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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第5章 青年期 勇者編
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第83話 騎士団長

「決まったか?」


「うん。なんとか」「はいっ」


 しばらく待っていると、レジュとジュリはスキルを決め終わった。


「それじゃあ始めるか、ルイヤス」


 2人がスキルを選び終わったから訓練を始めようと思い、俺はじいさんの名前を呼ぶ。


「わしの出番か」


「「よろしくお願いします」」


 ルイヤスの訓練は苛烈を極めた。

 

 どちらも“戦闘王”があるため身体能力を上げる訓練は必要ない。

 だからひたすら仙法の型を練習し、俺の生み出した魔物と戦ったり、ルイヤスとの組み手などをした。

 俺は慣れたもんだが、2人にはきつかったようで、2時間ほどでへばってしまった。


「おいおい、こんくらいでへばるなよ」


「ハァハァハァ……き、きつい……よ……。ハァハァハァ」


「ハァハァ……これくらい……って……ハァハァハァ……ウィン様……おかしいです……ハァハァハァ」


 レジュのジュリも息絶え絶えの状態で地面に横になっている。

 汗ばんだレジュが妙にエロいが気にしないようにする。


 それにしてもさすがにキツいか?


「……今日はこれくらいにしようかのう。今日の訓練は終わりじゃ」


「そうだな」


 ルイヤスの言葉に同意する。さすがに今日はもう終わりにした方がいいだろう。


 2人を肩に担ぎ上げる。

 レジュとジュリの部屋に一瞬で転移し、部屋に2人を置いていく。

 

 2人が飯を食べに部屋を出るのを見届けると、俺は再び転移魔法を使い、ルイヤスの所に戻る。


「さて、始めるかのう」


「おうよ」


 これからはさっきの甘い訓練とは違う。

 文字通り――ガチでやる。









 ◇◇











「づがれだ〜」


 ルームメイトのエザルがいない部屋で独り呟く。


 誰もいないというのは案外寂しいもんだな。

 ――暇だ。レジュは疲れ切ってるからレジュに会いに行く選択支はない。

 

 時刻は20時。寝るのにはまだ早い。

 仕方ない。後回しにしてたあれをやるか。


 そう思い立った俺は転移魔法を使い、ある場所へ転移する。


「うおっ! え? だ、誰だ!?」


「きゃっ! え、え……?」


「と、突然……。ぼ、冒険者?」


 俺が転移した先では、30人程度の人たちがパーティーをしていた。

 いわゆる貴族の社交界のようなものである。


 どいつもこいつもごてごての衣装を着込み、派手な装飾品を身につけている。

 冒険者のような風貌の俺とは大違いだ。

 突然現れた俺に驚いたのか、ほぼ全員が俺に目線を向けている。


「え、衛兵! 侵入者だぞ!」


「で、出会え出会え!」


 やっと俺が侵入者だと認識できたのか、衛兵を呼んで俺に迫ってきた。


 だが俺はこんな有象無象の貴族どもに用はない。

 俺に槍を向けてくる衛兵を息だけで吹き飛ばしながら歩き、俺の目的の男の目の前にいく。


「よう。元気にしてるか、騎士団長さんよ」


「き、貴様……。どうやってここに」


 前に着ていた鎧ではなく、背広を着込んだ騎士団長がそこにいた。

 大量の冷や汗をかきながら、焦ったような表情を俺に向けている。

 大きなガタイをふるわせながら、俺から後ずさっている。


 俺は一瞬で騎士団長の目の前に移動し、その顎を軽くなでて気絶させる。

 周囲からどよめき声が上がるが気にしない。


 さて、さっさとここから転移するか。


「き、貴様何者だ!」


 ――と思ったが、その言葉で踏みとどまる。

 これはチャンスだな。これを機に言ってしまおう。


「俺はウィンバルド・スフィンドールだ。知ってんだろ?」


 俺は名前を訊いてきた細身の貴族にそう返す。


「あ、ああ」


「ちょっとこいつに用があってな。ああ、大丈夫だ。すぐ出てくから」


「……騎士団長殿をどうするつもりだ」


「別にあんたには関係ねぇよ。それにどうせ調べるんだろ? いつも(・・・)みたいに」


「――っ!」


 逆に気づかないとでも思ったのかね。


 国王によって俺に危害を加えることは許されていない。

 だが俺を調べることは禁じられてない。

 だからこの貴族のように俺の周りを嗅ぎまわってるやつは多い。


 別に危害を加えてくるわけじゃないから反撃はしないが、それでも不快なんだよ。


「あんたも、あんたも、あんたも――」


 俺は順々に貴族たちを指をさす。


「俺に気づかれてないとでも思ったか? 不快なんだよ、てめぇら。次やったら殺すぞ」


 俺はそう言いながら軽く殺気を放つ。

 全員の顔が真っ青に染まり、へたりこむ貴族もいる。


 よし、言ってやったぞ。これで虫にたかられてるような不快感に悩まされることはなくなるだろう。

 ――戻るか。


「んじゃな」


 そう言って俺は転移魔法を使って俺の部屋へ戻る。

 

 さて、この騎士団長だが、あのフールドゥム・フィーシーズにルイヤスが封印された剣を渡し、俺を殺そうとした張本人だ。


 それにだまされたフールドゥムも大概だが、こいつはさらに馬鹿だ。

 王国を破滅に追い込むかもしれないスタンピードを引き起こしたんだからな。

 王国を守る騎士団のトップである騎士団長失格だ。


 さらにあのルイヤスが封印されていた剣は、もともとは王城の宝物庫にあったものだ。それをこいつは勝手に持ち出したのだ。

 普通に盗みだ。情状酌量の余地はない。


 だからといって優しい俺だ。

 殺しはしない。

 なぜなら仮にも王国の騎士団長だ。そんなことしたら国王であるエドの怒られてしまう。


 殺しはしないさ。ええ。殺しはな。


「へへへへ。覚悟しろよ」



 ――あれ? 俺完全に悪役じゃね……。

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