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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第5章 青年期 勇者編
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第80話 討伐証明

「こ、これ全部をあなたが?」


「ええ、厳密には6人で、ですが」


 さっきまで狩っていたスライムとプレーリーウルフ、プレーリーウルフの討伐の証明を、あのバームクーヘン型の魔道具で判断すべく、こうやって王都の冒険者ギルドに来ていた。

 結果はスライム32体、プレーリーウルフ34体、プレーリーウルフキング1体を討伐となった。普通ならこの量はあり得ない。

 

 おかげで受け付けのお姉さんが驚きで固まってしまった。

 

「……そ、そうですか。……これだからSランク冒険者は」


 俺に聞こえないようにぼそっと言ったつもりなのだろうが、あいにく俺は聞こえてしまった。

 心労を増やして申し訳ないが、こればっかりは仕方がない。



 みんなが待っているところに戻ると、冒険者ギルドに来るのが初めてなのか、レジュがあたりをきょろきょろしていた。

 そのレジュは俺が帰って来るのを見ると、ぱあと表情を明るくして、


「あ、ウィン、どうだった?」


 と訊いてきた。


 ――可愛い。

 その他3人がいなければ俺は何するかわからない。

 ここは鉄の理性で我慢しなければ。


 討伐数をレジュ、テスタ、ジュリ、ルイヤス、ガンツに教える。


 ルイヤスとテスタとガンツ以外は卒倒するんじゃないかってくらい驚いていた。

 ――自分たちで討伐しといて何を驚いてるんだか。


 冒険者ギルドの用を終え、学校への道のりを歩く。



 冒険者ギルドで討伐証明をした理由は、実習での討伐数をギルド専用の魔道具でしか測れないからだ。

 基本的に他のグループは引率の冒険者が付くだめ、その人がこの討伐証明をしてくれる。パーティーならばみんなに討伐数が加算されるからだ。


 だが、俺らのグループには引率の冒険者はいない。

 だから俺がするしかなかったのだ。


「ウィーン! 置いてくよー!」


「はいはい」


 ま、レジュが同じグループなだけでもよしとしよう。







 ◇◇








「そういえばエザルくんって今日なにしてるの?」


 学校への道のりを歩いていると、そうレジュが切り出してきた。


 そう、今日はエザルは王宮での緊急の公務があ

るとかいって実習を休んだのだ。

 その公務の内容は俺も訊いてない。


 だが――。


「帝国から勇者が来るんだってさ。勇者を迎えるのがエザルなんだと」


 もちろん俺は知っている。

 “知覚者”を使えば余裕だ。


「あ、そう言えば勇者が召還されたんでしたっけ?」


 テスタが納得したように頷く。


「でもなんでその勇者が王国に来るの?」


「さらに訓練の質を上げるためだ。教育力に関しては圧倒的に王国が上だからな」


 国力が圧倒的な帝国と戦争しても互角に戦えた理由がこれだ。

 教育力が高いドートミール王国は、とにかく兵士の質を重視している。

 それに加えて、戦術についても研究が進められているため、兵数では敵わないまでも何回も勝利をもぎっとっている。


 現在は停戦中のため、こうやって勇者が王国に来てもおかしくはない。


「いかにも父う――皇帝が考えそうなことですね」


 おいテスタ。ぼろを出すんじゃない。

 隠すなら最後まで隠し通せよ。


「あれ? テスタくんなんで知ってるの?」


「あ、言ってませんでした? 僕帝国出身なので知ってるんですよ」


「ふーん」


 少し天然が入ってるレジュはそれで納得する。

 だが、当然のことながらジュリは訝しげな顔をしている。

 訝しげには思っていても、深くは訊かないようだ。


「へぇー、でも勇者が来るんだ。確か異世界から来るんだよね?」


「そうだな。まぁろくな奴らじゃない」


 “知覚者”で勇者の様子を探っているからある程度のことは分かっている。

 くそみたいな理由でクラスメイトのひとりを追放したり、性格が終わっていたりとまぁひどい。

 はっきり言って王国には来て欲しくない。


「え、なんで?」


「まぁそれはいずれ分かるさ。カリ高に入学するんだし」


「「「え?」」」


 俺が言った瞬間、テスタ、レジュ、ジュリの声が重なった。


 そこで俺はみんなにそれを言ってなかったことを思い出した。

 

「……そういえば言ってなかったか」


「ていうかそれ言っていいんですか?」


 そうテスタが訊いてくる。


「だめってこともないが。あまり人に言わない方がいいな」


 そもそも王国に来ることも普通知らないことだ。

 王国に来るならまだしも、カリ高に入学するのは皆驚きだったようだ。


「わ、分かった。言わないようにするよ」


 レジュがこぶしを握ってふんすーと息巻いている。


 その可愛さの当てられて、ついレジュの頭を撫でてしまう。


「ふわぁあっ。ちょ、ウィン……」


「あ、すまん。つい」


「あのーふたりとも私たちがいることを忘れてません?」


 そう言ってジュリが半目で睨んでくる。


 すまんよ皆。

 俺の鉄の理性は保たなかったようだ。

次は金曜日に更新予定です。

あれ、更新速度が……。

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