風となる。


 山田が自宅を出ようとすると、ゲームの基本操作を覚えるためのチュートリアルを行うか聞かれたが、不要なので断った。

 そして、荒木に言われた酒場に向かった。



「山田、ここだ。早速、武器とスキルを揃えて、少し狩ってこようぜ。アバター調整は少し面倒だから明日にでもやれよ」


「そんなトントン拍子で進めていいもんなのか?そりゃネットとかで多少は知ってるけどよ」


「俺いるから大丈夫だって。それより山田、前衛と後衛どっち寄りが希望なん?」


「とりあえず後衛で、魔法攻撃メインにする。どこかで魔法剣士スタイルを検討するつもり」


 CFUには、所有出来る装備とスキルの数に制限がない。スキルセット(所有スキルから選択した基本12個までのセット)を使って戦闘するシステムだが、装備とスキルセットは簡単に変更可能だ。

 よって、職業ジョブ役割ロールは固定されない。極端な話、大量に装備とスキルがあれば、どんなスタイルも可能だ。



 山田たちは、まずは武器屋に向かった。

 プレイヤーはゲーム開始時に、武器チケットと6連スキルガチャ券をそれぞれ1枚ずつ貰える。それらを使って、すぐにバトルを楽しむことが可能だ。


「威力増加の杖が良いと思うぜ。持ちやすそうなの選べよ」


 杖は直接攻撃では役に立たないが、魔法の威力増加等の追加効果が得られる。

 山田は、威力増加の杖から好みのデザインを選んだ。


 なお、CFUはアバターの外見に自由度を持たせることを優先しているため、防具は存在しない。服装は自由で、防御力に差異は出ない。盾に該当する防御手段はあるが、魔法スキルである。



 山田たちは、武器屋を出てスキルショップに移動した。

 CFUには、魔法、剣技、体術など様々なスキルが存在している。それらの入手やカスタマイズを行うために、スキルショップが存在する。


「普通はレベル2が2個か3個、それがどんなスキルになるかだな。あと、攻撃ガチャでも必ずシールドスキルが1個入る」


 初回のガチャは、手軽にプレイを開始するために存在するだけで、特別なスキルが排出されることはない。

 なお、CFUには課金ガチャは存在しない。徹底して課金では強くなれないシステムとなっている。ガチャ券は、初回以外ではイベント報酬等で貰えることがある。


 山田は攻撃魔法ガチャを引いて、ステータス画面を開いてスキルを確認する。


「Hey、アダム!ステータス画面を見せて」


 各プレイヤーは、個人用端末アダムを与えられている。自由に出したり消したり出来る、AI付きタブレット端末のようなものである。インターネットにも繋げられて電話も出来る。

 世界観にそぐわないが、便利に越したことはない。スマートフォン使用禁止で水洗トイレのないテーマパークなんて、誰が好んで行くだろうか。


「あれ?貰えるのは6個だよな?7個あるんだけど……」


「マジかよ。それ超低確率で貰えるって噂のボーナススキルじゃね?」


「マジで?当たりアカウントってやつかよ。ついてるぜ」


「貰えなかった人は、何度やり直しても無理らしい。運良すぎだろ。どんなスキルよ?」


 山田はスキル名と効果の説明を確認した。


「気にすんな、有効な使い方が分からねえ」


「ハズレスキルってこと?」


「そういう意味じゃなくて、説明したくねえから聞くな。使えそうな場面あったら言うよ」


「分かったよ。お前たまにそういうこと言うよな」


(体験版だと大丈夫だったんだけどな。ボーナス貰えてるのは俺みたいな連中か……)


 ◇


 山田のボーナススキルの名称は『ミラータッチ・シナスタジア』。スキル概要は『あなたの共感覚をCFUで再現するパッシブスキル。使用しないことも出来ます』となっていた。

 後々、山田はスキルの有用性に気付き、仲間の協力を得ることで急速に成長することになる。


 山田がCFUを始めた理由は、他の連中と大差はない。ゲームを楽しみながら、あわよくば稼ぎたい。その程度だった。

 実際、稼げるようにはなるのだが、山田はそういう理由が無かろうとも、この世界を守るために戦わざるを得なくなる。

 勿論、この時の山田には、そんな先々の事など知る由も無かった。


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