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山田、ボーナススキルを試す(3)

「悪い、少し待っててくれ。Hey、アダム!ステータス見せて!」


 山田は、ボーナススキルの説明を再度確認することにした。


(俺の共感覚をCFUで再現する。『再現』というのは、現実世界とは少し違うという意味か……。あれ?最初の時と内容が違う)


 スキル説明の下に文章が追加されていた。

(『水属性の感度:レベル1』だと?……俺がまともに食らったのは氷の魔法だけ……)


「どうしたんだ、山田?まだ時間あるから、もう少し練習しても良いけど」


 荒木には、山田が何をしたいのかが解らないが、ボーナススキルの件のような気はしている。ただ、ガチャの後で聞くなと言われていたので、無理に聞く気はなかった。


「(荒木と中島は、俺の共感覚について知らない。どうするか……。)荒木、洞窟はそれほど離れないで戦うことになるよな?」

「そりゃ草原ほど遠くから援護する感じにはならんが」


「(有効にした状態で様子を見るか。問題になるなら無効にすれば良いだけだし。)とりあえず洞窟に行こう。たぶん大丈夫」


 中島とモニカは不思議そうにしていたが、山田には説明する気がない。

 山田は、彼らに説明しても直ぐには理解出来ないだろうと考えていた。


 ◇


 道中、数回の戦闘を経て、無事に洞窟に辿り着いた。


「この洞窟は、俺ら来たことあって迷うことはない。地下2階までしかなくて、マップもあるからな」


 荒木たちは以前も来たことがある場所で、アダムにマップが記録されてるとのことだった。ダンジョン系は、通った箇所が自動でマッピングされる。

 アダムの説明によると、鉱物資源を求めて掘られた人工洞窟という扱いになっていた。そのため、いずれ拡張される可能性はあるそうだ。


 洞窟内に明かりは無いが、松明などで片手を塞ぐ必要は無かった。

 荒木と中島が「Hey、アダム!発光石を出して」と言うと腰に付ける巾着袋が出てきた。

 その腰袋の中に、光の魔力が籠った発光石というアイテムが入っていて、それをポンポン投げていけば、周辺が照らされる仕組みだ。現実世界にある蓄光石よりも遥かに明るい。


 山田が尋ねてみると、発光石は最初から出せて無限に補給されるということだった。

 CFUは、洞窟に明かりが無いというリアル感を出しつつも、不便なところは魔力で解決する。一応、雰囲気を重視するプレイヤーのために、魔法の松明も出せる。



 ボスがいるはずの広間に向かって進んでいく。道中のモンスターは、それほどの相手ではなかった。

 遭遇したのは、ゴブリン、スケルトン、インプ、ヴァンプバット(吸血コウモリ)、ジャイアントワスプ(大型の蜂)、ジャイアントスパイダー(大型の蜘蛛)。


 モニカは、蜘蛛とコウモリが苦手らしく、遭遇する度に騒がしかったが、山田は早めに攻撃しやすいブレッツを駆使して近づかせなかった。


「モニカ、攻撃スキルまるで積んでないのか?今のところ、なんとかなってるけど……」


 山田は、今更ながらモニカに聞いてみた。荒木と中島がいても、飛行するモンスターを中心に、後衛に攻撃が及ぶことはある。

 自分が対処するのが嫌という訳ではないのだが、この先でボス戦があるため不安ではある。


「あるにはあるんだけどね。ジジとララの召喚でゲージ使うし、回復のために残しときたいから、あまり使わないだけ。あたし守るの疲れる?」

「そういう訳じゃないんだけど。ブレッツがレベル2のお陰か追い払えてるし、やれることはやるけどさ」


「あたしが攻撃されても、山田に文句は言わないから、気にしないで。あ、そろそろ回復しとく?荒木と中島は?」

「そうだな。念のため頼むわ」


 荒木と中島が近づいてきた。4人が固まった状態になってから、モニカがスキルを発動した。


「和んじゃえ!フラワーシャワー!」


 色んなカラフルな花びらが舞い落ちてきて、徐々に体力が回復する。

 道中、山田も軽いダメージを何度か食らっていた。度々、例の違和感があったが、アダムを出して状態を再確認することはしなかった。


(まあ、現実世界ほどには感じない。色々と確認するのは、洞窟を出てからにするかな)



 先に進んでいく山田たち。目的地は近い。


「この先の広いところにボスがいるはず。相手を確認したら、身を隠して相談するぞ」


 通路を進んでいくと、既に明かりの点いている広間が見えて、3体のモンスターが確認出来た。気づかれないうちに一旦退いて方針を相談する。


 荒木から話し出した。

「やっぱりゴブリンメイジ。それと鎧ゴブリン2体か……。俺と中島で鎧をやる。鎧はしぶとくて一撃がデカイ。山田とモニカは近づくなよ」


「ゴブリンメイジ、女の子かしら?小さいと可愛いわね」


 モニカの言う通り、ゴブリンメイジは小さかった。身長1メートルくらいの子供サイズ。紫色の魔法使い風の服を着ていて、杖を持っている。

 鎧を着たゴブリンのほうは大きい。身長が180センチはありそうで体格も良い。武器は大きな棍棒だ。


 中島がメイジについて説明する。

「メイジは小さくても侮れないから、山田がヘイト集めてくれ。俺と荒木はメイジまで気にしてられない。そうだ、メイジはゴーレム召喚してくるかも」


「ゴーレム?俺がメイジに攻撃したら、こっちに来る感じ?」

「たぶんそうなる。モニカの犬と猫はゴーレム優先で」

「(ジジとララだってば。)山田、小さいゴーレムのはずだから心配しないで」


 山田たちは、ゲージ残量を確認してからゴブリン3体に仕掛ける。

 モニカがメイジにデバフを掛けてから、荒木と中島が鎧に突っ込んでいく手順だ。


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