第8話 洞窟脱出
瞬間声を失った。
父さんと母さんが……。
"知覚者"のおかげで両親が亡くなったことを知った。
最後に感謝の言葉を伝えたかった。
切り替えよう。悲しんでいても仕方ない。父さんと母さんは俺が生きることを望んだのだからなんとしても生きなければ。
あの方の正体は掴んでいる。スキルのおかげでな。
落とし前はつけさせてもらうぜ。
必ず見つけだして後悔させてやるからな。
ここを出たら復讐してやる。
そうと分かれば急ぐぞ。1年もかからずに出てやるぜ。
あれから8ヶ月がたった。
もうすぐ出口だ。
やっと出られる。
ちなみに俺は食料をスキルで解決していた。
オーフンスキル"魔物召喚"を使い魔物を召喚し、それを殺して食べていた。
そして野菜は、オーフンスキル"植物"を使い、野菜を体から生やして食べていた。
この2つのスキルは本来戦闘用であることを忘れないで欲しい。
なのでどちらも"戦闘王"によって得たスキルだ。
あそこが出口か。
日の光が見える。
洞窟の外へいざ行かん!
しかし外に出てみるとそこは海だった。
なんとこの洞窟は洞窟ごと島なのだ。
まぁスキルのおかげで知ってたけどね。
なので全く焦っていない。
空中に結界で足場を作りその上に乗る。
ふはは、無様に落ちると思ったか。
よしこれで転移魔法が使える。
テレポートだ。
テレポートするとそこは草原だった。
ヒュドラに襲われた場所に転移したが、既にヒュドラはS級冒険者によって倒され、土魔法によって綺麗に元に戻されたのだ。
ここで手を合わせ黙祷する。
よし! 懐かしの町へ帰るか。
転移魔法は普通はない魔法のため、歩いて町にはいる。
そこそこ大きい町のため、門の前てなかなかに人が並んでいる。
商人がほとんどのため、一般人のコーナーから入る。
すぐに順番は来た。
「ガキが1人か。身分証を」
身分証がなければ入れないため、身分証を門番の兵士に渡す。
「おい、小僧! スフィンドールってことはお前ゴランの息子か!?」
「う、うん。そうだけど。父さんを知ってるの?」
「知ってるも何もゴランは俺は同期だからな。しっかしゴランは、前にあったヒュドラ出現に巻き込まれて家族全員亡くなったって聞いたんだがな」
「いや、俺だけ転移魔法にあって今戻ってきたところなんだ。」
「転移魔法だって! 実在してたのかよ。にしてもお前ガキのくせによく帰ってこれたな」
「いやぁー運が良かったんだ」
「そうかぁ? まぁいいが。確かゴランの家は家主が死亡したってことで……あぁすまんさっきから無神経だったな。気を使えなくて悪いな」
「いや、もう切り替えた」
「そうか。はやいな」
「うん……。それで家はどうなったの?」
「あぁ、家は売られて今別の人が住んでるよ。売った金は持ち主の財産になるんだが、持ち主のスフィンドール夫婦は死亡確認されていて、遺体がないお前は死亡確認ができなくて、遺産が全部お前のものになってるぞ」
「まじで!」
「あぁまじだ。今はギルドにある。持ち主が1年以上現れないとギルドの所有になっちまうんだがまだ半年ちょっとぐらいだしな。まだ間に合うだろ」
「良かった。1文無しは免れた」
「ブハハハハ、そりゃよかったな」
「うん、ありがとうおじさん」
「は! まだおじさんの歳じゃねーよ」
「お兄さん。じゃーまた!」
「おう! 強く生きろよ少年!」
「あぁ」
そう言って町に入る。
なかなか景色は変わってないな。
まずは元いた家を目指してみる。
あった。
西洋風の家だ。
しかし中には別の家族が住んでいる。
悲しいもんだ。
驚きなのが隣の家が無くなっていたことだ。
まぁスキルで知ってはいたがな。
レジュは王都に引っ越したみたいだ。
幸せに生きられることを祈るとしよう。
よし! ギルドに向かおう。