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山田、ボーナススキルを試す(2)

「あの犬と猫、召喚獣だったのか。スモール・シールド!」

「うん、飼ってるペットを召喚出来るのよ。あ、犬がララで、猫がジジだからね」


「覚えた、ちゃんと名前で呼ぶわ。ところで、モニカは盾を出さないのか?」

「うん、なるべく持ちたくないのよね。インプくらい大丈夫よ。山田が守って」


(女子が盾を持ちたくないのは解らんでもないが……。まあ必要になったら出すだろうし。頑張ってみるか)

 女子に守ってと言われて、文句を言う気にはならなかった。


「そんじゃ、あいつら呼び込むか。ファイアー・ブレッツ!」


 山田は、ブレッツをインプに向けて放った。しかし、気づかれて躱されてしまう。的が小さく、飛んでいる上に少し速い。

 山田とモニカのほうにインプが向かってくる。


「一気に全部こっち来んのかよ」

「飛んでるやつは、魔法攻撃のほうがヘイト集めるのよね」

「俺の後ろにいろ。なるべく盾で防いでみる」

「タイミング見てデバフかけるから頑張ってね。危なそうなら回復するから言って」


 インプは、山田の3メートル前方くらいで止まった。6体が横に広がっているような状態。

 身体の色が異なり計3色。山田から見て左から順に、黄2体、赤2体、青2体となっている。


 山田が様子を見ていると、6体のインプが口を大きく開いて、魔法攻撃で一斉に攻撃してきた。

 黄は電撃、赤は火、青は氷。身体が小さいだけあって、野球ボール程だが、1体につき3発ずつが口から吐かれた。


「ウォーター・ブレイド!」


 山田は、コロシアムのトドロキを参考にして、水の攻撃スキルで火弾を打ち消して、左手の盾で雷撃をガード。

 しかし、右側から来る氷の攻撃には対応が間に合わずに食らった。フルダイブだけあって、痛いだけでなく冷たい。


「痛えな、ちくしょー。ファイアー・ブレッツ!からのウォーター・ブレイド!」


 山田は、杖を左から右に振りながら火弾を10発放ち、折り返し右に振って水の刃を放つ。

 インプが横並びで今回は距離も近い。それなりにヒットさせられた。しかし、山田には違和感があった。


(痛い?なんだこの感じ?)


「山田、少し屈んで!……凍えちゃえー!キラキラ・ダイヤモンドダスト!」


 山田が言われた通り身を屈めると、モニカが杖で横に範囲指定してスキルを発動した。

 インプたちの周りに細かい雪が降る。インプたちの動きが鈍った。冷気による速度デバフだ。


「(寒っ!……黄色は雷属性だからか、イマイチ効いてねえな。先にやるか。)ファイアー・ブレッツ!」


 CFUで雷属性に強いのは風属性だが、山田は該当スキルがない。そのため、当てやすい火弾を使って、左側の黄のインプに集中攻撃。うまいこと倒せた。


 インプが更に攻撃してくるが、特に赤の動きが鈍くなっており、今度は一斉攻撃にはなっていない。

 下手に避けてモニカに当てられたくない山田は、盾とウォーター・ブレイドで攻撃を捌いた。


 ウォーター・ブレイドは、火弾を打ち消しながら、赤のインプに当たって倒せたが……


(痛てっ!なんで?)


「大丈夫そう?」

「問題ない。スキルゲージも足りそう。(なんだけど……)」


 山田は更に何度か攻撃して、インプを全滅させた。インプは小さく速さがあったので、モニカが動きを鈍らせてくれなかったら、最初のダメージだけでは済まなかっただろう。

 多少の不安は残るが、それよりも山田には気になることがあった。

 取り急ぎ、荒木と中島の状況をモニカに確認する。


「あいつらのほう、大丈夫かな?」

「距離を取ってない感じからして大丈夫。デュラハンは結構しぶといのよね。ゲージ余ってるから、一応援護しとくかな……。見とれちゃえ!キラキラ・スターズ!」


 モニカが杖をデュラハンに向けてスキルを発動した。以前も使ったデバフだ。

 山田が効果を尋ねると、対象の眼の付近でチカチカして、攻撃の命中率を下げるという話だった。

 山田はデュラハンは首なしと思っていたが、良くみると首を手に持っていた。眼に該当する物はあるのだろう。


 モニカが心配は無いと言うので、山田は気になっていることを尋ねた。どのみち、山田にはスキルゲージがほとんど残ってないので、荒木たちを援護することは難しい。


「なあ、モニカ。弱点属性で攻撃したら明確に分かるとかないのか?」

「ああ、そういうの試してたわけ?エフェクトみたいな分かりやすい演出はないわよ。敵のゲージは見えないし、反応を見て判断するしかないのよね」


「あとさ……敵はインプだけだったよな?何度か別の攻撃を食らった気がするんだけど……」

「え!?物凄く小さいレアモンスターかも。コロポックルとか!近くにいるのかな?図鑑で確認してみて」


 モニカは少し興奮気味だ。レアモンスターと言うからには、獲得経験値が多かったり、特殊アイテムでも貰えるのだろうか。


「図鑑?」

「正確にはモンスター図鑑ね。遭遇したモンスターが登録されるの。攻撃したりされたりすると、遭遇した扱いになる」


「Hey、アダム!モンスター図鑑を見せて」


 山田はアダムを出して図鑑を確認してみた。デュラハンだけ詳細が見れない扱いだったが、特に変わった名前は無かった。


「自分で倒したことないと詳細は見れないのか……。うーん、どのみち覚えのある奴しかいないな」

「残念ー。小さいモンスターを探せるスキルあるんだけどなー。コロポックル会いたかったよー」


 荒木と中島がデュラハンを倒して戻ってきた。一旦ゲージ回復のために休憩する山田たち。


(結局、違和感の原因が解らないな……。いや、待てよ。ボーナススキルのせいか?)


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