山田、街の外に出る
山田は、ガチャで入手したスキルを荒木に伝えた。
「レベル1が、スモール・シールド、ウォーター・ブレイド、サンダー・チャージ。レベル2が、ファイアー・ブレッツ、サンダー・スピアー、サンダーボルト」
「いい感じだな。そんじゃ早速、試し撃ちに行こうぜ。あとギルドに加入申請を出しといて。荒木の紹介と書いとけば大丈夫」
「本当に二人だけで大丈夫かよ?」
山田は荒木に案内され、初心者向けの草原に向かうために街を出た。
ボーナススキルは、常時発動型のパッシブスキルだったが、デメリットもありそうなので、とりあえずオフに設定している。
なお、CFUの世界は、現実世界の生活習慣に関わらず、快適にプレイ出来るよう、常に昼になっている。
地区JP-08の周辺は、東京都における過ごしやすい気候、春の気温と湿度をイメージして設計されている。特にイベントが無い限り、天気は晴れで適度に風も吹く。
山田と荒木は、モンスターのいる草原についた。
「先に盾を出しとくか。ナイト・シールド!」
「スモール・シールド!」
CFUは、発声によってスキルを発動するのが基本だ。盾はスキルによって出して、必要ないときは消せる。
山田は小さい円盾、荒木は少し大きめの騎士用の盾を出した。
荒木は最初に剣士スタイルを選択したため、大きめの盾を出せる。武器は長剣、服装は軽装の鎧だ。
「あそこにいるゴブリンから狩るか。あのサイズは雑魚」
山田と荒木から少し遠めの位置に、ゴブリンが5体いた。
全て小型で人間の半分くらいのサイズ感。小さな棍棒を持っている。
「もう少し近づいたら合図するから、距離感を覚えるために、山田から仕掛けろ。襲ってきたときは、俺がフォローするから大丈夫」
山田が中距離から魔法で先制攻撃を仕掛け、それから荒木が突っ込んでいく流れで戦うことになった。
荒木は、山田が仕掛けやすいスキルを伝える。
「ファイアー・ブレッツは、勝手に連射して、出しながら杖を動かせる。それ使ってみな……今だ!」
ゴブリンにある程度まで近づいた山田は、杖を向けてスキルを発動する。
「ファイアー・ブレッツ!」
山田の杖から、火球が10連続で発射された。ブレッツ(bullets)は、弾丸を意味する言葉だが、野球ボール程の大きさはある。
ゴブリンに3発命中させて倒せた。
「山田、わざと1体残すからサンダー・スピアーで狙え!」
荒木が残りのゴブリン達に突っ込んでいく。ゴブリン達が飛びかかってくるが、あっという間に3体を斬り伏せた。
残りの1体には、あえて攻撃せずに盾で払いのけながら防御に徹する荒木。
「当たるか?サンダー・スピアー!」
山田は、杖から槍状の電撃攻撃を放った。長さは1メートル程度。
狙い通りゴブリンに突き刺さって一撃で倒せた。
「小さいから少しやりづれえかな。人間サイズを探そう。あ、そうだ、ゴブリンと言っても色々いるからな。強さもピンキリ。魔法を使うゴブリンメイジもいる」
荒木は、人間サイズの弱いモンスターを探すため、付近を見回している。
任意発動型のスキルを使うと、スキルゲージを消費するが、時間経過で回復する。
ダメージを受けると、体力に相当するライフゲージが減り、ゼロになると敗北。こちらも時間経過で回復する。
毒の攻撃などを受けていない限り、休憩を挟むことで全快の状態を続けられる。
勿論、敵のほうから襲ってこられると、回復が間に合わないときもある。特にライフゲージの回復速度は遅めである。
「あそこにいるグールとスケルトンにするか。ウォーター・ブレイドを試してみな。杖を振った軌跡から、水の刃が飛んでく感じ」
ウォーター・ブレイドは、発声が完了する直前1秒程度に杖を振った軌跡から、扇状の水の刃を飛ばすスキルだ。
山田は、縦、横、斜め、いろんな出し方を試しながら、荒木と協力して全滅させた。
「よし、この調子でもう少し狩るぞ、山田」




