第53話 剣舞祭本戦(2)
開始とともに、試合の展開は、実力によって一瞬で明暗が分かれた。
まず、テスタは、試合が始まった瞬間に中級風魔法、ウィンドカッターを34個出し、一瞬でにそれぞれの出場者に向けて放った。
ねらいは出場者の首のようだ。
ほとんどの人は、見えざる攻撃に反応すらできずに首を刈られていく。
反応できたのはたったの三人、剣神、獣人の男、銀髪の男だけだ。
死体は蘇生師の元に送られたのか、青い光に包まれ、リングから消えた。
蘇生師も大変だな。
「開始とともに一瞬で出場者ほとんどの首が落ちてしまったーー!! な、何が起こったのかアアアア!!!」
ちなみに学院で、俺の試合の解説が付いてなかったのは、俺の試合にレベルに解説者がついてこれなかったからだ。
俺は、一瞬で決着つけるか、スキルとかのせいで何やってるか全く分からない状況だったからな。
解説者をつければいいのに。
閑話休題。
「それはねぇ、あの茶髪の彼がねぇ、中級風魔法のウィンドカッターをねぇ、出場者分出してねぇ、一気に首を刈り取ったからだねぇ」
「毎度おなじみSランク冒険者である解説のトリスタン・スリマスさんです!! なるほど、全く攻撃が見えませんでした!!!」
さすがに今回は解説はいる。
誰だか分からないが。
テスタの他三人は、それぞれの方法でウィンドカッターをよけた後、剣神は動かず、獣人の男と銀髪の男は、テスタを脅威と感じたのか、二人でテスタに攻撃を加え始めた。
なるほど、一旦テスタを片づける戦法か。
まぁ、できるかは別だと思うがな。
それは俺にとってはあまり速くはないが、普通の人には、目でとらえることすらできないだろう。
ぎりぎりでよけた獣人の男はろくに反応もできず、首を刈られ、銀髪の男はかろうじて反応はでき、手持ちの剣で防いだが、テスタの剣の性能に勝つことができず、無惨にもまっぷたつにされてしまった。
「これはまた一瞬だアア!! 銀髪の方と獣人の方が茶髪の方に切りかかったとたん、二人ともやられてしまいましたアア!! 速すぎる!!! だが剣神は動いてないぞ!?」
「速いねぇ。残像しかとらえられなかったねぇ。獣人の彼はねぇ、反応できてなかったみたいだけどねぇ、銀髪の彼は反応はできてたねぇ。でもねぇ、不思議なことでねぇ、銀髪の彼がねぇ、剣で防いだんだけどねぇ、茶髪の彼はねぇ、その剣ごと切り裂いたんだよねぇ。剣神はねぇ、おそらく実力をねぇ、大まかにねぇ、把握してると思うんだよねぇ。だから動く必要がねぇ、ないと思ったんじゃないかねぇ」
「なるほど、解説ありがとうございます!!!」
いや、実況ちゃんと解説理解できてんのか?
そのあいだ、テスタと剣神のにらみ合いが続いている。
――瞬間、テスタが動く。
まさにロケットスタートのようで、常人には突然消えたように見えるだろう。
剣の切っ先が、剣神ののどにふれる直前、剣神はまるでこけるような動きで避ける。
そして2撃目、3撃目とテスタに攻撃を加えていくが、剣神はひらりひらりとかわしていく。
その状況にしびれをきらしたのか、テスタは一回距離をとった。
そしてその間に、剣神はゆっくりと剣の柄に手をかける。
「す、すごい剣速です!! だが剣神もすべて避けたアアアア!!!」
「さすが剣神だねぇ。茶髪の彼もすごいけどねぇ。剣神は素手ですべて避けてるからねぇ」
テスタは全力で“身体強化”をかける。
そのまま剣神に、神速の突きを放った。
テスタも決めに来たな。
だが、その突きは剣神に届くことなく、剣で弾いたような高い音を響かせ、剣は首からそれていく。
テスタがさらに追撃するも、それは剣神に届かない。
甲高い音が鳴りながら逸れていくだけだ。
「も、猛攻猛攻猛攻だアアアア!! だか剣神もそれを見ることもできないほどの速さで弾いていく!!」
「茶髪の彼の剣速はねぇ、ぎりぎり残像は見えるんだけどねぇ、剣神の剣速は速すぎてねぇ、残像すら見えないねぇ」
大丈夫だ。俺も見えないだろう。
俺は間接的に“知覚者”で観ているだけだからな。
直接見ているわけじゃない。
だからこそ分かる。
剣神は剣を振ってなんかいない。剣の柄に手をかけてるだけで、剣を抜いてすらいないのだ。
――はて、おかしいねぇ。
どうしてテスタの剣があたらないんだ。
どうして剣同士はあったてないのに剣同士があたる音が聞こえるんだ?
疑問が多いな。
多分剣神のスキルだろうけど。
テスタもそれは分かってるらしい。
剣を振りながら拳や蹴りを混ぜていることが分かる
だがそれも当たっていない。
魔法が当たらないことも最初の時点で分かっている。
あと試していないのはスキルだけだ。
さあテスタ君、どうするんだい?
テスタの頭髪は茶色にしました。
設定してなかったと思いますが、もしこれまでの話で他の髪色に言及していたら指摘していただけると助かります。




