第02話 迫害の狩人
どうも皆さん。ろくでなし元ニートの勇者です。
皆さんのいる世界から寝てる間に異世界へ飛ばされ、勇者としての適性があるからと勇者にされて魔王軍と戦うことになりました。
そしてそんな俺は今、
ドサッ
魔物
「う、ぐぅ、」
なんか無茶苦茶強そうな魔物を短時間で倒してしまった。
【俺が勇者になったなら】
02『迫害の狩人』
俺
「いやいやいや、」
グイッ
俺
「おかしいだろ? なんでこんなクソ強そうな魔物が、なんでよりにもよって最弱攻撃でのびてんだよ!?」
魔物
「か、勘弁してくれ、」
クリス
「そいつはリザードマン。襲って来たと言うことは盗賊か何かなのでしょうね。あと本当なら鎧や武器を装備する武器のスペシャリストなんですけどね?」
俺
「つまりコイツは準備もままならないまま無防備で襲い掛かってきた訳か?」
魔物
「ホント、すんませんでした、」
俺
「………ハァ、どうも釈然としねぇ。行くぞクリス」
クリス
「えっ、いいんですか? 生きてますけど」
俺
「今倒しても後味悪いからな」
魔物
「………」
俺
「で、なんで付いて来る訳?」
リザードマン
「………」オロオロ
俺
「………」
リザードマン
「………」オロオロ
俺
「………」イライラ
リザードマン
「………」オロオロ
俺
「よし殺す」スチャ
リザードマン
「待ってくれ! ただお前らがどんな奴か気になっただけなんだ!」
俺
「何も知らずに襲ってきたのか。俺達は勇者御一行様だ。魔王軍と戦う為のな」
リザードマン
「2人なのにか?」
俺
「そうだよ2人だよ? 魔王軍と戦わなきゃいけないのにたったの2人だけしか派遣されなかったんだよ? もしかして魔王軍の方が福利厚生なんじゃないかってくらいブラックなんだよ」メリメリ
リザードマン
「ギャーッ! ごめんなさい! いやなこと聞いてごめんなさいー!」
クリス
「あと、もうそろそろまた新しい町に付きそうなので付きまとうのやめてくれますか?」
リザードマン
「え、えぇ、」
俺
「なんだ? 仲間にでもなりたいのか?」
リザードマン
「ち、違う!」
俺
「じゃあ何?」
リザードマン
「え、いや、だから、」
オロオロ
リザードマン
「………」
俺
「あ、泣いちゃった」
クリス
「勇者さん。魔物を相手に泣かせるとかどんだけ口喧嘩強いんですか?」
俺
「俺向こうじゃ最弱だったんだけどなぁ、」
リザードマン
「うるせぇ馬鹿! バーカッ!」タッタッタッ
クリス
「あっ、待ちなさい! あなたは町に売り払って夕飯代になってもらうんですよ!」
俺
「お前のおかげで食い意地が減ったから一応感謝しておくけど容赦ないな」
クリス
「へ? どう言うことですか?」
俺
「わからないならそれでいい」
リザードマン
「………」
リザードマン
「よぉ、ディック」
ディック
「だ、団長、」
団長
「実戦訓練の成果はどうだ?」
ディック
「は、はい! なんとか力付いてきてます!」
団長
「よし。そこまで言うなら相手してやる」
ディック
「え、あ、はい、」
団長
「よし、来い!」
ディック
「う、うわーっ!」
団長
「………」
ダンッ、ドゴッ、バキッ
ディック
「ゴハッ!」
団長
「てめぇ俺をナメてんのか!? あぁ!?」ドッ
ディック
「うぐっ、」
団長
「それにその傷! 冒険者の連中にまたやられやがったな!?」ドッ
ディック
「うっ!」
団長
「ぺっ、役立たずが」
ディック
「………」
俺
「新しい魔術ねぇ。どんなのだ?」
クリス
「ふぁい、ほえあえふえ(はい、それがですね)?」
俺
「とりあえず口の中の者を整理してから喋りなさい」
クリス
「(ゴクッ)なんと砲撃魔法なんですよ」
俺
「砲撃ねぇ、いつもの射撃魔法より射程が長いのか?」
クリス
「なんと飛距離が10km以上の代物なんです!」
俺
「それってミサイルか何かかな?」
クリス
「そしてなんと、調整次第じゃ爆発範囲が広大で1kmも届くとか」
俺
「それ絶対○クスプロージョンって叫ぶだろ?」
クリス
「何を言ってるんですか勇者さん?」
俺
「だよな。良かった」
客
『おい! 近くで魔物が暴れてるらしいぞ!』
客
『リザードマンの群れが重装備でやって来やがった! 冒険者がいるなら討伐を頼む!』
俺
「さて、お仕事しますか」ガタッ
クリス
「ふぁい!」ガツガツ
俺
「まだ食べるのね」
リザードマン
「オラオラ! 死にたくなきゃさっさと金目のもん寄越せ!」
俺
「古典的だがわかりやすくて助かるよ」スチャ
リザードマン
「ッ!」
俺
「アスモデウス・ランチャーモード」コォォォォッ
リザードマン
「う、うわァァァァァァァッ!!!」
ドゴーンッ
クリス
「流石勇者さん! うっぷ、」
リザードマン
「なんだコイツ本調子じゃねぇな!」
クリス
「フレアガン!」ドンッ
リザードマン
「ぐわァァァッ! あっつ! あっつ!」
クリス
「確かに本調子じゃありませんけど、ちゃんと戦えますからね………! うっぷ、」
ザシュッ
リザードマン
「ぐふっ!」ドサッ
俺
「信憑性の薄いことで───ッ!」
ガキンッ
俺
「おや、誰かと思えば今朝のリザードマンじゃん」
ディック
「………」
俺
「ん〜、どうしたのさその傷?」
ディック
「………」
俺
「答える気は無しか」
ディック
「ッ!」バッ
俺
「おっと!」
ディック
「うっ、うーっ!」
バキッ
ディック
「うぐっ!」
俺
「何があったか知らないけどさぁ、そうやって殺し合ってる相手に同情を求めるのやめてくれる? 凄い虫唾が走るよ?」
ディック
「うっ、うぅ、」
ガシッ
俺
「立てよ! てめぇにはやらなきゃならないことがあるだろッ!?」
ディック
「………」
俺
「前を向いて進むか、後ろを向いてやり直すか! どっちだ!?」
ディック
「俺は、俺は、」
俺
「立て!」
ディック
「うぅ、うあァァァァァァァァッ!!!」タッタッタッ
俺
「………」
団長
「やはりただの役立たずだったか」
俺
「ッ!」
カキンッ
俺
「………」スタッ
団長
「お前か。魔王軍に仇なす勇者一行と言うのは?」
俺
「そう言うお前は、この群れの頭首かい?」
団長
「アヴェルチだ」
俺
「もう1つ聞くけどさぁ、あいつけしかけたのお前?」
アヴェルチ
「けしかけた? 違うな。奴は役立たず故に責めてもの情けとして役目を与えたまでだ」
俺
「それが本心ならどうこう言うつもりは無いけどさぁ、どの道あいつを不本意でやらせた時点で五体満足で帰れると思うなよ」
アヴェルチ
「それは、てめぇの方だッ!」バッ
俺
「シールドモード!」
ガキンッ
アヴェルチ
「てめぇ、やっぱりその武器、アスモデウスだな!」
俺
「知ってるのか。最初に来た村で譲ってもらったものでな。使い勝手は悪くない」
アヴェルチ
「そいつは昔存在した勇者が幹部から奪った代物だ。元々は魔王軍のものだ。返してもらう!」
俺
「えぇ、これ俺専用の武器じゃなかったのかよ」
クリス
「勇者に与えられる武器は基本そんなものですよ! 与える条件は強くて使いやすいことなので!」
俺
「じゃいいや」ガキンッ
アヴェルチ
「ちょっ! てめぇ! なんで急に強く!」
俺
「大した拘りはないからな。他もそうなら別に構いはしないさ」
アヴェルチ
「もう少し拘れ! と言うより返せ!」
俺
「断る!」ボォ
アヴェルチ
「………ッ!」
俺
「あの世で覚えときな………! 今のこいつのご主人様は、この俺だ!」ボォォォォォォッ
アヴェルチ
「な、なんだその形状は………!?」
俺
「これが今出せる全力! アスモデウス・フルドライブだッ!!!」
ズォォォォォォォォッ
アヴェルチ
「こんな、こんなァァァァァァァッ!!!」ジュッ
俺
「ふぅ、思えばこの技燃費悪いんだった」よろっ
リザードマン
「バ、バカな! 団長が殺られただと!?」
リザードマン
「撤退だ! あんな奴の相手をするなんて割に合わねえ!」
村人
「リ、リザードマン達が逃げて行く………!」
村人
「すげえよあの人達! 一体何者なんだ!?」
村人
「今回選ばれた勇者一行らしいぞ!」
村人
「おぉ! 今回の勇者はなんて凄まじい力を持っているんだ!」
俺
「なんか凄いことになっちゃったな」
クリス
「勇者さんそれ使うの自重して下さいね」
俺
「生憎こいつ以外での戦い方は───いや、あるな」
クリス
「え? あったんですか?」
俺
「無いとわかってて言ったのかよ。さっきアヴェルチを倒した時にまたレベルが上がってな。なんと物理感知が可能になった」
クリス
「………魔法じゃないんですか」
俺
「文句あっかコラ!?」
ディック
「う、うぅ、う、」
俺
『前を向いて進むか、後ろを向いてやり直すか! どっちだ!?』
ディック
「俺は、俺は、」
ガサッ
俺
「………」スヤスヤ
コンコン
俺
「ん、誰よこんな時間にさぁ、」
ガチャ
クリス
「勇者さん、」
俺
「なんだクリスか、」バタッ
クリス
「なんだじゃないですよ! その、えっと、あの、」
俺
「ん? 何、トイレ? 明日にして」
クリス
「なんでピンポイントに当てて放置するんですか!? お願いだから付いてきてくださいよ!」
俺
「夜中に騒ぐな。わかったから早く済ましてよ、」
クリス
「ゆ、勇者さん、」
俺
『………』
クリス
「ちゃんと、そこにいるんですよね?」
俺
『………』
クリス
「ねぇ、勇者さん………!」
俺
『………』
クリス
「うぅ、勇者さん、」
俺
『………』スヤスヤ
クリス
「………寝ないで下さいよ、もう、」
ガチャ
クリス
「はぁ、もう勇者さ───」
ディック
「あ」
クリス
「え」
ディック
「………」
クリス
「………」
ディック
「じゃあ、お邪魔しました」
クリス
「敵襲ーーーッ!!!」
俺
「まぁ、あと一歩だったのにね。今回は惜しかったと観念しろ」
クリス
「ナイフに弓矢、それに針、全部暗殺用の道具ですよ」
俺
「これは爆弾か? いや、煙玉だな。なんで今までこれやらなかったのさ? 今朝やられてたら絶対危なかったよ?」
クリス
「リザードマンは基本前線に出て戦うものです。隠密行動なんて人や悪魔のやることですからね」
俺
「つまり自分達以外の流儀を認められないからあぁなったと」
ディック
「………俺は、俺のやり方でお前に挑みたかっただけだ。
俺は皆みたいにただ闇雲に突っ込むのが苦手でさ、隠れて過ごすのが一番しっくりくるんだ。弓矢や毒の作り方も覚えたのに、全然使わせてもらえなくて、」
俺
「それで、俺の言葉を切欠に暗殺でやり直しに来たと」
ディック
「そう言うことだ。結局、隠密行動にも向いてなかったけどな」
俺
「そうか。じゃあ、捕まったお前は何をされようが覚悟はできてるだろうな?」スチャ
クリス
「え、勇者さん………?」
ディック
「好きにしてくれ。覚悟はできてる」
クリス
「そんな、勇者さん」
俺
「んじゃ、サクッといくか」
クリス
「や、やめて!」
ザクッ、バラッ
ディック
「………?」
クリス
「え、」
俺
「ったく、折角倒しても経験値が手な入らないとか、どんだけ雑魚なんだよ」
クリス
「縄を………?」
俺
「俺は寝る。おやすー」ガチャ
ディック
「俺、生きてるのか?」
クリス
「勇者さん、」
俺
「で、結局亡霊になったお前は旅に出ると」
ディック
「あぁ、俺はあんたに殺された。だから居場所なんてものは無い」
俺
「ったく、殺しても化けて出るとか厄介にも程があるだろ」
ディック
「生憎と、殺した相手が生易しい奴でな。根強く化けてやった」
クリス
「でも良かったです。ディック、お元気で」
ディック
「お嬢さんもな。ところで勇者、あんた名前は?」
クリス
「………そう言えば勇者さん名前はッ!?」
ディック
「なんでお前が知らないんだよ!?」
クリス
「だって皆が勇者様とかお兄さんしか呼ばないから!」
俺
「お前らなぁ、まぁ言わなかった俺にも非はある。今のうちに名乗っておくか」
俺
「俺の名前は長門 賢治。現役の勇者見習いだ」