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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第5章 青年期 勇者編
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第65話 邪神復活

 剣舞祭が終わり、季節は冬へと移り変わっていた。


 冬は魔物の活動が弱くなるため、最近はギルドには顔を出してない。


 そのかわり、最近は剣舞祭の時のじいさん、ルイヤス・ギルディアスに師事していた。

 仙法もだいぶ使えるようにはなってきた。

 とは言ってもまだまだルイヤスの足下にも及ばないが。


 そして今日も鍛錬を終える。


「お疲れさまでした」


「うむ。うぬもだいぶ動きがよくなってきたぞ」


「そりゃよかった。あんたが褒めるなんて珍しいな。修行中は一切褒めないし」


「何を言うか。わしだって褒めるときはあるわい」


 このじいさんに人を褒めるという概念があったなんて驚きだ。


 そんな失礼なことを考えながら、寮へと戻る。


 ちなみにだが、この鍛錬のおかげで、仙法だけでなく、基本のステータスも上昇していた。数値だけだとこんな感じだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー

ウィンバルド・スフィンドール

16歳

HP:81919

MP:84230

攻撃力:81045

俊敏力:80688

体力:82173

魔攻撃:83376

防御力:82118

魔耐性:82954

ーーーーーーーーーーーーーーー


 もうすぐ十万に達するだろう。

 十万と言えば、四霊と呼ばれる魔物である龍、鳳凰、麒麟、霊亀のステータスがこれに準ずる。

 この四霊は魔物のなかで唯一邪神の支配下になく、一般的には魔物とは認定されておらず、各地で信仰の対象になっている。


 なぜなら四霊は人が敵う代物ではないからだ。

 十万を越すステータス、天候すら操る人知の及ばない存在だからだ。


 Sランク冒険者でも四霊に挑むのは無謀とされている。


 それは俺もそう思う。今の俺でも確実に負けるだろう。

 だがそれもあと少しだ。

 ステータスが十万を越せば勝てると思う。


 ていっても挑まないけどね。

 四霊は人に害のある魔物じゃないし。


「あ、ウィン! 終わったー?」


 ――天使がいた。


 失礼、見間違えた。

 愛しのレジュだった。


 あまりの美少女っぷりに目がいかれたか。


「ルイヤスさんもお疲れさまです」


「小娘のくせにわしをいっちょ前にねぎらうとはな」


「そ、そんな言い方しなくてもいいじゃないですか」


「安心しろレジュ。このじいさん照れてるだけだから」


「よけいなこと言うな小僧!」


「いでっ! あんた技使いやがったな!」


「ふん、バカ弟子に鉄槌じゃ」


「あんだとぉ! って何笑ってんのレジュ。」


 じいさんと言い争いをしているとくすくすと笑い声が聞こえる。

 あ、笑顔めっちゃかわいい。


「あ、ごめん。笑っちゃって」


「いや、別に良いけど。何か面白かった?」


「だって二人とも仲良さそうだから。ウィンってテスタ君とも仲良いからそっちなのかなぁと思って。……歳の差ってやつ?」


 やばい。レジュが腐り始めた。

 レジュがBL好きになったらたまったもんじゃない。

 これは何とかしなければ。


「おい、それは心外だな。てかそれ誰の影響だ。教えろい!」


「え、えーと、ジュリちゃんかな?」


「よし、あの女は処分する」


「ちょちょちょちょ待って待って、ジュリちゃんは悪くないから」


「そうかぁ? あいつあることないことレジュに吹き込んでるんじゃないだろうな」


「そんなことないってば。私の意志です!」


「ほんとかぁ? あやしいなぁ。」


「ウィン私のこと信用してないね! ひどい!」


「うぬらのほうがよっぽど仲良いではないか」


「「へっ?」」


「ほれ、息ぴったりじゃ」


「「い、いやぁ、それほどでも」」


「ほれ、照れてないでさっさと寮に向かうぞ。」


 そりゃ照れるだろう。

 俺はレジュのことが好きなんだぞ。随分寝ぼけたこと言うなじいさん。


「ほら、レジュ」


「あ、う、うん」


 最近はこうやって時々手を繋ぐのが俺らの流行りだ。

 じいさん曰く甘ったるくて仕方ないらしいが。


 でもこのレジュの嬉しそうな顔を見ていると、そんなことも気にならない。









 ――こうして今日も日常が過ぎていく。


 俺はこういった日常が好きだ。


 前世でも代わり映えのない日常を送っていたのだから、そう思うのも仕方ないだろう。


 だが日常は続かない。

 昼がくれば夜が来るように、晴れていれば雨が降るように、常に同じということはない。

 諸行無常というやつだろう。


 “知覚者”というスキルは便利なものだが、一方で残酷なスキルでもある。

 真実を知る、なんでも知っているということは残酷なことである。


 例え知っていても、防げないことがある。

 俺は全知全能ではないのだ。


 中途半端な強さが俺を苦しめる。


 これはもう防げる類のものではないのだ。


 俺も精一杯遅らせたつもりだ。

 だがそれも限界。


 ついに――、








 ――邪神が復活した。






 その余波は全世界に及び、すべての人が圧力を感じた。


 かく言う俺もそうだ。


 だからこそ思う。


 この化け物には俺はまだ勝てないと。












 ーーーーーーーーーーーーーーー

 ヴェフリン帝国



「陛下! 緊急です! 邪神が……!」


「よい。みなまで言うな。朕も気付いておる」


 皇帝の書斎に宰相が駆け込んでくる。

 明らかに不敬な行為だが、皇帝は咎めない。


 それほど緊急事態であるということだろ

 う。


「それで、準備は整ったか?」


「はい、宮廷魔導師はたった今、全員揃いました」


「分かった。朕も向かう」


 皇帝は立ち上がり、近くにいた宦官に着替えさせる。


「よし、準備は済んだ。さあ行くぞ」


「はっ!」


 皇帝と宰相は揃って書斎を出る。


「受け入れの準備は万端なのだろうな?」


「もちろんでございます」


「それにしても朕の時代にこの儀式をすることになるとはな。もちろんうれしくはないが、人生分かったものではないな」


「おっしゃる通りで」


「さて、勇者とやらはどんな者たちなのか楽しみだな」


「ええ、私もです」

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