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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第5章 青年期 勇者編
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第84話 引渡し

すみません、大分更新が遅くなりました。

「さて、説明を受けようか」


 俺の目の前には国王であるエド――エドワールド・フォン・ドートミールが座っている。

 その隣には第1王子であるイルゾ――イルゾネルガ・フォン・ドートミールも座っている。

 俺はその2人の対面に座っている次第だ。


 どうしてこんな状況になってるのかというと、昨日俺がパーティー会場から騎士団長を拉致したからだ。

 あの後無事調教は済んだのだが、何も報告しないのは悪いと思い、念話で直接アポを取ったのだ。

 その結果俺は登城し、こうして説明をする運びになったわけだ。


「騎士団長が俺を殺そうとした。それも私怨でだ。だからとっつかまえてちょっとしつけた訳だ。以上。質問は?」


「簡潔すぎるわッ! 一体どっから質問すればいいのやら」


 俺の説明に納得がいかないのか、エドがくわっとした表情で吠える。


「なんかすまん」


「とりあえず、そうだな。殺されそうになったってのはなんのことだ?」


「この前言っただろ。スタンピードの時に言ったやつだ」


 この前言ったやつというのは、スタンピードのことをエドに説明したときのことだ。

 その時、あのフールドゥム・フィーシーズのことも話したのだ。


「それと騎士団長がなんの関係があるんだ?」


「あいつが俺を殺すようにし向けた。この城の宝物庫から盗んでな」


「……それが事実だとしたら大問題だ。証拠はあるのか?」


「ない」


 証拠があるかないかと言われればない。

 すべて俺のスキルのよって得られたものだから証明のしようがない。


「こちらとしてはその説明で、はいそうですかってうなずく訳にはいけない。分かるだろう」


 そりゃそうだろう。1国の長としてこれは看過出来る問題ではない。

 だが俺としてもどうしようもないのも事実。


「そう言われてもな。スキルで知ったことだから証明のしようがないぞ」


「ならこちらとしても君に騎士団長の引き渡しを要求せざるを得ないが」


 エドの目線がいっそう強くなる。

 イルゾも厳しい顔をしている。


 さて、どうするか。

 別にここで強情になるのは簡単だ。俺にはその力がある。

 だからといってそんなことを本気でやろうもんなら、俺は完全に犯罪者扱いになってもおかしくはないだろう。

 それにだが、別に強情になる必要はない。


「いいぞ、別に」


「――え?」


 俺の言葉に事情を分かっていないイルゾだけが驚いた声を上げた。

 やはり表情からしてエドは理解してるようだ。


「ハハハ、分からないか? イルゾ」


「え、え、どういうことですか?」


 エドは大笑いするが、イルゾは分からずに訝しげな顔をする。


「説明しようか。イルゾ、俺はここに来て最初になんて言った?」


「最初? えっと……」


 イルゾは記憶を探ってるようだが、いまいち思い出せないようだ。

 そりゃそうだ。一語一句言ったことを覚えられる訳がない。

 ――俺以外はな。


「俺はこう言ったんだ。『騎士団長は俺を殺そうとした。それも私怨でだ。だからとっつかまえてちょっとしつけた(・・・・)訳だ。以上。質問は?』とな」


「それがなんの関係が?」


「俺は騎士団長をちょっとしつけたんだぞ? つまり騎士団長は俺の言うことをなんでも聞く状態なわけだ」


「しつけた……。ん?」


 まだイルゾは首を傾げている。

 

「分からないか? しつけたまま俺は騎士団長をエドに引き渡すんだぞ? 引き渡したらなにするんだ?」 


「あ! なるほど……」


「分かったか」


 イルゾは納得した顔で手を叩く。

 さすがにここまで言えば分かったようだ。

 

 ここまで言えば大抵の人は理解できる。

 俺の言うこと聞く騎士団長が引き渡されることによって、騎士団長が俺の指示通りに自白する訳だ。

 そうすればその騎士団長の発言が証拠となり、騎士団長はお縄となり、騎士団長の立場はおろか、騎士の称号すら剥奪されることとなる。 

 そして平民となり、俺の手足が完成するというわけだ。


 もちろん例え犯罪を犯したとはいえ、俺が勝手に言うことをきかせてるというのは普通にアウトだ。

 奴隷が存在する世界ではあるが、奴隷には制約があり、普通の人を奴隷にしたらそりゃ犯罪だ。


 だが諸君。

 この世にはすばらしい言葉がある。


 ――バレなきゃ合法。


 でもよく考えてほしい。

 死罪にならないだけましだと俺は思う。


「そういうことだ。まだまだ若いな、イルゾ」


 エドはそう言って愉快そうに笑う。


「分かりませんよ、そんなこと。てっきり騎士団長の引き渡しを渋るものかと」


「俺がそんなことするとでも思ってんのか?」


「いやウィンの性格からそうかなと思っただけだよ」


「失礼な奴だ」  


 まぁ日頃の行いからしてみればそう思われるのは仕方がないような気がするが。

 俺の目的は復讐であり、その他のことがどうでも良いっちゃどうでもいい。

 どうせ第2の人生だ。好き勝手やりたいものだ。

 だが俺だって大人だ。多少の分別はある。


 こうしてエドとの話し合いは終わり、騎士団長の引き渡しは終了した。

 1週間後には結果が出るらしい。


 さて、用事も終わったし寮に帰りますか。

 いや、その前に――。


「おーい、ウィン!」


「おう、エザル」


 城から寮に転移しようとしたら、遠くからエザルに声をかけられた。

再三言いますが、私は別に犯罪行為を肯定するつもりはありませんので悪しからずご容赦ください。

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