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山田、モニカと出会う

 何度かバトルをしていたら、馬に乗った騎士のようなモンスターが、山田たちの近くに向かってきていた。騎士には首がなく、長い槍を持っている。

 山田と荒木は、バトルに夢中で近づかれるまで気づかなかった。


「あ、やベーわ、山田。2人だと負けるかもしれん。デュラハンだ」

「負けても強制帰還させられるだけだよな?」

「ああ、自宅に戻されるだけ。逃げても追いつかれそうだな。やるだけやるか……」


 山田と荒木が身構えていると、背後から女の声がした。


「行って、ジジ、ララ!」


 女の横にいる犬と猫がデュラハンに向かって走っていき、デュラハンの乗る馬に攻撃して足止めした。

 荒木が女のほうを向いて声をかける。


「助かったぜ、モニカ」

「荒木がインしてるのを見たから、遊びに来たんだけど……」

「山田、このコはギルメンのモニカ。2人で援護を頼むわ」


 荒木はそれだけ言って、すぐにデュラハンに突っ込んでいった。

 モニカは、メイド服のようなメルヘン系の衣装を着た女性だった。武器として、アニメに出てくる魔法ステッキみたいなキラキラした杖を持っている。


「杖を持ってるし、山田も後衛よね?攻撃系?」

「さっき始めたばかりだけどな。攻撃系」

「デュラハン1体なら、たぶん勝てるわよ。遠距離攻撃だけお願い」

「分かった。とりあえずバフかけるわ。サンダー・チャージ!」


 山田は取り急ぎバフ(強化スキル)を使った。しばらくの間、自身の放つ雷属性の威力が強化される。

 モニカは、杖を振り回してスキルを発動した。


「見とれちゃえ!キラキラ・スターズ!」


 デュラハンの周囲の上空から、小さな星が大量に降ってくる。星と言っても色は様々で、淡いパステルカラーのメルヘンチックな星マークだった。


「なんだよ、そんなのあるなら俺は要らないんじゃね?」

「早く魔法スキルで攻撃してよ」

「へ?その星のやつ攻撃じゃないの?まあいいや。ロックオン!…………サンダーボルト!」


 サンダーボルトは、上空から雷撃を落とす攻撃スキルだが、その手のスキルは、発動までに特殊な手順が必要となる。

 まず、杖などで標的を指定してロックオンすると、対象の足元に魔法陣が現れて、そのエリアが赤く光る。地面からライトを当てられる感じだ。

 サンダーボルトは、そこから時間が経過しないと攻撃が放てない。


 つまり、狙われた側は、事前に気づいて範囲から逃れる等で回避が可能だ。これはCFUに対人戦があるためである。

 前触れのない落雷は、対人戦で簡単に当てられてしまう。常に上空も警戒しろなんてのは無茶な話だし、落雷が遅いなんてのも不自然すぎる。


 山田のサンダーボルトは、ロックオンから5秒は必要となるが、時間がかかる分、威力は高い。

 モニカの放った犬と猫、そして荒木が足止めをしているため、うまいこと命中した。


 雷撃効果でデュラハンの動きが少しだけ止まる。荒木が連続攻撃して、デュラハンを倒した。


「あの星なんだったん?」

「あれデバフなのよ。デュラハンを少し弱体化させたの」


 荒木と犬と猫が、山田とモニカのほうに戻ってきた。


「あ、そうだ。忘れてた。Hey、アダム!今、何時?」


 荒木は個人用端末アダムを出して、時間を確認した。


「ごめんモニカ。俺、山田んちからインしててさ。一旦、晩飯のために帰るわ。20時から新イベントあるから、ギルドルームに集合しようぜ」


「新イベント?あたし知らなかったわ。どんなやつ?」

「ギルド同士が戦うPVPイベントのβ版。ライジングサンと疾風迅雷が戦う」


「なるほど、観戦するってことね。いいわよ」

「観戦?」

「ギルドルームから出来るんだよ。山田も20時な」


 山田と荒木は、モニカに礼を言ってログアウトした。


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