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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第4章 青年期 剣舞祭編
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第58話 スタンピード

「……あ、た、倒れたアアアア!! ついに鬼将軍が倒されたアアアア!! これでBブロック勝者はウィンバルド・スフィンドールさんです!!! いやあ、熱戦でしたね!!」


「そうだねぇ。でも君ねぇ、途中実況忘れ「さあそれでは次に参りましょう!! ウィンバルドさんは控え室へ戻ってください!!」


「……ごまかしたねぇ……」


 アナウンスに従い、控え室へ戻る。


「それではCブロックの選手は入場です!! 該当の選手はリングへ向かってください!!」


「さあ、Cブロックの試合を始めましょう!! Cブロックは38人です!! 存分に殺し合ってください!! 全員構えて……始め!!」


『ワアアアアアアア!!』






 歓声が響くなか、俺は控え室へ歩く。


 さてと、ちょいと仕事するかいな。








ーーーーーーーーーーーーーーー

 王都 冒険者ギルド内



「た、大変だ!! 急いでギルドマスターに知らせてくれ!」


 王都の冒険者ギルドに転がり込んできた男が、受付にそう怒鳴り込んだ。

 格好から門番をしていた兵士だろうと予想できる。


「落ち着いてください! 一体何があったんですか?」


「これが落ち着いていられるか! 今すぐ冒険者をできるだけ集めてくれ! 俺はすぐに騎士団の詰め所にいって騎士団の協力も仰ぐ!」


「ちょっと待ってください! だから何が起こったんですか?」


 ギルドから出ようとした男は受付嬢の言葉に気づき、告げた。


「スタンピードだ。俺が把握しているのは西門だけだが、恐らく王都の全方向から魔物の群が迫ってる!」







ーーーーーーーーーーーーーーー

 5分後 ギルド内



「おい! まだ“銀狼の牙”は戻ってきてねぇのか!?」


「お前まだEランクだろ? 無茶だ」


「Bランクの方、こちらへ集まってください!」


「まてよう! それは俺の剣だろうがよう!」


「え? なんだって? 聞こえねーよ!」





「黙りなさい」


 喧噪にあふれるギルド内に、そこまで大きくはないが、良く透き通る声が響いた。

 今まで騒いでいた連中もその声を聞くと黙らざるを得ない。

 否、黙らされてしまった。


 金色に輝く床まで届く長髪、女性にしては高い身長、誰もが振り向く美貌、特質すべきはその長く伸びるとがった耳だろう。

 つまりエルフである。

 エルフであるが故、その美貌は筆舌に尽くしがたいものがあり、レジュには及ばないものの、目を見張るものがある。byウィンバルド

 現役のSランク冒険者であり、王都冒険者ギルドのギルドマスターである。


「Dランク以上の冒険者、及びDランク以上の冒険者を含んだパーティーは今すぐ西門に向かいなさい。それ以外の冒険者はここで情報収集か西門へ向かい後方支援へ当たりなさい。ほかの門は行かなくとも問題ありません。さあ、ぐずぐずせずに行きなさい!」


『了解!』


 鶴の一声でそれぞれの冒険者たちは動き出す。


「あ、あの、ギルドマスターはどうするんですか?」


 近くにいたギルド職員の一人が疑問をぶつける。


「私? 私が向かうのは東門よ」


「えと、なぜ?」


「あなたが知る必要は無いわ。早く仕事に戻りなさい」


「は、はい!」


 周りに人がいなくなり、ギルドマスターは一人つぶやく。


「ほんとになめたガキだわ全く」









ーーーーーーーーーーーーーーー

 ウィンバルド視点



 はいはーい、なめたガキでーす。


 私が今いるのは北門前です。

 えーご覧ください私の前に迫っているのは魔物の群でございます。

 只今からこちらを掃討したいと思います。

 以上中継でした。



 なんちゃって、ちょっとテレビ風に遊んでしまった。

 いやだってあの人が俺をなめたガキって言うから。

 状況を知るために“知覚者”でギルド内の状況を探っていたから聞こえちゃうのは仕方ないと思うんだよね、うん。



 俺と魔物との距離はおよそ二キロといったところか。

 先頭にいるのは飛行型の魔物の一つであるワイバーンだ。

 一心不乱にこちらへ襲撃しようと迫ってきている。


 魔物の数は目に見えるだけで数千ほど。

 王都を囲むようにして魔物は迫っているから実際はこの数倍、数万にまで達するだろう。

 幸い災害級は今のところ見られない。


 だがこの数だ。

 俺がいなきゃ王都は滅びるだろう。

 そう俺がいなきゃな。

 王都のギルドマスターにはここへ来る前に声をかけ、冒険者たちには西門のみを守ってもらうことにした。

 無駄にばらけられても俺の邪魔にしかならないしな。


 さて始め……、


『ドゴオオオオオオオオオオンンンン』


 ……あいつら俺の思考の途中で始めるんじゃねーよ。


 あいつらとはもちろん、俺の分身だ。

 サムタイムズスキル“分身”によってできたもので、魔力でできている。

 見た目は俺とうり二つ。スペックとしては俺のステータスの半分ほどの実力で、俺のスキルは一部を除いてほぼすべて使える。

 俺がいちいち操作しなければいけない手動操作と勝手に動く自動操作がある。

 もちろん今は自動操作にしている。


 自動といってもほとんど俺の分身だから思考回路も俺と同じ。

 オリジナルが死ねば自分も消える為、俺を害することは絶対ないし、俺の目的もすべて理解しているから俺の言う通りに動くのだ。

 まあこれが便利と言ったらありゃしない。


 今回出した分身は20体。王都を囲うように配置している。

 一応結界を王都全体に張ってるから王都に進入されるおそれは無いはず。

 だってそのために住民には知らせてない訳だし。

 おかげでギルドマスターの説得に時間を食っちまった。


 よし、それじゃあ改めて。



 始めようか。

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