第75話 勇者たち
長くなりそうだったので、今回はウィンバルド視点はありません。ですので主人公は不在です。
召還されたクラス勇者視点
北大路亮人が出て行った直後、クラスメイトたちは何事もなかったかのように日常を過ごしていた。
それも当然だろう。彼はクラスではぼっちであり、友達はいなかったのだから。
異世界ものの主人公はここで一人くらい心配してくれる人(大体女子)がいるものだが、現実なんて所詮こんなものだ。
亮人が出ていってから1ヶ月、勇者たちは何事もなく、今日も騎士団と宮廷魔導師の指導を元に、着々と実力を付け始めていた。
その中でも隔絶した実力を付け始めたのが5人。
クラスの学級委員、霜ヶ原 星夜。
人気者のイケメン、青葉 誠太郎。
チャラ男筆頭、中田 昌悟。
クラスのアイドル、一条 奈緒。
ギャル系女子、大澤 織。
5人のステータスは以下の通りだ。
---------------
霜ヶ原 星夜
人間
17歳
職業:勇者
HP:737
MP:298
攻撃力:732
俊敏力:796
体力:754
魔攻撃:241
防御力:719
魔耐性:260
魔法:ステータス魔法(初級)、火魔法(中級)、結界魔法(初級)
オールウェイズスキル:"加護"
ユージュアリースキル:"言語理解"
オーフンスキル:“身体強化”“縮地”
サムタイムズスキル:"急成長"
ネバースキル:"切断者"
---------------
---------------
青葉 誠太郎
人間
17歳
職業:勇者
HP:596
MP:309
攻撃力:595
俊敏力:512
体力:513
魔攻撃:267
防御力:545
魔耐性:260
魔法:ステータス魔法(中級)、火魔法(最上級)、風魔法(最上級)
オールウェイズスキル:"加護"
ユージュアリースキル:"言語理解"
オーフンスキル:"身体強化"“硬化”
サムタイムズスキル:“剛腕”
ネバースキル:“蓄積者”
---------------
---------------
中田 昌悟
人間
17歳
職業:勇者
HP:580
MP:423
攻撃力:501
俊敏力:606
体力:469
魔攻撃:412
防御力:533
魔耐性:410
魔法:ステータス魔法(中級)、火魔法(中級)、結界魔法(中級)、土魔法(初級)、風魔法(中級)、治癒魔法(初級)
オールウェイズスキル:"加護"
ユージュアリースキル:"言語理解"
オーフンスキル:"身体強化"“俊敏”
サムタイムズスキル:“気配探知”
ネバースキル:"暗殺者"
---------------
---------------
一条 奈緒
人間
16歳
職業:勇者
HP:158
MP:851
攻撃力:152
俊敏力:150
体力:159
魔攻撃:849
防御力:151
魔耐性:822
魔法:ステータス魔法(中級)、火魔法(上級)、結界魔法(上級)、水魔法(上級)、土魔法(上級)、神聖魔法(上級)、風魔法(上級)、治癒魔法(上級)
オールウェイズスキル:"加護"
ユージュアリースキル:"言語理解"
オーフンスキル:"無詠唱"“解毒”
サムタイムズスキル:"魔増大"
ネバースキル:"治癒者"
---------------
ーーーーーーーーーーーーーーー
大澤 織
人間
17歳
職業:勇者
HP:207
MP:896
攻撃力:199
俊敏力:180
体力:195
魔攻撃:894
防御力:193
魔耐性:888
魔法:ステータス魔法(中級)、火魔法(上級)、結界魔法(上級)、水魔法(中級)、土魔法(上級)、雷魔法(上級)、風魔法(上級)、治癒魔法(中級)、氷魔法(中級)、召喚魔法(初級)
オールウェイズスキル:“加護”
ユージュアリースキル:“言語理解”
オーフンスキル:“支援”
サムタイムズスキル:“魔増大”
ネバースキル:“魔攻者”
ーーーーーーーーーーーーーーー
スキルの中にウィンバルドが持っていなかったスキルを多く持つのは、独自のスキルであるということだ。
もちろんどれも強力なものだ。
この5人は、最初の鑑定からそのスキルの有用性を見込まれ、邪神と直接戦うグループに入っていた。
5人は今、他のクラスメイトが観戦している中、5人の騎士団と宮廷魔導師でできたパーティーと戦っていた。
霜ヶ原、青葉、中田の男子は主に剣を使い騎士団と、一条と大澤の女子は主に魔法を使い、宮廷魔導師筆頭――スルートンともう一人の宮廷魔導師と戦っている。
その光景はまさに激闘。
霜ヶ原はこの5人の中でも実力が高く、今は騎士団長と剣を交えている。
霜ヶ原が持つネバースキル“切断者”は、騎士の鎧を容易に切り裂き、鍔迫り合いさえ許さない。
その霜ヶ原を軽くあしらいながら戦っている騎士団長はさすがの一言につきる。
他の男子は、騎士と互角に戦っている。
女子は魔力量が圧倒的だが、技量ではまだ宮廷魔導師には及ばないようだ。
「青の空より天へと至る。天は空から地へと至る。我より至る力の根源よ。偉大なる業火をもたらさん! ハイパーフレイム!」
「ちょっ! え!?」
この膠着状態を嫌ったのか、唐突に大澤が上級魔法を放つ。
上級魔法は最上級魔法のような地形を変えるほどの威力はないが、普通の人間を軽々殺せる威力はある。
それをここで打つのは仲間諸共殺すことになりかねない。
いや、観戦しているクラスメイトにまで被害が及ぶだろう。
戦況を打開するのに必死な大澤は、それに気づくことができなかった。
まさかそんなことをするとは思わなかった一条は、驚きの声を上げ、動きが止まってしまう。
「物を通さぬは天が道理。天が通さぬはこれが必然。我より至る力の根源よ。偉大なる防御をもたらさんッ! ハイパーシールド!」
さすがは宮廷魔導師筆頭。スルートンは大澤の詠唱を聞いた途端、一瞬で上級魔法だと見抜き、上級結界魔法の詠唱を開始。
大澤を越える詠唱スピードで、大澤の魔法が発動する直前で、すべての人に結界を張る。
――瞬間、耳をつんざくような轟音とともに、高温の炎が吹き荒れる。
その火が収まり、煙が散り視界が晴れてくる。
そうすると、焼け焦げた地面、声もでないクラスメイト、肩で息をする大澤がよく見えてくる。
沈黙は一瞬――。
「――ちょっとオオサワ殿! 一体何をするのですか!? 一歩間違えば誰かが亡くなってたかもしれないのですよ!」
スルートンはそう言って大澤に詰め寄る。
だが、大澤に反省の色はなく、
「はぁ? 別に仕方なくない。あーし悪くないし」
言い訳どころか、そう自分の過失を認めなかった。
「仕方なくありません! こんなに人がいるなかで上級魔法を放つなど正気ですか!?」
「うるさいなー。だから仕方なかったって言ってんじゃん!」
スルートンが食い下がると、大澤はついに逆ギレを始める。
「たとえ仕方なかったとしても、もうそんなことはしないでくださいね!」
「はあ? なんであんたにそんなこと言われなきゃなんないわけ?」
「それはあなたが――「まあまあどっちも落ち着いて」」
全く反省しようともしない大澤をさらに叱ろうとしたスルートンを、青葉が止めに入る。
「アオバ殿……」
青葉の言葉で、スルートンは仕方なく引き下がる。
「誠太郎君……」
一方、大澤は顔を赤くし、スルートンと言い争いをしていた声ではなく、猫なで声をだす。
それを見た一同は皆こう思った。
――いや、誰だよ……と。
そして、この場面にはおかしいところがいくつもある。
まず、学級委員であるはずの霜ヶ原は、この件に関わるまいと剣を振っている。
おそらく気の強い大澤が怖いのだろう。
はたして学級委員という立場であるのにそれでいいのだろうか。
霜ヶ原が先の件で亮人を引き留めたのは、ひとえに正義感からだ。
しかし、彼は正義感があっても、恐怖があるととっさに保身に走る癖があった。
次に一条だ。
彼女は自分のパートナーとなる大澤が重大なミスをしたのに、それを何とも思ってなかった。
今現在、この言い争いに興味を示すこともなく、ただ食事のことだけを考えていた。
要するに、ただのド天然なのだ。
次は中田だ。
彼はチャラいだけじゃなく、性格もひどかった。
この状況をおもしろがっており、もっとひどくなれとさえ思っていた。
思いやりの心がこれっぽっちもなく、陰で人に暴行を加えることもある問題児でもあった。
最後に青葉だ。
彼はいかにも好青年で、言い奴っぽいが、本性はゲスだった。
その本性は傲慢不遜。成功しかしたことがなく、挫折をしらない。
この言い争いを納めたのも、クラスメイトの印象をよくするためだ。
重度の女好きで、いつもを侍らせ、女を自分の性欲のはけ口にしか思っていなく、飽きた女は容赦なく捨てるくそ野郎だった。
この5人は実力が高いが、その分クラスでもっとも性格がひどい輩でもあった。
なぜこの5人が一番実力があるのか。
世の中は不思議なものである。
詠唱を考えるのが難しいです。中二病にでもなりそうになります。
次は明後日か明明後日に更新します。




