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第五話 レアモンスター


 レアモンスターとは、ごく稀にスポーンするモンスターだ。


 倒すと必ず素材をドロップし、その素材は武具の素材として高く売れる。


 ただ、恐ろしく強い。

 一説には、フロアボスよりも強いと言われている。


 金色に輝くスケルトンは、間違いなくレアモンスターだった。


 俺とよっしーは視線を交わす。

 どうやらよっしーはやる気のようだ。


 あのバカ。何も学んでないじゃないか。

 新しい装備に浮かれているのか?


 俺はよっしーを手で制すと、スライムナイフを取り出した。


 真正面から戦うなんてそんな危険なことするわけないじゃないか。

 スライムナイフで瞬殺してやる。


 どうやらスケルトンはこちらに気づいていないので、狙いを定めやすい。


 スケルトンの頭部に狙いを定め、全力で投擲した。


 時速百キロほどで飛んでいくスライムナイフ。

 スケルトンの頭部へと飛んでいき、そして……



 弾かれた。



 なんて硬い頭してやがる!

 石頭なんてもんじゃねーぞ!


 スケルトンの頭は大概硬いが、コイツの異常だ。

 スケルトンがこちらに気づく。


 まずい。


 『瞬速』が発動したので、全力で右へ左へと翻弄する。


 こうなったらよっしーに託すしかない。

 よっしーは忍足でスケルトンの後ろへ近づいた。


 射程圏内。

 背後からよっしーが居合い切りでスケルトンを右から左へと一閃する。

 


 カキーン



 よっしーの刀はスケルトンの手で受け止められていた。

 恐らくよっしーの殺気にいち早く反応し、対応したのだろう。


 よっしーが刀を離してバックステップする。

 刹那、よっしーが元いた位置に槍が突き出される。


 危ない。

 もし刀を離していなかったら今頃串刺しになっていただろう。


 だが、スケルトンの注意がよっしーに向いている今がチャンスだ。


 先程のスケルトン戦と同じく腰からゴブリンスイングを取り出し、スケルトンの頭を思い切りフルスイングする。


 ガン!


 後頭部を思い切り叩かれたスケルトンは前のめりになる。

 だが、それだけだ。


 今までのモンスターは頭部が吹き飛んでいたが、コイツは吹き飛ばなかった。

 頭部の硬さが異常すぎる。


 俺を脅威と判断したスケルトンは、ゆっくりとこちらを振り返る。

 こうなったらよっしーに任せるしかない。



 「よっしー! 俺がコイツを引きつけるから、後ろからコイツの首を切れ!」



 「了解!十秒ほど耐えててくれ!」



 よっしーが刀を拾い、斬るまでの十秒間、俺はコイツの注意を引きつけなければならない。


 オークガードを前に構え、スケルトンの槍を受ける体勢になる。

 

 スケルトンが槍を突き出してきた!


 すかさずオークガードで受け流す。


 お、重い!

 受け流しは成功したのにもかかわらず、攻撃の衝撃が右腕に強く響いたぞ!

 なんて馬鹿力してんだコイツ!


 スケルトンは槍を構え直す。

 よっしーは刀を拾い、居合い斬りの体勢になったところだ。


 後一回は受けなければならない。

 衝撃でじーんとしている右手を構え直す。


 直後、音速の槍先が俺に向かってくる。

 

 ドンッ!


 オークガードで受け流しは成功したものの、あまりの衝撃に上体がのけぞってしまう。

 あまりに無防備な腹部をスケルトンに晒す。

 

 スケルトンが槍を構え直す。


 まずい!刺される!


 スケルトンが槍を突き出す直前、よっしーの居合い斬りがスケルトンの首を捉える。


 一閃。スケルトンの首が地に落ちる。


 勝った……

 レアドロップ武具がなければ負けていた。


 どうやらよっしーも疲れたらしく、地面に座り込んでいた。

 昨日の今日でなに命さらしてんだ、俺。


 とりあえずレアモンスターを倒したので、素材を拾いに行こう。


 そう思い、スケルトンの死体へ近づく。


 おかしい。

 いつまで経っても光の粒となって消えない。



 カタカタカタ……



 頭部のなくなったスケルトンの体が振動する。

 一秒後、スケルトンの体が立つ。


 倒せていなかった!

 じゃあどう倒すんだよコイツ!


 よっしーも慌てて刀を構え直す。


 スケルトンは槍を構え、俺たちのいないところへと突き出す。


 槍が空を切ると、再び構え直し別の所へと突き出す。


 だがそこにも俺たちはいない。


 なんだ? なにをしている?



 「タカシ! コイツ頭部がなくなって目が見えてないみたいだ! 今のうちに頭部を叩き潰せ!」



 よっしーが叫ぶ。


 なるほど。

 目が見えていなかったのか。


 すかさず俺は地面に転がっている頭部へと向かい、ゴブリンスイングで叩き潰そうとする。



 ガンッ!



 頭部にヒビが入ったが、まだ倒せない。

 もう一度振りかぶって、叩きつける。


 すると、頭部のヒビが広がった。

 どうやら体の方は痛がって暴れているようだ。


 こっちにくるとトドメをさせなくなる。


 もう一度両手で大きく振りかぶって、全力で叩きつける。



 パキンッ



 頭部が粉々になり、その瞬間スケルトンの体の動きが止まった。

 なんとか頭部を破壊することができた。


 体と頭部が光の粒となって消えていく。


 やっと倒せたようだ。


 よっしーの方を見ると、肩で息をしている。

 暴れていた体が俺の方へ来ないように、必死に相手をしてくれていたらしい。


 

 「やったな。ギリギリだったけど」



 よっしーの方へ近づいていき、ハイタッチする。

 疲れているようだが、怪我はないようだ。


 レアモンスター相手に怪我なく勝利するのは凄いのではないだろうか。


 まだ体力に余裕のある俺は、スケルトンが倒れたところへ素材を拾いにいく。


 そこには金色に輝く骨と、



 金色(こんじき)に輝く槍が落ちていた。


 



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