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打倒カーバンクル(2)

 ルタオがレイナの言うパンチラを理解していた。


「スカートめくりのことか?近づけば簡単に出せるもんでもねえだろ」


「「「スカートめくり?」」」


「ポーズがあるしね。でも、範囲内に捉えて少し時間あれば大丈夫」


 カーバンクルの攻撃を捌きながら、ルタオとレイナが会話を続ける。


「あれ出すと数秒はノーガードだよな。相手3体だぞ?」


「そこはほら、ギルメン思いのギルマスがいるじゃんよ。数秒くらいなんとかなんだろ?」


「……2体のヘイトを引き受けろと。やってやろうじゃねえか」


 キタザワが手順を説明しだした。レイナのスキルは不明だが、とりあえず試すしかない。


「デバフ解除は、そうそう連続では使ってこない。まずは、モニカ姫がダイアモンドダスト。そこにレイナが突進して、浮かせたら山田が撃つ。仮に反射されても山田の攻撃なら被害は少ない」


 反射される可能性はあるため、まずは山田が撃つ方針にする。


「モニカ、ミント味をくれ。一応、黄色狙いでお願いします!」


 もしも、カーバンクルの色が身体の属性を示すなら、雷属性なので風属性に弱い。

 また、ブレッツよりは、切り裂くタイプのブレイドのほうが範囲が広く当てやすい。


「俺が青色と緑色のヘイトを集めるが、出来ればモニカ嬢の飴が欲しい。ゲージ足りるか?」


「まだ少し残るです。ペロペロしちゃえ!ファンファン・キャンディー・ミルク味!」


「よっしゃ必要に応じて少しずつ食う」


「オッケー。そんじゃ黄色に突っ込むから、モニカちゃん頼むわよ」


「閃光気雷弾.info!」

「シャンパン頂きましたー!」

「ペロペロしちゃえ!ファンファン・キャンディー・ミント味!」


 ルタオは、反射覚悟の攻撃を青色のほうに放ち、ミルク味の飴を持ちながら、緑色のほうに突っ込んでいく。

 レイナは、念のため速度バフを延長した。

 モニカは、山田の前方にミント味のキャンディを出す。

 キタザワは、山田とモニカを守るために待機。



 ルタオは一人で青色と緑色に攻撃を少しずつ浴びせて、なんとか引き付けている。

 その間にレイナが黄色に近づいていく。黄色が応戦するために口を開けたところをモニカが狙う。


「凍えちゃえ!キラキラ・ダイアモンドダスト!」


 レイナはデバフを確認してから、盾で攻撃を捌いて更に近づいた。


「飛びな!マリリン・モンロー『7年目の浮気』バーボンウイスキー!!」


 レイナは、両手でスカートを前から押さえながらスキルを発動した。そのポーズが発動の必須条件、つまりノーガードとなるリスクを負っている。


 レイナの周囲から、激しい風が吹き上がった。カーバンクルは、その風により真上に飛ばされた。

 レイナ自身は飛ばないが、スカートが余波によってめくれ上がった。


 映画『7年目の浮気』のシーンを再現したスキルだが、レイナは超ミニスカートだ。

 山田たちはレイナの後ろのほうにいるため、パンチラではない。


『蹴りと酒のレイナさんが、2000いいねを越えました!』


(ガリガリ。チラじゃないやん。モロやん)

「キャー!レイナさーん!」

「速く撃て、山田!」

「おっと、ラピッド・ウインド・ブレイド!」


 カーバンクルは、かなり浮かされていて何も出来ない状態。山田は、なんとなく落下速度を予測して、風の刃を放って全て命中させた。


「(痛ったー!!)チェンジ・スキルセットB!」

『レアモンスター、カーバンクルを討伐しました!』


 山田は心構えはしていたので、声を出さずに痛みを我慢することが出来た。

 いとも容易くカーバンクルを倒せた。そのため、これ以上の痛みを感じないよう、スキルセットを切り替える。

 更にアナウンスが聞こえる。


『山田さんが、初いいねを獲得しました!ミッションを達成しました!山田さんが、1000いいねを越えました!ミッションを達成しました!』


 視聴者には、山田が尻尾しっぽを狙った理由は分からないはずだ。

 しかし、Vマイクの音声が聞こえていたため、山田の貢献が大きいことは明白だった。それゆえの『いいね!』獲得である。


『山田さんが、初フォロワーを獲得しました!ミッションを達成しました!山田さんが、2000いいねを越えました!』


 更にカーバンクルは、最近追加されたモンスターで、見つけることが困難なだけでなく、まだ倒せた者はいなかった。

 山田が初討伐のため、御祝儀の『いいね!』も入って、この戦闘だけで2000を越えた。


 山田は『いいね!』を貰えた事も嬉しかったが、それよりも、感度レベル3のお陰か、ハリネズミの弱いダメージでも感じ取れたという収穫が大きかった。

 そして、CFUが単に属性相性で戦闘するシステムではないことを理解した山田。『ミラータッチ・シナスタジア』は、大きなアドバンテージとなるはずだ。



 ルタオは、必死に攻撃を捌き続けて、なんとか飴で回復しながら耐えている状態だ。


「やべぇな、盾も割れたわ」


「こっち向け、青色!サンダー・スピアー!」


 山田は、威力の弱いスピアーで青色の注意を引き付ける。反射されたが、単発なので盾で受けるのは造作もない。

 それを見たキタザワは、緑色に向けてスキルを放つ。


「チェンジ・スキルセットB!ファイアー・ブレッツ!山田、俺は少し離れるけど耐えろ。イフリート・ブースト!アキレウス・ブースト!」


 キタザワは、スキルセットを速度重視に変え、更にバフで最高速にして、緑色に向かって走り出した。


「なんとかするっす。来た!ラピッド・ウォーター・ブレイド!」


 青色に炎を吐かれたが、水の攻撃スキルで応戦する山田。

 山田の攻撃だけでは全ては消しきれないが、残りはなんとか盾で凌ぎきれた。


 緑色に近づいたキタザワが、剣を抜いて指示を出す。


「緑色にハリネズミ!」

「チクチクしちゃえ!お怒りハリネズミさん!」


 モニカの出したハリネズミの針で緑色が持ち上がった。

 反射されないのなら、キタザワの最高速の踏み込みから斬れば良い。

 慎重に尻尾しっぽを狙ってスキルで一閃。


「クリムゾン・フレイム・スラッシュ!あと1体!」

『レアモンスター、カーバンクルを討伐しました!』


「良かった。反射前に倒せたー」


 ハリネズミは反射されずに済んだ。


「あれ?キタザワさんの『いいね!』聞こえなくね?」

「たぶん通知オフなのよ。キタザワさんとルタオさん」



 残りは青色のみ。硬直の解けたレイナが、ヘイトを引き付けるために軽い中距離攻撃を放つ。


「シャンパンシャワー!ルタオ離れろ!あたしが突っ込む!まだパンチラは使える!」


「頼むぜ、パンチラビッチギャル!」


「パンチラするだけでビッチじゃねえわ、筋肉野郎が!」


 ダメージ覚悟で青色に向かって突っ込んでいくレイナ。

 青色が口を開き、サッカーボール程の電撃の弾が連続で吐き出された。


「ブレンデッドウイスキー・HHAEはえ by 南ノ風!」


 蹴りから風属性の刃を連発して雷撃を打ち消せた。

 ギリギリまで近づいてスキルを発動する。


「飛んでけ!マリリン・モンロー『7年目の浮気』バーボンウイスキー!!やっちまえ、ルタオ!」


『蹴りと酒のレイナさんが、3000いいねを越えました!』


 攻撃の隙をつけたため、デバフなしでも捉えられた。カーバンクルが浮き上がる。

 すかさずルタオは、その真下近くに移動してスキルを発動する。


「おうよ!鬼神風雷.com!爆裂!火山雷かざんらい.net!」


 上空に向けて拳を放つ度、グローブから炎弾が放たれた。カーバンクルの尻尾に何度も当てると尻尾が消えた。

 その後、カーバンクルの身体に何発もの雷が落ちた。


 なお、火山雷とは、噴火による摩擦電気によって生じる雷の事である。ごく稀に観測される自然現象だ。


『レアモンスター、カーバンクルを討伐しました!』


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