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ギルドルーム

 山田は食事を済ませて、20時の15分くらい前にCFUにログインした。

 ギルド加入の承認はされていたため、自宅にある転送魔法陣から、ギルドルームに移動した。


 広めの応接間のような部屋だった。ソファーがいくつも置いてあり、中心に大きな机がある。

 ギルドは初期状態では20人まで加入出来るため、その全員が入れる広さとなっている。


 まだ荒木は来ておらず、モニカと、山田と同じ学校の中島がいた。


「山田じゃん、ヘッドセット買ったんだ?」


「俺んち余裕ないからな。出遅れちまったわ。夏休みのバイト大変だったぜ」


 山田と中島は仲は良いのだが、学校の時は、中島が他と話していたため、山田は声を掛けなかった。


「このギルド、うちのクラスは荒木と中島だけか?」


「あと生川おいかわがいる。今日は来ないみたい。あ、モニカ。こいつ同じ学校の山田」


「少し前に会ってるわよ。ほんの少し一緒に戦った程度だけど」


「荒木が俺んちだったから、せっかく来てくれたのに、なんかごめんな」


「構わないけど、この後は少し行ける?今日たぶん、あと荒木だけなのよね」


「ここのギルド、平日はそこまで揃わないんだよ。メンツ足りないときは、他のギルドにいる2組の奴を誘ってる」


 山田たちは1年2組だ。同じクラスとはいえ、全員が同じギルドに所属しているわけではない。結構バラバラである。


「あたしは高校生だし、平日も結構インしてるわ。他は社会人中心みたいで週末が多い」


「ルールは特に無いから気楽だけどな。ギルマスとサブマスも週末ばっかだけど、うちらより強いし、イベントは協力してくれるから大丈夫」


 山田が加入したギルドの名前は『まったりジャパン』。いわゆるエンジョイ勢の集まりで、特に上を目指すギルドではない。



 荒木がやってきて、山田、荒木、中島、モニカの4人で観戦することになった。

 ギルドルームには大型モニターがあって、それで観戦可能だ。普段は協賛企業のCMが流れており、リモコン操作によって、表示内容を切り替えられる。映画等を観ることも可能だ。

 個人端末アダムと同様、世界観に似つかわしくないが、やはり便利に越したことはない。それに、CMは運営の重要な収益源のひとつでもある。


 新イベントの名前は『ペンタグラム・コロシアム』。2つのギルドの対抗戦で、2対2の対人戦が、5ヶ所の闘技場で同時に行われる。

 そのため、リアルタイムでフルに観戦出来るのは1戦だけだ。自動録画されているため、後から他の戦闘を観ることは可能だ。


 勝利したギルドは、特別報酬を得るが、ボーナスステージがあり、対人戦で残れたメンバーがボスモンスターとの戦闘に挑むことになる。そこで勝利すれば、更に報酬が増える仕組みだ。


 今回はテストプレイで、20時からは抽選で選ばれた4つのギルドが参加する。荒木の目当ては『ライジングサン』VS『疾風迅雷』だ。


「観戦するなら、やっぱ炎のキタザワ戦でしょ」


 そう言って荒木は、モニターの対戦カードから、闘技場Aのバトルを選択した。


 モニターに対戦カードが表示された。内容は『ギルド:ライジングサン/炎のキタザワ & エレガント・ローザ』VS『ギルド:疾風迅雷/忍者トドロキ & 忍者サカモト』となっていた。



 山田は荒木の目当てについて尋ねた。対人戦イベントに興味はあるが、始めたばかりの山田には分からないことだらけだ。


「荒木、対人戦を一緒に観るのは良いんだけどよ。『炎のキタザワ』って?」


「トップクラスのギルド『ライジングサン』のギルマスで、有名プレイヤーの一人だよ。炎の攻撃しかしない」


 中島も会話に加わる。

「CFUは属性相性があるから、どう考えても不利なんだよ。同レベルで1対1なら、水属性のスキルで固めれば簡単に勝てるはずだしね」


 荒木が説明を続ける。

「そこを敢えて炎に拘ってるから応援したくなっちまう。派手なスキルも多いしな」


 モニカも会話に加わった。

「調べたけど、このイベント、対戦カードが決まるのは30分前みたいね。それに2対2だから、安易に水属性で固める訳にもいかないわね」


 中島が説明を加える。

「今のところ対人戦はスキルセットを切り替えられないしな。『ライジングサン』と『疾風迅雷』は同格だし、どちらが勝つかは分からない」


「マッチングで、対戦相手は同格になるからな。トドロキは、速さを活かした戦法が得意なんだけど、近づかれたらキタザワもヤバい。相方のローザ次第かな」



 山田が質問を続けた。

「そういや、プレイヤーネームって変えたほうが良いのか?」


 荒木が応じる。

「ああ、それな。バトル動画や攻略動画を配信すると広告収入を得られるからな。有力プレイヤーは、覚えて貰いやすくするために『炎のキタザワ』や『忍者トドロキ』にしてる」


「今回の観戦も参加者の収入になるのか?」


「リアタイ観戦だと、広告は下にテキストで流れる程度なんだけど、なんか運営の売上からの分配もあるみてえよ」


 モニカが説明を加えた。

「確か動画は、視聴1回が平均0.5円くらいだったかな?それを全員で山分けになるわ。今回みたいなイベントの時は、CFU全体の売上から分配あるから、もう少し貰えるみたい」


 山田は更に属性相性などについて、荒木たちから説明して貰った。

 CFUのプレイヤーは、物理・火・水・風・雷・光・闇の7属性を用いて戦闘する。物理攻撃を除くと、火は水に弱い等の相性がある。


 モニターの前でバトル開始を待つ山田たち。あと数分で開始だ。


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