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山田、特訓の準備をする

 山田にとって、モニカがデザインで収入を得ている話しは、とても興味深かったが、長くなるため一旦切り上げた。

 現状は販売スキルを買うつもりはない。手持ちの魔法石を風の攻撃スキル『ウインド・ブレイド』に交換、まずはレベル2に上げた。


 ブレイド系は、範囲を任意指定して広範囲を切りつけられるが、薄い刃状の攻撃一発だけなのが難点である。昨日のザントマンのような小さい敵には当てづらい。


 山田は、モニカとショップ店員に相談して、刃を小さくする代わりに、狭い範囲に一度に10発を連発する形にカスタマイズした。

 威力が分散するが、敵を引き付けて全て当てれば問題はない。ブレッツのような弾状でも似たようなものだが、何度も切り裂く形のほうが、小さな敵は倒しやすいはずだ。

 手持ちの『ウォーター・ブレイド』レベル2も同じように調整した。


 スキルショップにはテストルームがあって、簡単な試し撃ちが出来る。

 具体的には、図鑑に登録されているモンスターを呼び出しての仮想戦闘だ。登録モンスターが多いほど調整はしやすくなる。

 なお、相手は攻撃もしてくるが、こちらはダメージを受けない仕組みとなっている。


 山田は、ザントマン等を呼び出してテストを行い、スキルレベル2なら十分に使えると感じた。

 連射にちなんで、スキル名は『ラピッド・ウインド・ブレイド』『ラピッド・ウォーター・ブレイド』と名付けた。発声が少し長くなる点はさして問題ではない。何故ならば、CFUでは発声難度やモーション難度が上がると、効果も上がるためだ。


 2人で戦うため、盾は手持ちから腕の横に付ける形に変更した。効果は同じなので、魔法石は不要だった。

 他のスキルはそのまま使うことにした。『サンダー・スピアー』も調整したかったが、現状では魔法石が足りなかった。


 ◇


 モニカも魔法石が増えてるため、一部のスキルを調整した。そして店員に質問する。


「一応、聞いとこうかしら。ねえ、店員さん。あたしがボーナススキルと同じ性能のスキルを創ることは出来る?」

「ボーナススキルについては、プライバシーが関わるケースが多いため、詳細はお答え出来ません」


「俺が聞けば良いのか?店員さん、俺のシナスタジアみたいなスキルは創れる?」

「シナスタジア系は、本人が共感覚を持っていない限り扱えません。フルダイブの仕組み上、本人の感覚を完全再現することが出来ないために存在する特殊スキルです」


「やっぱりね。ボーナススキルは、全部そういう系統なのかしら」


「そうだこれ、スキルレベルは上がらないんだよな。レベル1/1と出てるから、相当特殊な扱いなんだろ」



 準備の出来た山田とモニカはアダムを出して、なるべく強敵が出そうなところを調べる。


「さすがにドラゴンや巨人のいるエリアは辿り着けないしね。ここかな?レッサーデーモンが出るとこ。そんなに遠くない」


「レッサーデーモンって、下級悪魔じゃなかったっけ?レベル5の俺にとっては強いんだろうけど」


 山田はレアモンスターのザントマンを倒したお陰で、1日でレベル5になっている。普通ならレベル5までには数日を要する。


「インプとは大違いよ。デーモンの中では弱いってだけ。あとレッサーデーモンは、インプみたいに色で属性が分かるから、やりやすいわ」


「どのくらい?デュラハンや鎧ゴブリンくらい?」

「その辺より強いわよ」


「タイマンだとレベル15の荒木と中島が時間かかる相手より強いのか。そりゃ勝てんな。ところで、モニカはレベルどんくらいなんだ?」


「レベル22。荒木たちには同じくらいと言ってるから教えないでね。あたしが補助して、山田が弱点攻撃ばかりしてれば勝てるかもよ」


「(マジか。夏休みに結構やってたはずの荒木より上かよ。)あいつ、レベル10辺りから上げるの大変だって言ってたけど……」


「そうね、強い敵かレアでも倒さないとなかなか上がらないからね」


(モニカが攻撃すれば良いだけな気が……。でもあまり攻撃したがらないしな。とにかく、モニカのスキルは思った以上に効果あるのか?)


 ◇


 街を出た直後、モニカは念のためと言って山田に提案した。


「一応、試しとこ。光属性の感度はないのよね?そこにいて」

「ああ、俺にデバフかけるのか。分かった」


「見とれちゃえ!キラキラ・スターズ・テスト!」


「マジでチカチカすんな、これ。Hey、アダム!ステータス画面を見せて……ろくに見えん」


「さっき創った効果時間を短くしたやつだから、少しだけ我慢して。軽いダメージも付けといたわ」


「……やっぱ『再現』と言いつつも、プレイヤーからの攻撃はダメみたいだな。ところで、そういうの創るときも魔法石は要るよな?」


「自作のコピーから調整したから2個だけ。どのみち、状態を戻すと返却されるから問題ないわ」


 結局、感度レベルを上げるには、モンスターと戦ってダメージを受ける必要がありそうだ。

 山田たちは強敵に挑むため、草原を歩いて目的地に向かった。


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