第四十四話 仕込み
レナの誕生日当日。
事前の打ち合わせ通り、レナは天月と一緒に遊びに行っているから家にはいない。
一人家に残った俺は、サプライズ料理を作るべく行動を開始した。
まずは誕生日の目玉でもある、ケーキ作りからだ。
ひとえにケーキと言っても、さまざまな種類がある。
定番のイチゴの乗ったショートケーキをはじめ、チョコレートや抹茶といったシンプルなものから、チーズケーキのような変わったケーキまで。
今回、俺が作るのはチョコレートケーキだ。
チョコレートをおいしそうに食べるレナの姿が印象に残っていたから、というのが理由である。
クッキーを一緒に作った時もチョコが好きって言ってたしな。
「よし、やるか」
俺は力こぶを作ってから、作業に取り掛かった。
材料を混ぜ混ぜして、メレンゲを作って、それらを混ぜ合わせる。
メレンゲをきちんと三回に分けて加えることも忘れない。
「これで生地は完成っと」
出来上がった生地を型に流し入れ、トントンして空気を抜いたらオーブンで焼く。
次は生クリームを作っていく。
それが終われば、フルーツのカット。
それが終われば、板チョコにメッセージを書く作業だ。
「うし、完ぺき」
いちごをカットし終えたところで、スポンジが焼き上がった。
竹串で確かめたところ焼き加減はばっちりだったので、型から取り出して冷やす。
最後はグラサージュだ。
鍋にココアパウダー、グラニュー糖、生クリームを入れて、艶が出るまで中火で混ぜる。
ゼラチンを混ぜて、氷水で少しとろみがつくまで冷やしたら完成だ。
「あとは仕上げだな」
いい感じに冷えたスポンジを三等分にする。
スポンジに生クリームを塗ってからカットしたいちごをはさみ、さらに生クリームを塗る。
それを繰り返してから、スポンジ全体の周りを生クリームで塗っていく。
グラサージュを塗ってペティナイフで表面をならしてから、フルーツなどを盛りつける。
「誕生日おめでとう!」の文字とレナの似顔絵が描かれた白色の板チョコレートを盛りつければ、ケーキは完成だ。
「うむ。我ながら素晴らしい出来だ」
かつてないほど集中して作ったので、これまでに作ったどのケーキよりもおいしそうな、最高傑作が出来上がった。
「これは冷蔵庫にしまっておいて、次は料理のほうだな」
メインはやはりハンバーグだ。
レナの誕生日を祝うのだから、これは外せないだろう。
チーズインで和風キノコソースという、レナが一番気に入っている組み合わせで作っていく。
すでに何度も作ったので、いまさら手間取ることもなくすぐにタネが出来上がった。
あとは焼くだけなので、ハンバーグはここでいったん終わり。
付け合わせの野菜はすでにカットしたものが冷蔵庫に入っているので、後は副菜を作るだけだ。
昔は野菜嫌いだったレナだけど、今では毎日食べているうちになすび以外は克服している。
それどころか、今ではおかわりをするほど好んで野菜を食べるようになっていた。
なので、どのメニューでも問題ないだろうけど、今日はレナの誕生日。
やはり、レナが特に気に入っているものを作るべきだろう。
となれば、やはり候補は筑前煮だ。
試したかったこともあるし、ちょうどいい。
野菜をカットして、鶏肉と一緒に炒めてから煮込んでいく。
天月から送られてくるメッセージに目を通しながら仕上がりの時間を調整する。
すべての料理が完成したところで、ちょうどタイミングよく玄関が開く音がして。
――すぐに待ちわびていた二人の声が聞こえてきた。





