第09話 もう1人の勇者
密かに楽しみにしていた方、もう終わりかと諦めていた方、今回遅れて掲載したことは誠に申し訳ございませんでした。
たまたま開いて頂いた初見の方、誠にありがとうございます。
今回、未完成だった続きを続編ではなく単純に続きとして掲載させていただきました。
また気まぐれ程度の感覚で出すと思われますが流石に自重できるように努力いたします。
また、今更ながらこんなめちゃくちゃな文面の物語で良ければこれからもご愛読ください。
どうも皆さん。元無職で現役勇者の長門 賢治です。
新しい仲間の聖職者 エレナを連れ、今回はハッシュ王国の隣国で魔物の難易度が一段階上のイージ王国にやって来たのだが、
長門
「ぜぇ、ぜぇ、」
クリス
「ハァ、ハァ、」
シオン
「まさか、国1つ違うだけでこんな強敵を相手することになるなんてね」
長門
「だが、俺としてはこれくらい手強い方が育ち甲斐がある」スチャ
クリス
「たまに好戦的ですよね勇者さん。でも、最後まで付き合いますよ!」スチャ
シオン
「私も、ここまで来たなら最後まで進ませてもらうわよ!」
エレナ
「何言ってんだか。あれは私の獲物だよ? 後ろで大人しく援護でもしててよ」
長門
「ったく、さっさと倒して休まして!」
【俺が勇者になったなら】
08『先代の勇者』
長門
「タイラントティガ、上級の魔物で持久戦に長けてはいるが、短期決戦に持ってこられたらボロが出るらしい」
シオン
「つまり、さっさと倒したのは正解だったってこと?」
長門
「タイラントティガは敵の探査能力と嗅覚、脚力が優れているらしい。早く倒さないと三日三晩相手することになるとのことだ」
クリス
「あの、そのにわか知識のような説明何なんですか?」
長門
「俺の新しいスキル『詮索』だ。使用すると魔物の呼び名や特徴、習性や性格までわかる。だが接触してる間だから一々覚えなきゃいかん」
シオン
「便利なスキルじゃないですか」
長門
「自分のレベルが上がればいくらでも更新するらしい。短期決戦も長期戦も程々にしないとこっちが持たん。今回は最善を尽くしたと考えよう」
エレナ
「にしてもおかしいな〜。確かにコイツは強いよ。だけどイージの魔物の強さじゃないね?」
長門
「どう言うことだ?」
エレナ
「私達のレベルは大抵9や14が手一杯ってところでしょ? でもそれなら圧勝できてもいいはずなんだよ。なのにコイツと来たら、そんな私達を苦戦させた」
長門
「つまり、コイツは本来ここにいるような魔物ではなく、」
クリス
「どこかから流れ込んで来た魔物ってことですか?」
長門
「もしくは、魔王軍の部隊が来ている可能性もあるな」
シオン
「とうとう来たのね」
長門
「まああくまで推測だ。とりあえずコイツは近くの村のギルドにでも売っ払うぞ。ここに置いても邪魔なだけだからな」
ギルド、
受付
「タ、タイラントティガ!? よく倒せましたね」
長門
「ここの連中でも手こずる相手なのか?」
受付
「えぇ、それにタイラントティガは最近になって現れた他国の魔物です」
長門
「やっぱりここの国の魔物じゃないのか」
受付
「えぇ、タイラントティガは本来、この国よりも上位の魔物が生息するマルノー王国の魔物です。ですが、これを倒したあなた達も、本当にハッシュ王国の人間なんですか?」
長門
「まあね。お陰で疲れたよ」
受付
「では、会計はこちらになります」スッ
エレナ
「うぉ、すげぇ金額」
クリス
「本当にこんなにもらっていいんですか!?」
受付
「えぇ、大丈夫です。これでも必要最低費なんですよ? ちゃんとした依頼としてならもっともらうこともできましたし」
シオン
「これでも抑えた方なのね」
長門
「まあもらえるものはもらえる内にもらっておくか。因みにこれ受け取ったら何か払わなきゃいけないものってあるのか? 税金とかいろいろと」
受付
「いえ。既に報酬から手数料は事前に引き抜いていますので、わざわざ払わせる必要はないので大丈夫ですよ。詳細は渡した小計に書かれています」
長門
「そりゃ良かった。じゃ、受け取って行くよ」
受付
「はい。それからようこそ、イージ王国へ」
長門
「ふぅ、国は違えど文化は大差変わらんのな」
クリス
「まあ、殆ど統一された状態ですからね。読み書きも勇者さんのところに比べれば楽な者ですよ」
長門
「みたいだな。とりあえずここの王様のところに挨拶にでも行くか? 暫くこの辺りを彷徨くことになるからな」
シオン
「そうね。でも今度はちゃんと挨拶したいわね。前回とは違って」
クリス
「うぅ、思い出させないで下さいよシオン」
エレナ
「おやおや、こいつら一体何やらかしたんだ勇者?」
長門
「さあねぇ、ただマナーを聞き忘れてただけじゃないのかな〜?」
エレナ
「んだよ結構つまんないのな」
クリス
「あ、あの時は本当に恐かったんですからね!」
シオン
「そうよ! 何か粗相をしでかして怒られるんじゃないかって必死だったんだからね!」
エレナ
「そんなの自分にとって丁寧なつもりならそれでいいじゃん」
長門
「お前は少しフランクすぎるんだよ」
ガチャン
長門
「ん〜、終わった終わった。前回よりマシだったぞお前ら」
クリス
「良かった〜、心臓バクバクでしたよ」
シオン
「………」
長門
「………シオン、」
シオン
「ごめん、勇者くん、何も言わないで、」
エレナ
「プッ、プハハハハハハハハハッ! 最高だったよシオン! まさか最後の最後でずっこけるなんて、ホント最高! アハハハハハハハッ!」
シオン
「う、うぅ、」メソメソ
長門
「よしよ〜し、今のうちにいっぱい後悔しておけ。また次があったらまだ上手くできるようになってるから。 な?」ナデナデ
シオン
「………うん、」
エレナ
「にしてもさっきの王様の話」
クリス
「えぇ、」
───
王様
『勇者 長門賢治とその一行に依頼する。この王都にはある謎の犯罪者により多大なる損害を受けている。貴公らにはこれを調査、可能なら捕縛か討伐を依頼したい』
長門
『その損害とは?』
王様
『うむ。貴君らも知っての通り、この王都の周囲には元いた魔物よりも凶暴な魔物が放浪している。それらは既に人為的なものだと発覚しているが証拠がない。おかげで我が民草にまで犠牲者が相次いでいる。これ以上、我が領土を荒らされるのは我慢ならん。どうか頼まれてはくれんか』
───
長門
「んなこと言っちゃいたがホント何もわかんねえな」
クリス
「まぁ、今日はもう疲れましたし。せっかくの王都ですからゆっくり休みましょうよ」
シオン
「えぇ、お腹空いたものね」
クリス
「私を見ながら言わないで下さいよ。本当に空いてるんですから」
エレナ
「私はもう少し観光したいかな〜」
長門
「刃物をちらつかせるな。明日また魔物と相手することになるんだろうから大人しくしてて」
エレナ
「ぶ〜」
長門
「ってか、タイラントティガの相手したばかりだろ。今日は休めよ」
?
「………」
エレナ
「?」
長門
「どうした? ボーッとして」
エレナ
「ううん。何でもないよ」
?
「………あれが新しい勇者とその仲間か」
シオン
「………」ゴリッゴリッ
クリス
「何してるんスか?」
シオン
「今日の戦闘でみんなボロボロだったでしょう? また今回みたいなことがあった時のために色んな薬を用意してるの」カチャ
クリス
「でも傷ならエレナが、あっ」
シオン
「フフフ。エレナが来てくれたのはとても嬉しいのよ。本当に。でもね? 私はどうしても、仲間の力を過信して自分の役割を蔑ろにしたくないの。もし主体としてる手段が使えなくなった時のためにね」
クリス
「………シオンはしっかり者ですね。私なんか、自分の魔術を磨くので精一杯なつもりでいたのに、シオンは他のみんなの役割も代役できるように頑張っているんですもんね」
シオン
「あら、皮肉でも言っているのかしら?」カポッ
クリス
「え?」
シオン
「あなたはいつも周りを見て私たちの目になってくれていつも魔術で盾になってくれてる。あなたはあなたにできることでみんなを守ってくれているじゃない。いつも助けられているわよ。クリス」
クリス
「シオン、ありがとうございます! じゃあ私はみんながもっと怪我をしないように防御魔術も沢山覚えて見せますからね!」
シオン
「えぇ、期待してるわよ」
クリス
「はい!」グッ
女性の声
『キャーッ!』
2人
「「ッ!?」」
女性
「あぁ、あぁっ………!」
男性
「きゅ、急に魔物の死体が降ってきて、」
長門
「この雑で大げさな扱い、エレナだな。やっぱり先に気づいてたか」
カンッ、カンッ、カンッ
男性
『只今7地区の方面より魔物の発生を確認しました! 市民の皆様は直ちに建物に避難し、冒険者は直ちに武装して魔物の殲滅に当たって下さい!』
長門
「2人共、聞こえた通りだ! 俺も準備して向かう! お前らも手伝ってくれ!」
クリス
「任せて下さい! みんな撃ち抜いて見せますから!」
シオン
「えぇ! 魔物の相手もだけど避難誘導に私は先に向かわせてもらうわ!」
長門
「任せた。エレナはもう先に行ってる」
タッタッタッタッ
エレナ
「ハッハハハハハハハハハハッ!」タッ
ブワッ
エレナ
「わかる、わかる! わかる! 今夜は楽しい祭りだ! 誰にも私の獲物は渡さない!」
タッ
魔物
『Garrrrrrrrrrrr!!!!!』
エレナ
「うわぁ、いっぱい、いっぱい、いっぱい………! いっぱいいる! いっぱい斬れる!」ジャキッ
ブワッ
エレナ
「全部、私の獲物だァァァァァァッ!!!」
エレナは元々は献身的な協会の信者でシスターをやっており今のような趣向は持ち合わせていなかった。
しかしある出来事がきっかけで今に至り、
エレナ
『アハハハハハハハッ!!!』
長門
「やれやれ、禁断症状が出たか」
クリス
「識別とかは大丈夫でしょうか? 人と魔物の」
長門
「あ、ちょっと不安になってきたから行ってくる」
クリス
「い、行ってらっしゃい、」
エレナ
「ハハ、アハハハハハハ、ハハハ、」
グチャ
エレナ
「暖かい、気持ちいいな、気持ちいいよ、本当だよ?」
魔物
『Garrrrrrr!!!』
ザクッ、ドサッ
エレナ
「………暖かい、でも、」
ポロポロ
エレナ
「君がいないと、ちょっぴりしか、暖かくないよ? ねぇ、ハルちゃん、」
?
「………」
男の声
「行ってやんなくていいのか?」
?
「………」
長門
「よぉ。魔物は全滅したし、あいつはあの様子だと下手に触るより待った方が良さそうだし暇になったんだ。なんとなくだが気づいちゃいたぞ。お姉さん」
?
「………少なからず、お前みたいな野郎に年下はいない」
長門
「そいつぁ失礼。でだ、ここへ来た時にエレナに視線を送ってたのお前なんだろ? 別に行ってもいいんじゃねぇの? 俺の連れだとしても付き合ってるわけじゃないし。知り合いなら寧ろ会いに行きなよ」
少女
「別に知り合いって訳じゃないわ。それにあの子に会う資格なんて私にはもうないし」
長門
「そっか。じゃあこっちの要件に付き合って貰おうか」
スッ
長門
「先代、第186代目元勇者 茶蔵ハルカ。ご同行願おうか? いろいろと説明してもらいたいからな。殺されたあんたの仲間たちの死因についてとか」
少女
「答える義理はないわ」スチャ