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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第4章 青年期 剣舞祭編
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第60話 スタンピード(3)

 ドラゴン。


 災害級のさらに上、伝説級の魔物だ。

 その姿はトカゲの体にコウモリのような羽がついていて、頭から角が生えているという西洋の伝説に出てくるドラゴンと大きな違いはない。


 森の深くに暮らし、群を作り、火のブレスを吐くファイヤードラゴン。


 山脈の奥地に暮らし、群を作らず、氷のブレスを吐くアイスドラゴン。


 常に遙か上空を飛び、群を作らず、風のブレスを吐くウィンドドラゴン。


 それらが長い年月をかけて進化した個体で、知能が高いエンシェントドラゴン。


 今回俺の目の前まで迫っているドラゴンはエンシェントドラゴンだろう。

 とにかくでかい。

 だが一般に知能が高いと言われるエンシェントドラゴンであるが、その目には理性の色は映っておらず、狂気でもって俺に迫っている。


 おや、口を開いた。

 ありゃブレスか?

 まさか俺を無視して直接ブレスで王都を攻撃す気か。


「おいおい、つれねぇことするなよっ!」


 一瞬でドラゴンの背後に転移魔法で転移し、その頭を殴りつける。


「ガアアアアアアアア!」


 おっと、硬いね。

 さすがに何の強化もなしに素手で殴るのはダメージが通らないか。


 いやでも少しは効いてるな。


 にしてもはじめてドラゴンと戦ったけど結構強いんだな。

 ステータスが気になるところではある。


 こういう時のためのステータス魔法なんだけどね。

 そう言えば俺魔物のステータス見るの初めてかもしれん。


ーーーーーーーーーーーーーーー

エンシェントドラゴン

899歳

HP:63455/64562

MP:52344

攻撃力:61400 

俊敏力:48791

体力:65709

魔攻撃:50023

防御力:70211

魔耐性:70119

魔法:飛行魔法(最上級)

オールウェイズスキル:“加護”

ユージュアリースキル:“威嚇”“火砲”

オーフンスキル:“剛爪”“剛尾”“身体強化”

サムタイムズスキル:“竜眼”

ネバースキル:“剛体者”

ーーーーーーーーーーーーーーー

“威嚇”:相手を威嚇する。相手を怯ませる効果がある。

“火砲”:火のブレスを吐くことができる。魔力量によって威力と回数が変化する。

“剛爪”:爪の威力、切れ味が増大する。わずかなら斬撃もとばせる。

“剛尾”:尻尾の威力が増大する。わずかな衝撃波を出すこともできる。

“竜眼”:目で見つめる事によって対象者の動きを止めることができる。

“剛体者”:相手の攻撃力に関係なく自身はダメージを受けなくなる。


 おやまあ強いこった。

 さっき殴っても千ちょっとしかHPを削れてないや。

 へえにしても“剛体者”か。


 そのスキルは俺には通じないんだな。


 これは一般に知られていることでは無いが、スキルに“者”がつくものは基本的に(つい)となる者が存在する。

 例えば俺の“知覚者”は自身の思考力を増加させ、この世界のすべての人や物(本など)が知っている、または記録されている物を知ることができるスキルだが、この対となるスキルはおそらく(・・・・)相手のの思考力を低下させ、この世界の誰にも記憶されず記録にも残らないことができ、その対象と事柄を限定することもできる。


 おそらくというのはこのスキルのせいだ。知覚できないと言うのはおそろしい。

 おかげでスキルの効果も推測だし、スキル名すら分からない。


 ここまで言えばわかるか?

 このスキルの持ち主はあのトールマン・ケンだ。

 俺が剣舞祭の予選の準決勝で戦ったあいつだよ。

 ジュリの兄貴の。


 とまあ“者”が付くスキルには対があるということは、この“剛体者”にも対が存在するということだ。

 その名も“攻撃者”!


 いや安直かと思ったそこの君!

 俺もそう思う。


 “攻撃者”の効果は、相手の防御力に関係なく相手にダメージを与えることが出来るものだ。

 これを使えば攻撃と防御が互いに相殺しあってそれぞれのスキルが無効化されるから結局、俺の攻撃は通る。


 ましてやこっちは魔力を通せば通すほど切れ味が増す剣だし。


 時間が勿体ないしさっさと殺ろう。


 俺は抜きありったけの魔力を込める。

 普通ならこのぶっとい首はいくら剣の切れ味を増そうが斬れやしない。

 だから大型の魔物狩りを専門にする民族であるオリオン族が扱う剣術を使う。


 オリオン剣技5の型奥義【睡蓮】


 ドラゴンは声を上げる間もなく首が落ちる。


 ふむ、楽勝とまでは言わないが余裕ではあったな。


 よし、あとは残りを処理してっと。


 『チュドオオン』


 終了!


「終わったかしら。全く、本当に圧倒的ね。あきれたわ」


 東門にいる俺の分身に、ギルドマスターであるエルフが話しかけてくる。

 俺は一瞬でそこに転移し、分身を消す。


「俺の言った通りでしたね」


「ほんとよ、全く。いきなり私に部屋に現れたと思ったら、「西門以外は俺に任せてください。俺が片づけます」って言うのだから。頭のおかしい子でも現れたのかと思ったわ。全く、どうするのかと思ってついてきてみればこの様なんて」


「別についてこなくて良いと言ったでしょう」


「あら、住民の避難が必要ないだとか、全部俺が片づけるだとか、普通なら信じられないことを信用しただけでも、私としては折れた方なのだけれど」


「……思ったことを言っただけですよ」


「全く、Sランク冒険者だと言わなければ誰もが冗談だと思うでしょうね。そこら辺理解しているのかしら」


「怒ってます?」


「別に怒ってないわよ。ただちょっと同じSランクでの力の差を痛感しただけよ」


「なんか、すいません」


「謝らなくてもいいわ。で、貴方剣舞祭には出ていないの? たしか今やっているのでしょう」


「いや、出てますよ」


「いいの抜け出して」


「それは問題ないかと」


「あら、それはどうしてかしら?」


「え、だって分身がいますもん」


「そう言えばそうだったわね、全く」

エンシェントドラゴンの年齢を修正しました。

エンシェントと言う割に若すぎる気がしまして……。

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