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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第5章 青年期 勇者編
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第68話 鑑定

 鑑定をするためか、部屋にローブを着た魔法使いらしき人物が入ってきた。


「この方は宮廷魔導師筆頭であるスルートン・トルシクスさんです。あなた方の鑑定を行います。」


「スルーと呼んでください。それでは一人ずつ順番に行います」


 ロン毛で顔色が少し悪く見える。

 ザ・魔法使いみたいなデフォルトをしていて少し興奮する。


 一人ずつ鑑定が行われ、鑑定が行われた人は別室に連れて行かれる。


 そしてついに俺の番が来る。


「ステータスオープン」


 小さな声だったが確かに詠唱が聞き取れた。

 だがその直後、一瞬顔をしかめたあと、後ろにいた侍従のような人に、なにやらぼそぼそと告げる。


「それではついてきてください」


 そう言われて、僕は素直に侍従の人について行く。


 さっきの人の顔は一体何だったんだ?

 僕のステータスが他より以上に高かったとか?


 いやそんな感じではなかった。

 なんだか嫌な予感がする。



 考え事をしている間に目的地に到着したようだ。


 そこは今朝出てきた僕の部屋だった。


「鑑定の結果、貴方の追放が決定いたしました。こちらが餞別のお金になります。五年は遊んで暮らせるでしょう。それでは」


 そう言って僕に金の入った袋を手渡す。


「え、ちょっ、ちょっと待ってください! どういうことですか!?」


「そのままです。もともとこういった決定は、スルー様と皇帝陛下の間で決まっておりましたので。ステータスの低い者は城から放逐しなければならないのです」


「で、でもさっき帝国が面倒見てくれるって!」


「それは邪神討伐した後のことなので」


「で、でも……」


「異世界より来ていただいてまことに勝手なことを言っていると思います。ですが決まりですのでお許しください。それでは」


 ――なんだよ、それ。


 ふざけんなよ。

 この人許される気ないだろ。

 やけに慇懃無礼だし。


「くそっ!」


「あ、ちょっ!」


 僕は部屋を飛び出し、ここまで来たルートを走る。


 城内は複雑だが、もともと僕は道を覚えるのは得意だ。

 途中何人かにすれ違うが、すべて無視する。


 そしてさっきまでいた会議室の前に到着する。


 いた!

 僕は別室に入っていくクラスの人を見つける。


 よし、あそこか。


 そう思いその部屋の扉を開ける。


 その中にいたのは、僕以外のクラスメイト全員だった。












 ーーーーーーーーーーーーーーー

 ウィンバルド視点


 その魔物は異形だった。


 キメラと呼ぶのもおぞましい形状をしている。


 首から上はドラゴン、胴は虎、腕は猿、足は馬、尻尾は犬、背中に鳥の翼がついている。

 口からは毒を吐くようだ。


 そしてなにより臭い。

 鼻が曲がりそうだ。


「よし、俺があいつを弱らせるから、後はお前が倒せよ」


「「え?」」


 戸惑うテスタを無視し、飛び出す。


 とりあえず触りたくないから、周りを走りながらファイアーランスを打ちまくる。


「グガアアアアアアアア!」


 キメラは痛いのか耳障りな叫び声をあげる。


 そして俺に反撃しようとしてくるが、速度で俺に敵うはずもなく、いたずらに土をえぐるだけになっている。


 それにしびれを切らしたのか、上空へ逃げようと、翼を動かし始める。


 おっとさせないぜ。


 はい、ピュン。


「ガアアアアアアアアアアアア!」


 翼に光魔法がヒットし、すこしだけ浮上していた体が地上に落ちる。

 俺は追い打ちを掛けるようにさらに火魔法を放つ。


 うん、こんなもんでいいだろ。


「テスタ、後はがんばれよ。俺は後ろで見てるから」


 痛みでのたうち回るキメラから離れ、テスタの近くへと移動する。


「「へ?」」


「ほら、早くしろ!」


「「いっ!! は、はい!」」


 テスタの背中をたたき、けしかける。


 2人のテスタのうち、一人が剣で戦い、もう片方が魔法で攻撃しているが、今のところが互角といったところか。

 あの剣の性能と、ここまでの修行の成果を加味してあのくらいか。


 ならあの魔物のステータスは大体1000前後といったところか。

 Sランク冒険者で互角位の強さと言ったところか。今は弱っているから、まーAランク冒険者でも倒せるだろう。


 大方あいつらはこれを隷属させて街を襲わせて負のエネルギーを集める算段だったのだろう。

 負のエネルギーを集めれば邪神の復活も早まるからな。


 失敗してるのはざまはないがな。


 しかしそれにしてもこうやって負のエネルギーを集められるのは厄介だな。

 一度こういう輩を根こそぎ排除したほうがいいかもしれん。


「ガアアアアアアアアアア!……グガア……ッグガ……ガガ……」


「「これで終わりです!」」


 テスタの剣が魔物の頭に刺さり、魔物は力つく。

 よし終わったか。


「「ハアハアハアハア、終わりましたよウィン様」」


「おう、お疲れ。じゃあ五分くらい休憩な」


「「五分ですか? それはまたなぜです?」」


「内緒だ。それを言ったらお前泣いちゃうから」


 そう俺が言うと、一気にテスタは嫌な顔になる。


「「ウィン様がそういう顔をするときは僕をいじめる時の顔です。言ってることと相まって嫌な予感しかしません」」


 おや、俺そんな顔してるかな。


「そんなこと言うなよ。ま、とにかくゆっくり休憩してろ。じゃないともたないぞ」


「「もうすでに鬼畜修行決定じゃないですか」」


「え? なんだって?」


「「何でもないです」」


「そうか」

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