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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第5章 青年期 勇者編
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第71話 冒険者たち

なんだか主人公が悪役っぽくなってます。

 引きこもり生活に嫌気がさし、僕はついに宿を出た。

 久しぶりの異世界の日差しが僕の肌を焼く。


 今日僕が行こうとしてるのは、冒険者ギルドだ。

 あるかどうかは知らないが、異世界には冒険者という職業があるはずだと思っている。


 そんな博打をこめて街を歩いているが、一向にその建物が見つからない。


 僕はそりゃそうだと開き直る。

 だって場所なんて知らないし。

 僕が人に訊くことなんてできないし。


 そうこうしている内に日が暮れてくる。

 仕方ないので、すごすごと宿へ戻る。


 道を覚えるのが得意なのは、こういう時に便利だと今更ながらに思う。


 宿では、1階でご飯を食べることができる。

 安い定食を頼み、一人で席につき食べ始める。


「今日はお疲れ!」


「いやぁ、オークが五体も出てくるとは思わなかったぜ」


「お前の剣、ヒビ入ったんじゃねーか? 新調すれば?」


「そうだな。これもだいぶ長く使ってるからな」


「じゃあ俺も鎧新しくしてぇ!」


「んな金ねぇよ。てめぇで出せ」


「そんなぁ」


 近くの席で食べている男四人組の会話が聞こえる。

 まさか冒険者か?


「はあ、ランクもっとあがんねぇかなぁ」


「お前じゃ無理だな。ソロでゴブリンに勝てんのか?」


「勝てるわ! バカにすんな!」


「「「ぎゃははははははは!」」」


「ば、笑うなよ!」


「くくく、ま、俺らも人のこと言えねぇか」


「そうだな。じゃなきゃDランクなんてやってねぇよ」


「はぁ、Aランクになりてぇな」


「あそこは無理だな。俺一回Aランクの戦闘見たことあるけど、ありゃ化け物だな」


「言えてる」


「いやSランクの方がすげーよ」


「ばっか、あんなの人じゃねぇよ」


「ひでー言い草。ま、言えてるがな」


「だな」


 会話からすると、この男たちは冒険者のようだ。

 つまり冒険者ギルドの場所を知っている。

 この人たちについていけばギルドに行ける。


 そう思った僕は、彼らが明日の朝、何時にこの宿を出るのかを聞くために、もうしばらく盗み聞きを続ける。


「明日はどうすっか?」


「いつも通りでいいんじゃねーか?」


「そうだな」


「んじゃこれで解散ってことで」


「さ、もう寝ようぜ」


 こう言って男たちは宿の部屋に言ってしまった。


 結局何時に宿を出るかを聞くことはできなかった。

 仕方ない。

 朝めっちゃ早く起きて待ち伏せるしかないか。


 そう決め、僕は明日早く起きるべく、さっさと部屋に戻り、早めに就寝した。
















ーーーーーーーーーーーーーーーー


「ドートミール王国のアーレウスト教団員と連絡が取れない?」


「はい。全くとれません」


 ヴェフリン帝国帝都ゲルン。

 その路地の一角で部屋を借り、密かに宗教活動をしてる集団がいた。


 アーレウスト教団ヴェフリン帝国支部である。


 支部の教団員を束ねるのは、この男、司祭である。

 あの大神父と比べて少しふくよかな体型をしている。

 その顔にはほとんど感情が感じられない。


 そんな男が初めて、部下の報告によって同様を見せた。


 司祭は考える。

 どんなことがあっても毎日の定期報告は欠かさない。


 連絡がとれないことなど一度もなかった。


(なにか異常事態が? いや、まずアーレウスト様はどうなった?)


 この男、邪神への信仰心はなかなかのものだが、それ以上に出世欲が人一倍強かった。

 つまり大神父がいなくなれば自分がそれになることができると考えていた。


 この異常事態に、そんなことを考えている時点で、大神父になれないのは当たり前であることに本人はまだ気付いていない。


「司祭様、なにか異常事態なのでしょうか?」


「わからん。騎士団に居場所がばれたかもな。一応ここも警備を厳重にしろ。そして各教団員に警戒を呼びかけろ」


「はっ!」


 だが司祭はまだ知らない。

 この異常事態がたった一人の男によってなされ、警備を厳重にしようが、警戒しようが、もう教団の壊滅をふせぐことはできないということを。


「もう無駄だよ」


 ふいに声が聞こえる。

 司祭はすぐに警戒心を強める。


「誰だ!」


「我輩はウィンバルド・スフィンドールと申す者。以後お見知り置きを」


「……」


「あれ、ここはつっこむところだぞ」


 ウィンバルドがぼけをかますが、当然通じる訳もなく、場は沈黙に包まれる。


「誰だか知らないが、ここはガキの紛れ込む場所じゃない。お前、帝国の犬か?」


「わんわん!」


「ふざけるな! お前、ただで死ねると思うなよ」


 やはり冗談が通じない。

 カルシウムが足りないのだろう、と勝手にウィンバルドは思う。


 司祭は腰にある剣を抜き、容赦なく切りかかってくる。

 体格に見合わず、素早い。


 だがウィンバルドにとっては、ノロマでしかない。

 それをあまりの遅さにあくびを我慢しつつ、その剣を素手(・・)で受け止めた。


「んなっ!」


 ここまで一人で乗り込んでくるあたり、半端な実力ではないと思ってはいたが、これまでとは司祭も思っていなかった。

 司祭の剣の腕は、教団の中でもトップである。

 そこら辺の騎士など相手にならず、冒険者になればAランクにすらなれるのだ。


 しかし相手が悪かった。


「火を生みだし、これを放つ。ファイアーボール!」


 司祭に気をとられていると思った教団員の一人が、ウィンバルドの向けて火魔法を放つ。


「ふぅ〜」


 だがそれはウィンバルドの息、否“魔法達人”によって消されてしまう。


 普通の人は息で消したようにしか見えない。


 しかし、本来それはあり得ない。

 魔法の火は息を吹きかけようが、水をかけようが絶対に消えないからだ。


 そのあり得ないが、現実である状況に、司祭は言いようのない恐怖を感じ始めた。


「お前何者だ」


「さっき名乗っただろ」


「違う。帝国はこんな奴を隠しもっていたのか。くっそ」


 この司祭。ウィンバルドを帝国の秘密兵器かなにかと思っているらしい。


 司祭は心の中で悪態をつく。


(くそくそくそ、こんなところで俺は死ぬのか。いや、それよりもこんなガキにやられるなんて!俺の評判が!)


 自分の生死よりも外聞を気にするのはどうなのだろうか。


「ぐはっ!」


 司祭は考えを巡らせるが、むなしく腹に強烈なパンチを入れられる。


「はーい、躾の時間です! 君たちは耐えられるかな?」


「は?」


 ウィンバルドは以前からこれをやりたがっていた。

 理由は王都ではいくら教団員を捕まえても、更生させることができないからだ。


 つまり更正させるための実験をこの司祭たちでやろうというわけだ。


 司祭はこの子供が何をしようとするのかなんて分からない。

 しかし、なぜだか悪寒が止まらなかった。


「さあ、始めようか」

ゲラゲラコンテスト2用の漫才小説を投稿しました。暇があればどうぞ。

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