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山田、ボーナススキルを試す(6)

『レアモンスター、ザントマンを討伐しました!ミッションを達成しました!』


 アナウンスが聞こえた。レアモンスターの場合は、知らせてくれるようだ。


「小さすぎて倒せたか分からないから助かるぜ。あと、ミッションて?」

「初めてレアを倒したからよ」

「あ、俺が倒して良かったのか?」

「2人が眠らされたなら、まだいるんじゃない?探して、チッチ」


 2人のほうを見ると、なんとか鎧ゴブリンを倒せていたが、まだザントマンがいる可能性はある。

 モニカは、再度、荒木と中島のほうにチッチを向かわせた。


「しかし、ゴーレムがしぶてえな。ウォーター・ブレイド!……あ、倒せた?」

『ミッションを達成しました!』


 ようやく、サンドゴーレムを倒せた。更に何かのミッションを達成したようだ。

 あとはゴブリンメイジだが、荒木と中島が健在なら、どうとでもなるはずだ。


「モニカー、寒いんだけど。あと一応、回復してくれ」

「こ、こっちも頼む、モニカ」


 荒木と中島の周囲には、未だにダイアモンドダストがキラキラしている。2人は寒がりながら、大声でモニカに回復を要求した。


「うーん、あたしもザントマン倒したいのよねー。ゲージがなー。……寒いのは水属性のデバフよ、解除出来ないの?あと近づいて、花にするからー!」


 モニカが大声で応じたが、荒木と中島は武器を横に振った。デバフ解除はないというサインだ。そして、回復のために身を寄せあう2人。


「(見てると俺も寒いわ。とりあえず、メイジのヘイト集めねえと。)サンダーランス!」


「仕方ないわね。回復だけはしとくか。和んじゃえ!フラワーシャワー!」


 フラワーシャワーは、指定した対象に自動回復の効果を与えるスキルだ。

 荒木と中島の周囲に、多数の花びらが舞い落ちて、通常よりも早く2人のライフゲージが回復していく。


「和みはしねえよ。寒みー」

「ど、同感だ、荒木。お茶のスキルでも創って貰おう」

「俺はコーヒーのほうが良いかな」

「そ、それも良いな。と、ところでなんだ、あの鳥?」

「敵じゃねえだろ。どのみち飛ぶやつなんて構ってらんねえ」


 今後のモニカにデバフ解除をセットして貰う方向には頭が回らない荒木たち。とにかく寒いので、暖かい飲み物が欲しかった。

 ただ、ダイアモンドダストが有効なうちは、飲み物なんて凍りついてしまうだろう。自然界におけるダイアモンドダストの発生条件は、マイナス10度以下。

 CFUはフルダイブ型なので、実際にマイナス10度以下が再現されている。プレイヤーは身体が魔力で守られているため、痛みが軽減されているが、本来ならば寒いというより痛いと思われる。



「やった!見つけた!」


 チッチがザントマンを咥えて、モニカの元に戻ってきた。

 山田は、ゴブリンメイジの攻撃を盾で防ぎながら、スキルゲージを回復させていた。そろそろゲージが尽きそうだった。

 メイジの狙いが定まって無いため、全ての攻撃を盾で受ける必要はない。盾が割れそうになると警告があるが、まだ大丈夫だ。


「どうしよ。ジジやララを出せるほど余裕ないな。でも弱そうだし。あの辺に投げてチッチ。……チクチクしちゃえ!お怒りハリネズミさん!」


 ハリネズミは、あくまで敵の体勢を崩す目的のスキルだ。攻撃範囲は広めだが、攻撃力をかなり低く設定しているのでゲージ消費量は少ない。


『レアモンスター、ザントマンを討伐しました!ミッションを達成しました!』

「わーい!やったよ、山田。メイジ倒しちゃって」


「あ、先に倒すとクリアになっちゃった?」

「クリアしても、モンスターが消えるわけじゃないけどね。逃げられる可能性はあるかも」


「荒木と中島はどうする?あいつら俺に任せる気だと思うけど」

「うーん、チッチは弱いから、まだ消えないけど。寒がってて倒せるかな。チッチ、探してあげて」


 少し待ってみたが、残念ながら見つからないようだ。


「やるか、ファイアー・ブレッツ!ウォーター・ブレイド!」


 サンダーボルトを浴びせていただけあって、ほとんどメイジの体力は無かったようだ。簡単に倒せた。


『クエストを達成しました!ミッションを達成しました!』


 山田は、状況を確認するためにアダムを出す。


「Hey、アダム!ミッション画面を見せて。……ゴーレムの時は10種類を討伐。最後のは、初めてのクエスト達成か」


 モニカは、レアモンスターの情報を確認するためにアダムを出した。


「Hey、アダム!モンスター図鑑を見せて。……ザントマン、ドイツの妖精だって。人の目に砂を投げかけたり、瞼の上に乗って眠らせるってなってる。……あ、魔法石、だいぶ貰えてるよ」



 山田とモニカが話していると、荒木と中島が戻ってきた。


 荒木が問いかけると山田が応じる。

「何を盛り上がってるんだ?寒っ」

「なんか悪いな、お前ら。小さいモンスターがいてよ。水属性に弱そうだったから」


 中島が反応してモニカが応じる。

「レアモンスター?なんだよ、俺ら寒いだけ損?もういないの?」

「もういないけど、荒木と中島も遭遇した扱いでしょ。経験値くらいは貰えてるはずよ」


 中島はアダムで戦闘履歴を確認する。

「Hey、アダム!……本当だ。ザントマンに遭遇してる?貢献度が低すぎて報酬ほぼないけど」


「でも山田、なんで分かったの?確かに図鑑の詳細だと、土属性で水に弱いって出てるけど」


 モニカには何故見つけられたのか不思議だった。

 なお、モニカの図鑑には弱点も登録されていた。気づかないうちに、ダイアモンドダストの範囲に捉えていたためだ。


「少し長くなるから、今度話すよ。とりあえず今日は帰ろうぜ。明日、学校もあるし」


 荒木は、ボーナススキルの事だと気づいたが、急いで聞く気はない。


「そうだな。依頼主の所に行って、報酬を貰って終わりにするか」


 山田たちは、街に戻って報酬を受け取った後、ログアウトした。


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