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紗蘭と亜門

 ここは現実世界。小さめの応接室のような場所で、20代前半くらいの男性が、ソファーに座ってテレビを観ていた。


「次は当番組の人気コーナー、『こうして稼げるCFU』!今回は、ユニークな武器デザインで稼いだ学生と、ファッションブランドを立ち上げた学生の紹介です。……」


 ソファーから少し離れた場所に仕事机があり、ノートPCが置かれている。それを見ている20代前半くらいの女性が、椅子に座ってうなだれていた。


「あー、今日もまた、来店も予約も無かったわね……。メールもなし。まあ今日は、神社の件あるから早仕舞いだけど」


「平日なんて来ないときは来ないだろ。ところで、あのゲーム、面白そうだな」


「あれって、剣と魔法の世界のゲームでしょ?あたしたちがやって、何が面白いのよ」


「いや、武器や衣装のデザインでも稼げるし、こないだやってた話だと……」

『RRR……』


 固定電話が鳴った。机にいる女が受話器を取る。


「はい、星月ほしづき占い事務所……。ああ、神主さん?ええ、大丈夫です。19時くらいに着けると思います」


 女の名前は、星月紗蘭ほしづき さら。表向きの職業は占い師である。タロット占いがメインで、23歳という若さで店舗を構えて営業している。


「占いの仕事中なんてこと、そうそう無いんだから、スマホのほう教えれば良かっただろ」


 男の名前は、天良亜門てんら あもん、自称24歳。紗蘭の助手である。


「見栄を張ったとかじゃなくて、固定電話が鳴らないと寂しいでしょ。準備してそろそろ出るわよ」


 なお、星月ほしづきは本名ではなく、占い師としての芸名である。本人が、星、月、天、明、輝、辺りの文字を入れたかっただけだ。天良てんらも同様である。

 2人が苗字で呼ばれることは、ほとんど無いため、本作では基本、紗蘭と亜門と表記する。


 ◇


 19時頃、東京近郊の神社。拝殿の付近で、紗蘭と亜門が神主と話し合っている。夜ということもあり、参拝者はいない。

 紗蘭の服装は、ゴシック系の黒いドレス。占い師の仕事をしている時は、アラビア系のベリーダンスの衣装を使用しているが、普段はスチームパンク系の服装を好む。

 亜門は、ライダースジャケットにジーンズといったラフな服装だ。紗蘭が占い師をしている時は、スーツを着ているが、客前に出ることはまずない。


 紗蘭と亜門は、表向きは占い師と助手だが、祓魔師ふつましとして悪魔払いの仕事も引き受けている。

 紗蘭が神主に話しかける。


「やはり、恋愛成就のパワースポットとして持てはやされたせいでしょうね。基本は我欲だもの。拝殿と授与所から、土地のエネルギーの流れが乱されているわ」


「こちらで修祓しゅばつを何度か行いましたが、結界を調整したほうが良さそうですかね?」


「そうね。御神体も弱っていたから、祓いでどうにかなりそうにない。拝殿からの流れを追って調整しとくわ。神主さんは、戻ってくれて良いわよ」


 神主は、沙羅たちに挨拶をしてから、本殿のほうに戻っていった。


「亜門も手伝ってよね」

「久しぶりに化け物が出てくるかと思ったが、そうでもなさそうだな」


「神社だから、そう簡単には出ないわよ。急に参拝者が増えたにせよ、それほど酷くなってない」

「試してみたい武器があったんだけどな。悪霊退治がしたかったぜ」


「戦わないに越したこと無いわ。近くで軽く食事してから、呪符じゅふと結界石を配置するわよ」


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