人は人の上に人作れり
昔の偉い人が言ったそうだ「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と
昼食後の眠気に耐えて授業を聞いていた僕はふと国語もしくは社会の教科書にでも載っていた言葉を思い
出す。
もうこの言葉を信じる者は誰もいないだろう。文字通り俗人の上で人が生まれ、また彼らが生まれ
ながら世界の万事を統べる存在となることが保証されている事を僕たちは知っているから。
タイミングを示し合わせたように窓の外にその不平等を可視化した存在、「空島」が飛んでいくのを僕は見つめていた。
人類が大きく進歩するのは決まって戦争が起こるときだった。人類史が始まり今に至るまでに起きた戦争によって人類は新たな技術を獲得してきた。そして大規模な戦争は終結した後に社会を変革することもあった。
大国の暴走を止めることができずに突如として始まった二度の世界大戦とも比べ物にならないほどの規模の戦争は13年続き、地球戦争と言われた。
この戦争も例外ではなく様々な科学技術がこの戦争によって生み出され発達した。この進歩は人類を100年先のステージにまで到達させたとも言われた。
しかし、この戦争の結果として最も重要な事は科学の進歩ではない。長すぎる戦争によって人口は3割が世界全体で失われることとなり人々は心から平和を願い、政府はそれに答えるべく戦争を根絶する方法を世界の各国と議論した結果ある一つの方法を考えついた。
〈唯一の政府による全世界の統治である〉
つまり、現存する全ての国家を廃止し世界政府的組織を設立するということだ。国家が存在することによって起きる全ての格差、争い、差別を無くすというスローガンを掲げられた人々は喜んで提案を受け入れた。
こうして成立したのが世界統一会議 (Unified World Conference 通称UWC)である。世界から200名が理事として選ばれたUWCは、議員からさらに二人を選び出し彼らを元老として大半の政務や統帥権を二人
に委ね、重要事項については全議員が参加する理事会によって決定された。
最初の数年は復興のために世界中が協力したらしい敵国だった人々もいるはずなのにそれが可能だったということはUWCはうまく機能していたんだろう。
しかし、時間が経つにつれてよくあることだがUWCの腐敗が始まりだした。理事は世襲されることが大半となり理事同士の家で政略婚が進められ横の結びつきが強くなった。理事を排出する200ほどの家は二枠の元老の座を争って政争を繰り広げた。
その結果として途絶えてしまう家取り潰された家が出てきて、200家のうち勝ち残った50家がUWCの頂点つまり世界の頂点となった。
権力のすべてを手に入れた彼らは科学技術の粋を集め、UWCの威光を知らしめるもとい、自分たちの力を誇示するために空飛ぶ巨大な宮殿を創り上げた。
彼らはそこに住み、そこで子供を産み、そこで子供は育ち、親の跡を継いだ。
地上に残された人々は世界を支配する者たちが住むそれをいつしか空島と呼び始めた。
拙い作品ですが趣味で続けていくつもりなので、もしも気になっていただけたら幸いです。




