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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第5章 青年期 勇者編
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第73話 覚悟

投稿予定日を変更して今日投稿しました。

今回は長いです。

「お前、そりゃ何の冗談だ?」


 4人組の1人に僕はそう尋ねられる。

 他の3人は笑ったまま先に行ってしまった。


「え、いや至って真面目に言ってるつもりなんですが……」


 そう僕は至って真面目だ。

 冗談など言ってない。


 まさか僕が若く見えすぎるとか?

 この国の人間じゃなければ冒険者になれないとか?

 ラノベではないなにか決まりがあるのかもしれない。


「いやお前その格好でか?」


 格好?

 僕の格好は学校の制服だ。

 確かにおかしな服装かもしれない。


「えっと、途中で服かなにかを買った方がいいですかね?」


「違う違う、そうじゃない。冒険者になるっていうのに武器の1つも持ってねぇのかってことだ。まさかその服の中にでも短剣かなんか隠し持ってんのか?」


 武器など僕は隠し持っていない。

 ブレザーがあれば隠し持てるだろうが、あいにく今は夏服だ。

 隠し持てる場所はない。


「武器ですか? いえ、持ってませんが。」


「は? おま、それ正気か? 魔法使いでも短剣くらい持ってるんだぜ?」


「あの、そもそも僕は魔法を使えませんが。」


 そう、僕は魔法の指南を受ける前に城を追放されてしまった。

 いずれ使いたいとは思ってはいる。


「おいおいお前素手で戦うつもりか? まさかお前見た目以上に強いのか?」


 そんなことはないと思う。

 生まれてこのかた殴り合いの経験はない。


「いえ、そこまで強くないですが……」


「おいちょっと待て。それで冒険者になるつもりか?そりゃ舐めすぎってもんだぜ……」


「そ、そんなつもりじゃ……」


「じゃあどんなつもりだ。もしかしてだけどお前それ謙遜か? 本当は強いとか」


「いえ、ほんとに強くないです。今まで戦ったことはありません」


 僕がそう言うと、彼は大袈裟に空を仰いだ。

 いや大袈裟では無いかもしれない。


「おいおい、そりゃなんの冗談だ。戦闘もしたことがない? 訓練とかもか?」


「……はい」


「お前正気か?そりゃ冒険者を舐めすぎだぜ。俺らは遊びでやってるわけじゃねぇ。命張ってんだ。戦った経験もねぇ、ましてや訓練もねぇときた。こりゃ冒険者舐めてるとしか言えないぜ。そりゃ戦闘だけが冒険者の仕事じゃないさ。だがな、どんなに簡単な依頼だろうと、最低限自分の身を守れねぇ奴ができると思うなよ。そこら辺、分かってんのか?」


「……」


「俺だって意地悪で言ってるわけじゃねぇぜ。ギルドにはな、いろんな奴が来る。少し訓練してから冒険者になろうとしてギルドに来るやつもいる。そういう奴は運良く生き残って俺らみたいに活動してる奴もいる。だがな、その半分位は死ぬんだ。冒険者は決して楽な仕事じゃねぇ。実力がねぇ奴は魔物に殺されて死ぬんだよ。お前にはその覚悟があるのか?」


 覚悟を問われても僕は答えられない。

 覚悟がないからだ。


「もしその覚悟があるとしても、覚悟だけで生きられるほど甘くねぇ。覚悟があっても実力がなければ死ぬんだ。お前はさっき自分に実力がねぇって言ったよな。ならはっきり言って無理だ。遊びなら帰りな。ガキにはまだ早い」


 ――そうか。僕には覚悟も実力もない。

 こんな奴は冒険者になるべきではないのか。


「……だが一つだけ方法がある」


 項垂れる僕を見かねたのか、そう声をかけてくれる。


「依頼だよ。結構いるんだ。依頼を出して冒険者に鍛えて貰おうっていう輩がな。いいぜ。お前が依頼を出せば俺らが受けてやるよ」


「ほ、ほんとですか!?」


「ああ。まぁお前にその覚悟があればだが……どうだ?」


「正直分かりません。ですが最低限頑張りたいです!」


「はは、下手に覚悟があるって言われるよりはいいな」


 そう言って彼はさわやかに笑った。


「おおーい、お前ら遅せぇよ。置いてくぞ」


 前を歩いていた3人が僕らに声をかける。


「おう、待ってくれ。実はよ――」


 そうして彼ら4人組にそれは共有され、僕が依頼を出して彼らが受けるということが決まったようだ。


「じゃあこれから付き合いは長くなるな。自己紹介でもするか。俺はアニサキンス・クジラリカだ。」


 いつもいじられている人だ。

 尾行した時に僕に剣を向けてきた人だ。


「俺はカーナスルド・ローレンスだ。カーナスでいい」


 この人はさっきまで話していた人だ。

 剣にヒビが入っているらしい。


「ボルホルト・アキレザルトだ。ボルと呼んでくれ。よろしくな」


 この人はとりあえずでかい。でも何故が優しい雰囲気がする人だ。


「マグネザルト・アルフォレンス」


 この人は結構謎だ。ほか3人に混じってはいるが、ほとんど喋らない。


「お前、名前は?」


 そうカーナスさんに尋ねられる。


「北大路 亮人です。亮人って呼んでください」


「よし、アキト。じゃあ行こうぜ!」


 こうして僕ら5人は共にやっていくことになった。



















ーーーーーーーーーーーーーーー


 魔王国の首都、エルゼン。

 その王城の玉座にある人物が座っていた。


 魔王の血筋のみが持つと言われている大きな2本角、魔人特有の浅黒い肌、その身長は4mに迫る勢いだ。


 無論、魔王である。

 魔王は今、家臣からの奇妙な報告を聞いていた。


「邪神教の活動がなくなった?」


「ええ、間違いありません、陛下」


 魔王国では国教は特に決まっていない。

 だが、邪神を信仰することは禁止していた。


 理由は魔族が魔人と同列視されないためだ。

 魔人と魔族は敵対している。そう内外に示すことは大事なことだ。


 よって当然、取り締まりも他国に比べて圧倒的に厳しい。


 魔王の元には、その邪神教の情報が毎日多く寄せられている。

 それがここに来てピタリとやんだのだ。


 魔王はその報告を訝しんだ。


(何故ここに来て奴らは活動を止めた? 壊滅したのか? だとしたら何故だ? 分からない。情報が少なすぎるか。ならば)


 魔王は伊達に情報を集めている訳では無い。

 実はいかに邪神教の情報を集めても、彼らを壊滅させるのはほぼ不可能だからだ。


 なぜなら彼らは狡猾だからだ。

 まず集められる情報が少なく、拠点などの情報などはほぼ皆無だ。

 基本的にどこで何をしたなど、過去の情報しか得られないのだ。その行動に規則性すら見いだせない。


 それなら何故情報を集めるかというと、それは魔王のスキルのおかげだった。

 魔王国の邪神教徒がここまで少ないのは、ひとえに魔王のスキルによってだ。


 そのスキルはサムタイムズスキル“知識”だ。

 あの魔封じの洞窟でウィンバルドが1度得たことがあるスキルだ。

 その効果はグーグ〇のように検索したものに関して知ることができるスキルだ。

 “知覚者”の下位互換といったところだろう。


 だから検索ワードとして最低限の情報が必要なのだ。

 だが少しの情報あればいいということでもある。

 これによって捕まえた邪神教徒は数知れない。


 今回も魔王はそれを使う。


 その結果はまさに予想外のものだった。


(やはりほぼ壊滅したか。あと拠点は1つか。やったやつはウィンバルド・スフィンドール? 知らないな。まぁいいか。問題はそこじゃない)


 魔王が問題とするところはそこではない。

 知ってる人だろうが知らない人だろうが、国総出で行われている邪神教の壊滅をたった1人で、それも人間に成し遂げたということだ。


(我らに怠慢はない。だが、無能扱いされているようだ。くそが)


 魔王にも当然プライドというものがある。

 自分が成し遂げることが出来なかったことが、たった1人の人間によって成し遂げられそうなのが許せなかった。


 もちろん魔王は理性では、これが望むべきことであることは理解している。

 だが感情は違う。


 国のトップに君臨するものが、理性的な判断が出来ない時があるのは、古今東西どこでも同じことだった。


「残りの拠点の場所が分かった。しばらく出てくる」


「え、ちょっ、陛下! まさかおひとりでですか!?」


「そうだ。ついてくるなよ」


 そう言って魔王は己の身体能力にものを言わせて、凄まじい速さで城から出ていってしまった。



















 そこは魔王国の地下にある下水道の奥。そこにアーレウスト教団、もとい邪神教の魔王国支部の1つがあった。


 他の魔王国支部は壊滅。

 その情報を得た邪神教徒たちは、混乱していた。

 司祭にあたる人物はここには居ない。

 全員下っ端の集まりだ。


「どうする!? 逃げるのか?」


「しかし、どこへ逃げるというのだ。他の教団の拠点はもうないのだぞ!」


「一体誰がこんなことを」


「あぁ神よ。哀れな我らをお救い下さい。お早い復活を」


 逃げると主張するもの、戦おうとするもの、諦めるもの、祈るものなど、意見は一向に固まることなくカオスの様相である。


 それは当然だ。

 彼らをまとめる者はもういないのだから。


 そこに他の邪神教を壊滅させた本人であるウィンバルドが出てくる。

 もちろん転移してだ。


「なっ! だ、誰だ!?」


「いきなり現れただと! 何者だ!」


「まさか奴が!」


 邪神教徒たちがウィンバルドを見て騒ぎ立てる。


「やぁやぁこんにちは。そんでもってさようなら」


 直後、圧倒的なまでの圧力がかかる。

 それによってほとんどのものが意識を手放した。


 気絶を免れたのはたった1人だった。


「おやおや、お前なかなか強いんだね」


 彼は強い。ウィンバルドの足元にも及ばないが、教団内では一二を争うほどに強い。


 だが馬鹿だった。

 彼は圧倒的にアホなのだ。


 頭が良くないと司祭になることは出来ない。

 よって彼は戦闘力が高いにも関わらず、未だ下っ端であった。


 ここに来ても彼の馬鹿は治らなかった。


「わ、わわ、分かった。お前を幹部にしてやろう。地位だろうが金だろうが俺が出そう!」


 もちろん嘘だ。彼にそんな力もないし、そもそも、もう教団はほぼ壊滅している。


「ほうほう、なるほど。金をくれると」


 だがウィンバルドはあえてそこに乗っかる。

 その理由はただ1つ。

 なんか面白いからだ。


「そうだ! だから俺をみ「だが断る!」」


「へ? プギャッ!」


 その男はウィンバルドのデコピン1つで意識を手放す。

 ちなみにこの場面での「だが断る」は使い方としては少々おかしい。


 ウィンバルド曰く、ただ言ってみたかっただけ、である。


『バガアアアアアアアアアアアアアアアンンンン』


 そこに突然の爆音が鳴り響き、地面が大きく揺れる。

 地下には地上からの大穴が空き、そこからウィンバルドの身長の何倍も大きい大男が降りてきた音である。


「これは貴様がやったのか?」


 大男である魔王はそうウィンバルドに問いかけた。

私用により、2週間ほど更新することが出来ません。

申し訳ありません。


ゲラゲラコンテスト2用の漫才小説を投稿してあるので、是非読んでみてください。


ちなみに改めて読むと自分はファンタジー小説を書くのに向いてないなーと今更ながらに思いました。新作を書こうとは思っているのですが、次は恋愛小説にしようかなと思っている次第です。新作が出たらお知らせするので、是非読んでみてください。

この小説の更新速度を落とさないように頑張ります。


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