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第五十二話 海水浴

「水着のお披露目も終わったことですし、そろそろ遊びましょう」


 天月のその一言で、俺の心臓は稼働し始めた。

 真っ先に海に向かう美沙を追って、俺とレナも海に向かう。


「お二人とも早くー。気持ちいいですよ」


 バシャバシャと海の中を進む天月に(なら)って、俺も澄んだ海に足を浸す。


「冷た! でも気持ちいいな」


 じりじりと肌を照らす夏の暑さのおかげで、ひんやりとした海水がより心地よく感じる。

 このまま全身まで使ったらさぞかし気持ちいいんだろうな。

 そう考えて歩き出そうとしたところで、パシッと腕を掴まれた。


『待って海斗』

「……どしたの?」


 突然、腕を掴んできたレナに問いかける。


『……その、海が怖いの』

「溺れたことでもあるの?」

『なんで分かったの!?』


 適当に聞いてみたら、驚かれた。


「お前のことだから、浜辺かなんかで調子に乗ってやらかしたのかと……」

『なんで言い当ててくるのよバカバカバカ!』

「理不尽すぎない!?」


 軽くポカポカ撫でてくるレナの頭に手を置く。

 それから子供をなだめるように優しく撫でた。


『頭撫でたら機嫌とれるとでも思ってるの?』

「いつも撫でたら機嫌よくなるじゃん」

『よく分かってるわね』

「チョロインかよ」


 そのまま撫で続けてあげると、レナは満足したのかポカポカ叩くのをやめてくれた。


「……あれ? てか、それだとなんでレナは海に来たの? 泳げないってわかってるのに」


 ふと疑問に思ったことを尋ねる。

 レナは泳げないわりには今回の海水浴をすごく楽しみにしていたので、純粋に気になったのだ。


『……海斗と一緒なら、楽しさのほうが勝つかなって思って……』


 恥ずかしそうに小声で呟かれたその言葉に、思わず俺の胸が熱くなる。

 こんな嬉しいことを言われて喜ばないわけがない。


 俺はもう一度レナの頭を撫でてから、手を差し出した。


「ほれ。手をつなげば一緒に行けるだろ?」

『……ん、離さないでね』

「大丈夫だって。そんなことしないから」

『一応聞いただけよ。……海斗が優しいってことは誰よりも私が知ってるから』

「おうふ……」


 またもや嬉しすぎることを言われて心臓が止まりかけたものの、努めて冷静にレナをエスコートする。

 俺が一歩進むと、レナは顔を紅潮させながら一歩を踏み出した。

 チャポンという音を立てて、レナの足が海に浸かる。


 ざぱぁぁんざぱぁぁんとやって来る波が、レナの足を優しく撫でる。


『気持ちいい』

「大丈夫そうだな」

『ふふん、意外といけたわ』


 ドヤ顔で胸を張りながらそのまま進むレナ。

 もうエスコートの必要はなさそうだけど、レナが離したがらないので手は握ったままだ。


『海って言っても、所詮はただの水よ。大したことないわ!』

「水って五センチあれば人を殺せるけどな」

『もう死んでるから負けることはないわね。つまり私の勝ちよ』

「なんの勝負してんだよ」


 レナはあっさりと腰のあたりまで浸かる深さまでやって来た。

 海に対する苦手意識は完全になくなったようだ。


「それ以上イチャイチャさせませんよ! えいっ!」


 俺たちのもとまで駆け寄ってきた天月が、可愛らしい掛け声をあげながら水をかけてくる。


「イチャイチャはしてな……うお!?」

『きゃっ!?』


 いきなり顔に水を浴びてビックリしていると、同じように驚いたレナが抱き着いてきた。

 十中八九、反射的に抱き着いてしまったのだろうけど、抱き着かれた俺はそれどころではない。


 塩の香りに混じってふわりと鼻腔をくすぐってきた甘い匂いに、腕に当たるむに~っとした柔らかい感触。

 何がとは言わないけど、これはダメだ。ホントにダメだ。


 新手の拷問かよ!


 健全な男子高校生である俺にとっては刺激が強すぎた。

 じりじりと照りつける夏の暑さが涼しく感じてしまうほど、俺の顔が熱暴走を起こす。


『ビックリしたぁ。も~美沙っちってば~。いきなりは卑怯なんだから……って、なんで真っ赤になってるの?』

「教えられるかよ……」

「ラッキーハプニングってやつです。レナちゃんのおっぱいが腕に押し付けられるなんて、良かったですね、先輩!」

「やめて!? なんであっさり教えちゃうの!?」

「こっそり幸せの感触を堪能していたかったんですね」

「……違うから!」

『何よその間は。変態』


 何も言い返せないから、俺は黙った。

 レナは俺の反応を見てからクスリと笑う。


『……今回は許してあげるわ。私から抱き着いたんだし』

「ははー、ありがとうございますレナ様」

『それよりも、美沙っちに仕返しするわよ!』


 レナの瞳に闘志が宿る。

 負けず嫌いなレナは、どうしても天月にやり返したいらしい。


「ああ、協力するぜ! すべての元凶はいきなり水をかけてきた天月だからな!」

『ぎゃふんと言わせてやるわ!』

「いいでしょう。かかってきなさい。返り討ちにしてあげますよ!」


 俺たちは楽しげに笑いながら、お互いに水をかけあう。

 ただひたすらにはしゃぐこの時間が、何よりも楽しかった。

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こちら新作です!

タイトル『落ちこぼれの無能だと貴族家を追放された俺が、外れスキル【キメラ作成】を極めて英雄になるまで』

貴族家を追放された主人公が、美少女キメラと一緒に英雄にまで成り上がるお話です!
こちらもよろしくお願いいたします!!!

また、peepにて拙作『不知火の炎鳥転生』がリリースされました!!!

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超絶面白く仕上げているので、ぜひ読んでみてください! 青文字をタップするとすぐに読めます!
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